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第21話 流星魔獣戦──後編

 新GTRで積み上げ、折り返しへ。

 10連鎖分までは、何も考えず慣れだけで一気に積み込んでいった。

 そこまで来ると、俺は確実に暴発を起こさない積み方をするために、少し慎重に次のスライムの置き方を考えるようにした。

 ……まあ慎重にとは言っても脳の回転を大幅に早めているので、実際の経過時間はほぼ一瞬だろうがな。

 11連鎖分、12連鎖分……と、細心の注意を払いながら積み上げていく。

 すると……「ホールド」を有効に活用したお陰もあってか、今回は全く調整を必要としないまま、16連鎖を発火できる状態までやってきた。

 すかさず、俺は連鎖を開始させた。

 上から順に1連鎖、2連鎖と消えてゆく。

 その様子を見つつも……俺は若干、焦りを感じ始めていた。

 流星魔獣がこちらに向かって、迫ってきていたのだ。

 脳の回転を強化させている分、流星魔獣の動きは、まるでスローモーションかのようにゆったりとしている。

 16連鎖が完了するか、流星魔獣の攻撃の手が先に俺に到達するか。

 そのギリギリの状況を前に、俺は連鎖の方が先に完了するのを願うより他なかった。

 そして……。

 俺は、その賭けに勝った。

「くたばれ!」

 三十センチ先くらいまで近くに迫っていた流星魔獣に対し、俺は先ほどと同じ魔法をお見舞いした。

 すると……流星魔獣はこの世のものとは思えないような叫び声をあげつつ、落下して俺から離れていった。

 間に合うかどうか分からなかったのは、かなりの恐怖ではあったが……代わりに外しようがないレベルで狙いやすかったのは幸いしたな。

 などと考えつつ、俺はのたうち回る流星魔獣の手が掠って降ってしまったお邪魔スライムを処理すべく、連鎖を組んでいった。

「プヨン、一瞬だけ鑑定に戻ってくれ!」

「りょうかーい」

 もう一度プヨンに、強化鑑定になってもらう。

 そこには、こんなことが書いてあった。

 

 【流星魔獣(装甲進化型)残り体力 48%】

 卵として隕石のごとく飛来し、落下先の惑星で孵化、暴れまわる怪獣。

 孵化の予兆は魔物の急激な増加で、孵化二十四時間前から起こる。

 この被害を受けた文明は、殆どの場合消滅する。

 ※孵化までに二千年かかった個体につき通常個体より遥かに強い。

 ※現攻撃での想定残り体力:敵総体力の0%程度◾︎

 

 お邪魔処理の都合から、2連鎖ダブル(2連鎖目に同時消しが発生すること)で強化することになった俺の鑑定には、前回とはまた違った表示がなされた。

 ……0%程度、か。

 俺は、その言い回しが特に気になった。

 敵の体力を約50%削れる攻撃の二発目というだけあって、想定通り、敵の体力はほぼゼロに等しくなるようだ。

 だが……0%「程度」ということは、おそらく敵の体力はわずかに残るということなのだろう。

 仮に小数点以下が四捨五入されているとすると、敵の体力は最大0.49%残ることになる。

 ということは、だ。

 敵が捨て身の攻撃に出る前に、とどめを刺しにいかなければならない。

 すかさず、俺はもう一度スライムを積み始めた。

 9連鎖分くらいが積み上がったところで、闇雷攻撃の効果が消える。

 これ以上は組んでいられないと判断した俺は、連鎖を発火することにした。

 瀕死の流星魔獣は、微動だにしないように見えて……その口には、一矢報いるための魔力が着実に集められていた。

 俺の直感は、「アレをまともに受けてはならない」と言っている。

 早く連鎖完了してくれ。

 異様に長い体感時間が過ぎると、漸く連鎖が完了した。

 俺はその魔力を身体強化に利用した。

 その直後……流星魔獣の、最後の咆哮(ブレス)が飛んできた。

 身体強化に伴い強化された移動速度で、その咆哮を躱す。

 その咆哮は宙の彼方へと飛んでいった。

 そのまま、流星魔獣の近くまで一直線に飛ぶと……俺はその目に、グサリと神剣を突き立てた。

 

 ……勝ったのだろうか。

 確証を持てず、不安に思っていると……脳内に、久しぶりにあの音声が流れた。

 <ハバ ユカタはレベルアップしました>

 それを聞いて……俺はようやく、安堵することができた。

 倒していないならば、レベルアップはしない。

 対偶を取ると、「レベルアップしたなら、倒した」

 つまり、俺は流星魔獣に勝ったのだ。

「すごいふわふわするー! いままででいちばんだー!」

「ありがとう、プヨン。そう言ってくれると尚安心するぜ」

 プヨンに経験値が入っているという事実も、流星魔獣が万に一つも生きている可能性がない証言のように思えた。

 俺は倒したての流星魔獣の上に横になると……勝ちをより実感すべく、ステータス画面を開いた。

 

 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 名前:ハバ ユカタ

 Lv.462

 スキル:鑑定 神剣飛行

 適性:神剣所有

 ユニークスキル:スライム召喚

 (相方となるスライムを召喚できる。召喚したスライムは、特殊な能力を持つ)

 

 プヨンのスキル:

 ①ステータス表示

 ②幻影色合わせゲーム

 (同色のスライムの幻影を4つ繋げて消すことで、大魔法を放てる。連鎖消しすると、魔法も火力も爆発的に増加する)

 ※ハードドロップを実装

 ③次元の地図

 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 レベル、ほぼ倍になったな。

 また近いうちに、今の何連鎖がレベルアップ前の何連鎖の火力に相当するのか確認する必要がありそうだ。

 スキルは……プヨンのスキルに、次元の地図とかいうのが追加されてるな。

「プヨン。今の戦いの後……ふわふわ以外にも、何か感じなかったか?」

「うん。なんかあたらしいわざをおぼえたよー!」

「やっぱりな」

 次元ってついてるし、おそらく次元妖に関連するようなスキルなのだろう。

 これがあれば、高等妖兵を効率的に見つけだして狩れたりするのだろうか。

 まあ、それも落ち着いてから確かめるか。

 それと……幻影色合わせゲームにハードドロップを実装、ね。

 これは……要は、フィールド内のスライムを落下させるのではなく着地点に瞬間移動させることで、組むタイムを短縮できる奴だよな。

 できればこれは、流星魔獣と対峙する前に欲しかったものだ。

 これが実装されてるとされてないとでは、連鎖を組む速度が段違いに変わってくるのだから。

 まあ、流星魔獣を倒したからこそ手に入ったスキルに関してごちゃごちゃ言ってもしょうがないか。

 一通りステータスの確認を終えた俺は……ドッと疲れが襲ってきたので、ここで少しボーッとすることにした。


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書影公開されました!
『スライム召喚無双』第一巻は8/10に、カドカワBOOKSより発売です!
イラストはともぞ様にご担当頂きました!
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