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第52話 ソーラー電源超加熱装置

「アダマンタイトを融かせるレベルの加熱魔道具、か。そのレベルは……流石に作ったことはないなぁ」


 ダイさんはそう言って、顎に手を当てた。


「高等妖兵の水晶玉自体は、加熱機構としては充分な耐熱性を持ってるとおもうんだけどね。果たしてどんな魔道具設計にすれば、そんな高熱が生み出せるかがね……」


 どうやらダイさん的には、高等妖兵の水晶玉は素材としては十分みたいだった。

 問題は……その素材を用いてどんな魔道具を作れば良いかが、見えてこないってところか。


 悩むダイさんに、俺はここに来るまでに考えていた案を提案してみることにした。

 素人の意見なので、そんな単純な問題ではないと一蹴されるかもしれないが……発案に協力しないよりはマシだろう。


「単純に、流し込まれた魔力に応じて発熱量が上がる魔道具じゃダメなんっすかね? オリハルコン錯体で生成した魔力を流すようにすれば、消費魔力量でごり押しもできる気がするんっすけどねえ……いかがでしょう?」



 すると……ダイさんは、「あっそうか」と言わんばかりにパッと表情が明るくなった。


「なるほど、ね。確かに、バカみたいに規格外の魔力供給があれば、そんな単純な解決策があったか……」


 どうやら専門家的にも、俺の考えた案は理に適ってたみたいだった。


「じゃあ……とりあえずそれで、発熱機構を作ってみる!」


 そう言ってダイさんは、高等妖兵の水晶玉を加工しだした。


「やっぱり、みててきもちいーねー」


 などとプヨンが見とれているうちに、ダイさんはテキパキと加工を進めていく。


「仕組み自体は単純だったから、もう完成したよ」


 そしてダイさんは、一分と経たずに完成させた魔道具を俺に手渡した。


「簡単に説明すると……この魔道具は、二つの役割を担ってるんだ。まず一つは発熱。これはまあ、説明するまでもないかな。そしてもう一つは、流れる魔力量に応じて強度が上がる耐熱結界の展開。この魔道具での加熱に、従来の炉は耐えきれないと思ったから……炉壁ともども融けてはしまわないよう、こんな仕組みにしたよ」


「ありがとうございます」


 言われてみれば……炉壁に関しては、完全に盲点だった。

 そこまで考えて魔道具を設計してくれたのは、かなり助かるな。


 などと思いつつ、俺はその魔道具を特殊空間にしまった。



「あと……必要なのは、これだよね。でも……これで足りるかな」


 そうしていると……ダイさんは以前作ったテトラアンミンオリハルコン(Ⅱ)イオンの入ったバケツを持って来つつ、そんなことを聞いてきた。


 ダイさんがテーブルの上に置いたバケツの中を覗き、残量を確認する。


「そうっすね……。これじゃちょっと足りないかもしれないっすわ」


 中身を見てそう判断した俺は、一瞬だけ外に出て材料を取ってくることにした。


 混沌剣で天災の滴(ティアハザード)の周回軌道くらいの高度に飛び上がり、しばらく軌道上を散策する。

 天災の滴(ティアハザード)の氷塊を見つけると……俺は、前回よりはちょっと大きめにその破片を切り取って持ち帰った。


 そして、施設に帰ると。


天災の滴(ティアハザード)の破片、取ってきました」


「うん、だと思ったよ」


 俺たちは、追加分のテトラアンミンオリハルコン(Ⅱ)イオンを製造することにした。


「えとー、これどこで解凍すればいいっすかね」


「うーん、結構大きいもんね……こっち来て」


 どう考えてもバケツには入らないサイズの天災の滴(ティアハザード)の破片をどこで液体にすればいいか聞くと……ダイさんは「大容量試薬貯蔵庫」という看板がかかった部屋に俺を案内した。


 浴槽みたいなものがズラリと並ぶその部屋で。

 俺は、空き浴槽のうちの一つに、天災の滴(ティアハザード)の破片を融かし入れた。


「じゃ、あとはこれでイオンホールド酸作っとくね。オリハルコンの確保、よろしく」


「了解っす」


 そしてダイさんは貯蔵庫でイオンホールド酸作りを、俺は小惑星帯でオリハルコン集めを行うこととなった。


 オリハルコン含有率の高い小惑星を見つけ、その小惑星からスライム8連鎖消しの魔法でオリハルコンのみを抽出する。

 それを持ち帰ると……ダイさんは既にイオンホールド酸の製造を終わらせて、貯蔵庫で待っていた。


 完成したイオンホールド酸の中に取ってきたオリハルコンを入れ、4連鎖消しで電離させる。

 そしてそれにダイさんが最後に人手間加えると……追加分のオリハルコン錯体が完成した。


「できましたね。今回は早かったっすね」


「一度やり方を覚えると、手際よくできるもんだね……」


「あのしりょー、いんさつしといてよかったねー」


 などと会話をしつつ、完成品を特殊空間にしまう。

 ちなみに貯蔵庫の浴槽は取り外し可能になっているらしかったので、俺は一時的に使用中の浴槽を借り、浴槽ごと特殊空間に収納することにした。



「今回もお世話になりました」


「いやいや。新しい試み、上手くいくよう願っとくよー!」


 別れの挨拶を交わすと、俺は領地に向かって混沌剣で飛んでいった。


 これで、必要なものは全て揃った。

 あとは適当に何かにオリハルコン錯体を塗布するものを用意して、後日実際に魔道具とメガソーラーの設置をしに行くだけだな。


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書影公開されました!
『スライム召喚無双』第一巻は8/10に、カドカワBOOKSより発売です!
イラストはともぞ様にご担当頂きました!
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― 新着の感想 ―
[気になる点] ダイさんはユカタが来る前から発明品がロクに使われずに死蔵されてるってボヤいてたからあんま気にしてなさそう、 製法そのものはユカタ抜きでも成立はすんだよね、ユカタがいないと材料調達が死ぬ…
[良い点] さらっと規格外のチートしてるのほんと草
[一言] ユカタが居ないと詰む技術で満足してるん? 職人・技術者としてはもっと汎用性有る技術開発せんとアカンとちゃう? すぐにロストテクノロジー化しちまわないか?
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