第43話 リアルファイトしようぜ
……え、何この失礼な人。
俺なら確かにここにいるけど……そんな乱入するのは失礼にも程があるだろ。
てか衛兵蹴飛ばした時点で、かなり重い罪になる気がするんだが……。
「あの……コイツ一旦追い出しましょうか?」
俺は国王に向かって、そう提案してみた。
コイツは俺に話があって来たみたいだが……無理やりここまで侵入してきたあたり、少なくともコイツが俺以外の人をどうでもいいと思っているのは間違いないだろう。
なんなら、戦闘能力は持たないが重要人物である国王などは、「人質にするのに好都合」くらいに思われているかもしれない。
だとしたら……今最優先でやるべきことは、コイツを可能な限り国王から遠ざけること。
そう思い、俺はそんな提案をしてみたのだが……
「いや……あれはUFO48の団員じゃ。下手に手を出すよりは、まずは話を聞いて穏便に対処した方が得策じゃろう……」
国王はむしろ、そんな判断を下した。
ゆ……UFO48?
なんじゃそりゃ。
「一体それは、どんな団体なんっすか?」
「それはじゃな……」
「何だよ、そっから説明しないといけないのかよ世間知らずが」
俺が質問すると、国王が説明しようとしてくれたのだが……UFO48の団員の男が声を張り上げ、それを遮った。
世間知らずで悪かったな、こちとらこの世界に来てまだ半年も経ってないんだ。
というかほんとコイツ、一体なんなんだこの感じの悪さは。
まあそれだけに、どうもコイツの方が国王より立場が上っぽいのが余計に気になるところではあるが。
「てかその前に聞くけどさ……流星魔獣を倒したのって、お前で合ってるんだよな? もし違うのにしゃしゃり出てんなら、殺すぞ」
などと考えていると……団員の男は、更に敵意をむき出しにするかのようにそう聞いてきた。
「ああ、俺だよ」
「そうか。なら自己紹介してやろう。俺は……この銀河を統べるユーエフ王様の配下の軍・UFO48に所属する一等兵のザネットだ!」
「そうか」
それを聞いて……俺は何となく、国王とコイツの力関係を察することができた。
要は……UFO48ってのは、ユーエフ王って奴をリーダーとした宇宙人の団体ってわけだな。
そしてこの惑星もそのユーエフ王とやらの支配下に置かれていて、だからその一員であるコイツに国王も逆らえない感じなんだろうな。
そう考えれば、これまでの国王の出方も説明がつく。
問題は、なぜコイツが俺を探し求めているのかだが……もしかして、「災いの芽を摘むために、一定以上に戦力を持つ奴は殺しに来た」とか言わないだろうな。
「本来ならこんな辺鄙な惑星、五年に一度の貢ぎ物すら貰いに来る価値無いんだけどな。だからこの惑星の流星魔獣の卵が孵化しそうだって情報が入っても、助けに行く気にもならなかった。けど……その流星魔獣を、倒せる奴がいるってんなら話は変わってくる」
話しながら、ザネットは俺の近くまで歩みを進めてきた。
「そんだけの力があるなら……お前には、UFO48に加入して貰う。今回俺がここに来たのは、お前をスカウトするためなのだ!」
と、こんな感じで……「芽を摘む」路線は杞憂だったものの、コイツ俺を探してた理由は、俺の予想の斜め上を行くものだった。
コイツ……俺の故郷の惑星(実際は違うがそう予測するのが妥当なはずだ)を散々ディスっておいて勧誘って、正気なのだろうか。
スカウトを成功させようとする態度とは、どうしても思えないのだが。
罠……という可能性は、一周回って無いだろうな。
だとしたらむしろ、もっと丁寧な態度で確実に誘い込むだろうから。
大方、コイツはユーエフ王とやらを崇拝していて、「ユーエフ王配下になれると聞いて断るはずがない」とでも信じ込んでいるのだろう。
まあ俺は、UFO48になど加入する気は無いのだが。
この惑星を支配する側に入るってことは今まで関わってきた人々への裏切りになってしまうし、何より俺がこんな奴の部下になりたくないからな。
「断る」
「……ユーエフ王様は宇宙一の圧倒的な力で、全てを手に入れておられる方だぞ。あの方に直接仕えられるのは最高の名誉、選ばれし者にのみ許された特権だ。もちろん、巨額の報酬だって頂くことができる。どうだ?」
拒否すると、ザネットは眉間に皺を寄せてそう聞いてきた。
やっぱり、予想通りだったか。
頭の中お花畑だコイツは。
巨額の報酬っつったって、要は支配下の惑星から不当に搾取した品だろ。
こちとら既に一生遊んで暮らせる金を既に手に入れてるってのに、今更そんな汚い報酬に目が眩むとでも思っているのか。
「それでも断る」
「……まだ言うか! そもそも初めから、お前に拒否権など無いのだ。どうしてもと言うなら……お前を、流星魔獣から守ったこの惑星もろとも消してやる」
再度拒否すると……ザネットは今度は右手にエネルギー弾を浮かべつつ、そう怒鳴ってきた。
「これで聞くのは最後だ。UFO48に……加入するか?」
質問しながら……ザネットは右手のエネルギー弾に、どんどんパワーを注ぎ込んでいった。
これは……まずいな。
『プヨン、幻影色合わせゲームを』
俺は迷う素振りを見せながら、プヨンに念話でそう頼んだ。
この念話はプヨンが魔力を手に入れて依頼使えるようになったもので、誰かに聞かれずに意思の疎通をしたいときに使うと決めていたのだ。
「幻影色合わせゲーム」の画面が投影されると、俺は急いで連鎖を組んでいった。
「ユカタ殿……儂は、ユカタ殿がユーエフ王の配下になろうと恨みはせぬ! どうか自分の身を大切にしてほしい……!」
連鎖を組んでいる間、国王は気を遣ってか、そんな弱々しい発言をした。
悪いが……それは聞けない相談だな。
流石にどうしても、俺はコイツについて行く気にはなれない。
俺がユーエフ王の配下になれば、少なくともこの惑星の破壊はしないでいてもらえる。
そんな考え方もあるだろう。
だが……申し訳ないが、俺の中に「ザネットを倒す」以外の選択肢はもう無いのだ。
ここで俺がザネットを倒したら……もしかしたら、今度はユーエフ王はより強い刺客を送って来るかもしれない。
だがユーエフ王は、良くも悪くもこの惑星を軽く見てるみたいだし……そうなるとしても、次の脅威が来るのは当分先になるだろう。
である以上……後のことは、後になって考えればいい。
「いや」
連鎖がちょうど消え終わる頃、俺はようやく口を開いた。
「リアルファイトしようぜ」
俺は連鎖分の火力で結界を作ってザネットを封じ込めつつ……その結界を掴み、混沌剣飛行で一気に今いる惑星を離れた。





