第49話 よし、鉱山を作ろう
次の日。
俺はちょっとした相談をしに、リトアさんの執務室に来ていた。
急に貴族になって、右も左も分からない状態だからな。
どんな活動をすればいいのか、ちょっとアドバイスをもらおうと思ったのだ。
まあ、ほとんどの政務はリトアさんに丸投げするつもりだし、そのための当主代理ではあるのだが。
リトアさんだって何か手伝って欲しいことがあるかもしれないし、その辺をちょっと聞き出して、協力できる部分を見つけられたらなと考えたのである。
「あ、ユカタさんおはようございます。今日はいい知らせがありますよ」
部屋に入ると……リトアさんは開口一番、そんなことを言ってきた。
「いい知らせ?」
「はい。昨日の顔合わせの後のことなのですが……早速、数名の役人から横領の摘発がありました」
聞いてみると……なんと、昨日のリトアさんの挨拶が早速効いてたとのことだった。
「は……早いっすね」
「流石にUFO48の団員の死体と高等妖兵の水晶玉は、インパクトが大きかったみたいですね。おかげで使途不明金の大部分は解消しそうですし、正直めちゃくちゃありがたいです!」
そう話すリトアさんは、心の底から上機嫌そうだった。
「ところで……今日ユカタさんは、何の為にここにいらしたのですか?」
使途不明金関連の話がひと段落ついたところで、リトアさんがそう質問したので……俺は、ここで本題に入ることにした。
「そうっすね。何か、領主として手伝った方がいい事とかあるかな、と思いまして……」
そう聞くと……リトアさんは顎に手を当ててしばらく考えてから、こう答えた。
「特に……今のところは無いですね」
一旦全体を把握しないことには何から動かせばいいか分からないから、というのがその理由らしかった。
「ただ……ユカタさん、せっかくとんでもない機動力をお持ちなので。今のうちに、色々と視察とか行ってみてくださると、ありがたいかもしれないです」
そしてリトアさんは最後に、そう付け足した。
……視察、か。
「そういえば、国王がこの土地について説明してくださった時、『鉱山資源が枯れかけてて……』とか言ってましたよね。せっかくなので、その辺から行ってみようと思ったんすけどどうでしょう?」
ふと国王の発言を思いだし、そんな提案をしてみる。
「良いですね! 是非お願いします!」
すると、それにはリトアさんも賛成のようだった。
鉱山問題、一つ試してみたい解決策を思いついてたしな。
それが実行可能かどうか、検証したいところであったのだ。
視察に行ってみれば、俺の解決策が現状に適用できるか話を聞くこともできるだろう。
「よし、じゃ行くぞプヨン」
「おー!」
てなわけで、早速俺は混沌剣飛行でそちらに向かう事にした。
◇
上空10km辺りまで飛び上がり、地形とアイスストウムの地図を照らし合わせてみる。
すると鉱山っぽい山がすぐ見つかったので、俺はそのまま混沌剣飛行でそこに直行した。
作業所っぽいところに降り、現場責任者らしき人を探す。
国王から貰った証書を見せると、すぐに対応してくれて……俺は待ち時間ゼロで現場責任者に会うことができた。
「ユカタ様、この度は我が地の領主に就任してくださりありがとうございます。私、代表のタナギフと申します」
「はじめまして、ユカタです。本日はよろしくお願いします」
「ぼくはプヨンだよー!」
部屋に案内される中、軽い挨拶を交わす。
早速俺は、本題に入った。
「鉱山資源が枯れかけているって聞いて、詳しい現状を聞きにきたんっすけど……どんな感じなんすか?」
すると……タナギフさんは暗い表情になりつつも、詳しく現状を語ってくれた。
「これはここ二、三年前から始まったことなんですげど……坑道をどれだけ掘り進めども、金属含有量の少ない鉱石とも呼べないようなものしか出てこない。そんな坑道が、相次いで増えだしたんです」
「なるほど」
「フリジウム山――ここの山の名前です――はかつて、貴重な金属を多分に含む鉱床が山ほど見つかったことから、『金属の宝庫』などと呼ばれていました。しかし、実際にはそれはこの山の表面だけでした。今となっては、かつての栄華は見る影もありません」
「へえ」
「使えない坑道が増えるにつけ、人手も段々と余るように……やる気はあれどやる仕事が無い作業員が、どんどん溢れてきているのです。失業者を出さないようにするのも、段々と厳しくなってきている所でして」
「そんな感じなんすね……」
そんな感じで、タナギフさんは問題点を整理して一つ一つ教えてくれたのだった。
その後は外に出て、タナギフさんの案内のもと現場を見て回った。
現場はタナギフさんの言う通り、手持ち無沙汰でため息ばかりついている従業員がかなり目立っていた。
動きがある数少ない坑道も、鉱物資源が取れているわけではなく……使わない道具を撤去している最中なのだという話だった。
そんな現状を一通り見て。
俺は、自分が考えていた解決策が、完璧に適用可能だと確信できた。
「タナギフさん、大体の問題点は把握しました」
俺はタナギフさんの前で、再度聞いた話を整理した。
「坑道からは有効な資源が取れなくなり、そしてそれに伴って労働力が余ってしまっている。それが問題なんすよね」
「はい、その通りです」
「でしたら……俺に一つ、この問題を解消する考えがあります」
「そ……それは何でしょう?」
タナギフさんは、期待半分疑問半分といった表情で、そう聞いてきた。
「新しい鉱山を作りましょう。ちょっと、鉱山取ってきます」
「……は、はい!?」
提案すると……タナギフさんは、呆気に取られたような表情になった。
これは……言うよりも、実際に実物を見せた方が早いな。
「じゃあ、ちょっと行ってきます」
そう言って俺は、混沌剣を取り出し……小惑星を取りに、小惑星帯に向かった。





