第40話 2つの候補
ダイさんと別れてからしばらくは、俺は気分転換も兼ねて何となく王都でのんびりと過ごすことにした。
ここ数日は、なんだかんだで結構忙しかったからな。
充実していて楽しかったとはいえ、たまには休みも必要だろうと思ったのだ。
そうして、そんな日々を送って二日が経った日の朝。
俺は宿から出ようとすると……女将さんに呼び止められ、一枚の封筒を渡された。
中身は……国王からの手紙だった。
「領地の候補が決まった、か……」
手紙には領地を授ける準備ができたことについてや、謁見の日時などの必要な情報が書き記されていた。
それ以外には、オリハルコンの溶かし方を調べた功績への報酬についても言及していたが……そちらについては、まだ価値を測りきれてない部分が大きいため、今回の謁見ではまだ検討中となるそうだった。
要は……今回は、俺は爵位を貰う関係の件だけで呼ばれたってわけだな。
何というか、全然実感が湧かないが……まあ当主代理もつくという話だったし、心配することは何もないだろう。
俺は特に身構えることなく、その日が来るのを待つことにした。
◇
そして……国王との謁見当日。
「おお、ユカタ殿か。待っておったぞ」
謁見の間に入ると、国王は前と同じ朗らかな表情を浮かべて玉座で待っていた。
ふと横を見ると……そこには、一人の女性が静かに座っていた。
前回の謁見の時には、こんな人はいなかったのだが……どういうことなのだろうか。
まあ何か俺に関係があるなら、その時は国王が説明してくれるだろう。
そう思い、俺はとりあえず、その人について深くは考えないことにした。
「前会ってから間もないというのに……なんかまた、凄い発明をしたそうじゃな」
国王は、まずはそんな他愛もない話を振ってきた。
「『魔力を補給する服』のことっすか?」
「そうじゃ。聞くところによると、その服、いくらでも魔力が使い放題になる上に普段よりも強力な魔法が放てるようになるそうじゃな」
「はい。Aランク冒険者のムゲジュさんに試着してもらったところ、クラーケンを一撃で倒せるくらいの魔法を撃ってもらうことに成功しました」
「全く、恐ろしいものを発明しおって……」
そう言いつつも……国王は、どこか楽しそうな表情を浮かべていた。
「そんな代物、どう使うつもりなのじゃ?」
「そうっすね。それこそ、騎士の服とかにどうかとか考えてみましたが……」
……そういえば、あの服の使い道、まだどう使うかあまり具体的に考えてなかったな。
未だに、ギルドでパッと思いついた案以外に何も思いついていないし。
ここ数日しっかりと休んだし、そろそろその辺も本腰入れて突き詰めていってもいいかもしれないな。
「ほっほっほっ。そうなればもう、我が国の国境は安泰じゃのう! っていや、それはまだユカタ殿が選ぶ土地次第じゃがのう」
国王は豪快に笑ったかと思うと、真顔に戻ってそう付け加えた。
……国境も安泰、か。
国防といえば……それこそ前ちょろっと考えてた宇宙ソーラーパネルが実現できたら、惑星自体を結界で覆ってしまうのも手かもしれないな。
またいつ流星魔獣の卵みたいなのが降ってくるとも限らないし、それが地上に落ちてこないようにできれば、この惑星はさらに安泰になりそうだ。
というか今、国王、「俺が選ぶ土地次第」とか言ったな。
そういえば手紙を読んだ時も、俺は一つ疑問に思っていたことがあった。
せっかくこの話題になったし、そこを聞いてみるか。
「そういえば、手紙には領地の『候補』とありましたが……あれって、貰える領地の選択肢がいくつかあるということなんすかね?」
「そうなのじゃ。そうじゃな、世間話ばかりするのも何じゃし……そろそろ本題に入るとするかのう。ユカタに授けようと思っておる領地なのじゃが……今のところ、二つの候補があるのじゃ」





