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第34話 呼び鈴

 古びた小屋の目の前に降り立ち、ドアをノックする。

 何回かノックしつつ、二分くらい待ったが……しかし、中からは何の反応も無かった。

 これは……もしかしたら、ノックが聞こえてないのかもしれないな。

 なんせこの建物の本体は地下なのだし、地下の実験室は高い機密性が保たれるよう作られてある。

 もしそこで作業中だったりしたら、地上の小屋のドアをいくらノックしたとて、合図の意味を成さないだろう。

 かといって、何の断りもなく勝手に地下に降りてくのも気が引けるし……困ったものだな。

 地球にいた時みたいに、インターホンでもあれば便利なのだが。

 そう思い、玄関に座り込もうとしたところで……俺は一つ、ある考えが頭に浮かんだ。

 インターホン……この建物になら、あるんじゃないか?

 厳密にはインターホンじゃないかもしれないが、「呼び鈴魔道具」的なものが。

 なんせここは、ダイさんの施設だ。

 自前でその程度の魔道具を開発していたとしても、おかしくはないというもの。

 まあ、一般的でない魔道具を堂々と飾っているとせっかくボロ小屋でカモフラージュしている意味がなくなってしまうので、どこかにさり気なく設置されているのだろうが。

 その在り処を探ってみる価値は、あるかもしれないな。

 俺はこの小屋を鑑定し、「呼び鈴魔道具はドアノブから◯cm離れたところにある」的な文言が出てこないか確かめてみることにした。

「えーと、呼び鈴、呼び鈴……」

 そう呟きながら、鑑定の説明文を追っていると。

 不意に、脳内にこんな音声が響いた。

 

 <ハバ ユカタはサブスキル【検索】を獲得しました>

 

 ……け、検索?

 一瞬戸惑ったが、俺はこれは良い知らせなんじゃないかと考えた。

 俺の考えが正しければ、このスキルはおそらく「『この建物に設置された魔道具を検索』と念じたら、その設置場所が表示される」的な使い方をできるものだろうからな。

 サブスキルとか聞こえた気がするが……サブってことは、鑑定の派生スキルかなんかなのだろうか。

 何にせよ、一旦ステータスをチェックしてみようか。

 

 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 名前:ハバ ユカタ

 Lv.462

 スキル:鑑定(―検索) 神剣飛行

 状態:能力上昇(身体能力・魔法能力共に2割増加)

 適性:神剣所有

 ユニークスキル:スライム召喚

 (相方となるスライムを召喚できる。召喚したスライムは、特殊な能力を持つ)

 

 プヨンのスキル:

①ステータス表示

 ②幻影色合わせゲーム

 (同色のスライムの幻影を4つ繋げて消すことで、大魔法を放てる。連鎖消しすると、魔法も火力も爆発的に増加する)

 ※ハードドロップを実装

 ③次元の地図

 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 なるほど、確かに、鑑定の下に(-検索)というのが追加されているな。

 問題は、果たしてこのサブスキルが俺が思っているようなものかどうかなのだが……。

 (呼び鈴魔道具を検索)

 俺がそう心の中で念じると、ドアの横の壁の一か所に▲マークが表示された。

 試しに、そのマークが指し示すところを押してみると……「ピーンポーン」と、まるで日本の一般家庭のインターホンのような音が聞こえてきた。

 ……どうやら、サブスキル「検索」の使い方はこれで合ってたようだな。

 呼び鈴魔道具も本当に実在したことだし、これでダイさんも俺の来訪に気づいてくれることだろう。

「にしても、すげえなあ」

 俺は呼び鈴魔道具のある場所をさすりながら、そう呟いた。

 この呼び鈴、壁に完全に同化してて、見ただけでは絶対に気づかないようになっている。

 ボロ小屋に不釣り合いな装置が、不自然に目立つことを完璧に防げているというわけだ。

 

 などと感心していると……ドアがガチャリと鳴り、中からダイさんが顔を出した。

「はい、ダイ=アキュートです。この度は何の連らk……って、ユカタ!?」

 ちょっとボーっとした様子のダイさんだったが……俺と目が合うなり、ダイさんは急に目を丸くした。

「え……呼び鈴があるって、どうやって気づいたん?」

「あー、何回ノックしても反応が無かったんで、『検索』ってスキルで呼び鈴を探しました」

「検索……? そんなの聞いたことないんだけど……」

「鑑定のサブスキルらしいっす」

「鑑定……あー、そういえばユカタ、前来た時ウチの実年齢当ててたっけ。熟練者になるとそんな変わったことまでできるようになるんだ……」

 俺の説明に対し、ダイさんは分かったような分かってないようなといった表情でそう返した。

「……呼び鈴、押したのまずかったっすか?」

 ここまで驚かれるとは思っていなかったので、ふと少し不安に思い、そう聞いてみる。

「いや、ユカタにいつでも来てって言ったのはウチだし、それはいいんだけど……この呼び鈴、王宮からの使者にしか存在知らせてないからね。まさかさ、ノーヒントで探し出せる人が出てくるなんて、思ってもみなくてさ」

「なるほど。じゃあ、今後は……」

「普通に呼び鈴使ってくれていいよ。でもこの事は秘密にしとってねー」

 ……どうやら、杞憂だったようだ。

 

 そして、地下に降りると。

「で……今日は、どんな用事で来たん?」

 ダイさんは椅子に腰掛けながら、そう質問してきた。

「ちょっと、オリハルコンを溶かす実験に協力してもらえないかと思いまして」

 質問にそう答えると……ダイさんの表情が固まった。


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[一言] えいっ ふぁいやー あいすすとーむ だいあきゅーと ぶれいんだむど じゅげむ ばよえ〜ん
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