第31話 剣の性能を試す──1
【混沌剣DHMO】
リヴァイアサン討伐で手に入る神剣DHMOを、【混沌剣への進化】を用いて進化させたもの。
斬撃力が単純に十倍になる他、次のような効果を持つ。
・飛ぶ斬撃の追尾機能
・超光速神剣飛行(現在、光速の一億倍まで可能。剣の所持者のレベルに応じて上限が伸びる。相対論棄却機能付きなので、飛行による周囲への影響は皆無)
・自分用特殊空間の作成機能
・ユニークスキル強化
・未覚醒効果(必要に応じて覚醒)◼️
……なんか頭がクラクラしそうな性能になってるな。
斬撃力十倍とか、飛ぶ斬撃機能まではまだ分かる。
いや正直十分意味不明なレベルなんだが、追加機能の中ではまだ理解が及ぶ方だ。
それに自分用特殊空間の作成機能……まあ要は、次元妖が棲んでるような空間を、私有地として持つことが出来るってことか。
住む場所にするか、それとも倉庫みたいな使い方をするか……まあその辺は、おいおい考えていくとするか。
あと、ユニークスキル強化……これ、地味に気になるな。
普通に考えたら、一連鎖あたりの火力が増えているって意味なんだろうが……過去には「ハードドロップ機能がついた」って例もあるしな。
どういう意味の強化なのかは、今後検証が必要そうだ。
で……ここまで考えるのを後回しにしてきたけど、超光速神剣飛行。
これ、一番ぶっ飛んでるってのもそうだが……そもそも、どう役に立つんだ?
確か、光って地球を一秒で七周半回れるんだよな。
今いるこの星が、地球と同サイズとは限らないが……それでも、光速と同等で移動できれば、行きたい場所に一瞬でいけることには変わりないはず。
それを……光速の、一億倍?
ざっと、秒速三光年くらいか。
一体、どこに行く時に使うのやら。
まあ、()内の但し書きを読む限り、超光速神剣飛行で周囲に迷惑がかかることはないみたいだし……これも、使ううちに有効活用法が分かれば儲けもんってくらいに考えておこうか。
なんにせよ、まずはダイさんに鑑定結果を朗読してあげることからだな。
「……って書いてあったっす」
「えーと……うん。なんか……到底理解が及ばないものができちゃったね……」
一言一句違わぬよう鑑定結果を朗読すると、ダイさんは遠い目をした。
まあ、こんな文言を聞いてしまっては、そんな反応になるのが自然だよな。
「こんな性能の剣を手に入れられたのも、ダイさんのお陰です。どうもありがとうございました」
「いやいやとんでもない。ウチだって、こんな空前絶後のヤバい仕事できるとは思ってなかったし。こりゃ今夜は寝れないかもね……」
「俺も今、めっちゃワクワクしてますわ。また機会があれば、一緒に何か作りましょう」
「うん。君の頼みならスケジュール組み直してでも引き受けるよ」
そんな会話を経たのち、俺はダイさんの工房を離れ、宿に戻ることにした。
今日はもう日が落ちるし……明日、丸一日がっつり使って色々試してみるとしよう。
◇
そして、次の日の朝……俺は、まだ真っ暗な早朝に目が覚めてしまった。
「さーて、まずはあれやってみるか……」
こんな時間に起きたというのに、眠気は全くのゼロ。
俺はまず、昨日の晩に思いついたこの剣の使い道を試してみることに決めた。
それは、「超光速神剣飛行で小惑星帯まで行き、小惑星を特殊空間に入れて持ち帰り、精錬する」というもの。
これで特殊な金属とか手に入ったりしたら面白いし、試してみる価値はあるんじゃないかと思ったのだ。
「きょうも、またたたかいにいくのー?」
「いや今日は戦わないだろうな。けど……これから宇宙にいくぞ」
「おそらのうえまでいくのー? たのしみー!」
プヨンは単純に、初めての宇宙旅行(?)に、ワクワクしている様子だった。
まずは……今自分がいる星は地球ではないので、このにも小惑星帯があるかどうかは確かめなくてはな。
俺はスライムを4連鎖消しし、目に望遠魔法をかけて空を見上げた。
すると……
「……あるな」
歪な形の天体が無数にあるゾーンは、意外と簡単に見つかった。
あとは、そこを目指せばOKってなわけだ。
スライムを8連鎖消しし、放射線を弾き、かつ内部の気圧を一定に保つ球状の結界を張る。
そして混沌剣の柄を握ると、いつもの神剣飛行の要領で「飛べ」と心の中で念じた。
もちろん、全速力で飛んで元いた銀河を見失ったりしては困るので、はじめは光速と等しいくらいで飛ぶよう念じた。
だが……元いた惑星が二秒足らずでバスケットボール大のサイズに見えるようになったのを確認すると、俺はこれが全速力の一億分の一だなどとは信じられなくなった。
「んて速さだ……」
最初は軽くショックだったが……次第に俺は、いつまでも小惑星帯が近づいてこないことにもどかしさを感じるようになった。
少し、速度を上げるか。
俺は混沌剣に念じ、光速の百倍くらいのスピードで飛ぶようにした。
そうすると……約十秒ののち、俺が出発前に望遠魔法で確認した小惑星たちが見えてきた。
スピードを緩め、うち一つに降り立つ。
(自分用特殊空間よ、開け……)
そう念じると、次元妖がいない特殊空間が出てきたので……俺はこれが「自分用特殊空間」なんだろうと思い、そこに自分が降り立った小惑星を詰め込んだ。
再び超光速神剣飛行を発動し、王都の近くのだだっ広い平原に降り立つ。
「よし、精錬してみるか」
俺は自分用特殊空間から小惑星を取り出し、ドカッと平原に置いた。





