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旅路

「お客さーん、乗り心地はどうですかい?」


「最高でーす!ね!ハルカ君!」


「そうだな。」


晴れた草原を馬車が進む。


僕達以外に開拓地へ向かう人はいないようだ。


「それは良かった。日が沈む頃には着きますからね。」


首筋を抜ける風が心地よい。


「ところでハルカ君、さっき言ってた大陸が割れた話聞かせてくれません?」


「そうだな、時間もあるしな。」


背もたれを倒し、帽子を顔にのせる。


「約5000年前の話だ。通称旧世界。世界は4人の大王によって収められていた。魔人種族長ジン、大鬼種族長ドウジ、大天使ルシファー、人間種族長イヴの4人。」


「なんか地球で聞いたことあるような名前ばかりですね。」


「何で聞いたことあんの?まあいいや。当時の世界では魔法がすごく発展していたんだ。今よりもずっと。」


「へー、楽しそうな世界ですね。」


「そうでもないさ。時間を操り、空間を捻じ曲げ、環境を変化させすぎて、世界はだんだん脆くなっていったんだ。その流れの先頭を行っていたのがノストって言う組織。彼らにとっては世界平和よりも魔法の発展の方が大切だった。」


「よくある悪の組織ですね。それで勇者が登場するんですよね?」


「そうそう、よくわかったね。大王たちは世界の異変に気付いて魔法の研究をやめさせていたから、魔法を発展させまくったノストには敵うはずが無かったんだ。その時現れたのが勇者ミシェル。彼は森精種だったとか、魔人種だったとか、いろんな説があるが、詳細は分かっていない。」


「詳細不明ってかっこいいですね。」


「あぁ、彼は類稀なカリスマ性と戦闘スキルで信者を増やし、大王たちと協力してノストを殲滅しようとした。追い詰めるところまでは上手く行ったんだが、追い詰められたノストは世界を滅亡させる為に破壊魔法を放った。」


「え?大丈夫だったんですか?」


「あぁ、勇者と大王達は崩壊に巻き込まれてしまったが、生き残った王族達が崩壊を食い止めた。大陸と世界が4つに割れただけで済んだ。」


「へー、それで終わりですか?」


「いや、割れた大陸にはそれぞれ魔人種、大鬼種、天使種とその眷属の獣人種達、人類種が住んでいたのだが、魔法適性が低く貧弱な人類種は世界を保てなくて崩壊した。そして、タイゼン大陸、ヒエイ大陸、ワールニッツ大陸の3つが残った。これで終わり。」


「すごく異世界って感じの話ですね。」


「ちなみにその時代に存在した魔法は古代魔法と言って、遺跡のワープホールみたいに復元されている物もあるんだ。」


「やっぱあれ古代魔法だったんだ!すごいなーって思った!」


馬車はたまに小石を踏み、縦に揺れる。


一瞬二人の間に沈黙が訪れるが、それをサオリが破る。


「ねぇ!あそこ!鳥が飛んでますよ!」


「鳥くらいどこにでもいるだろう。」


「こっちに来る!」


「ん?」


帽子を上げ、外を見る。


「あぁ、新聞屋だな。今日は随分と遅かったなぁ。」


肩にバックをかけた鳩がこっちに向かってくる。


「あれが新聞屋さん!?漫画で見たような光景。」


鳩は馬車の手すりに止まる。


「でかっ!」


器用にくちばしで新聞を取り出す。


「ありがとう。」


鳩は一例して飛んで行った。


「なんて書いてあるんですか?」


東の海洋都市が壊滅の危機。


「海牙獣が目覚めた可能性が高いってさ。僕らには関係ない。」


「海牙獣ってなんですか?」


「それも知らないのか。」


「はい。」


「古の神デウスが創り出した最強の生物。陸角獣と対の生物で、旧世界からの生き残り。」


「旧世界から生きている生物がいるんですね。」


「いるよ。陸角獣、海牙獣、大天使ルシファー。あとは神への反逆罪で大監獄タルタロスに幽閉されているギルガ。他にもいたかな?忘れた。」


「結構いるんですね。」


「全員バケモン。」


再び帽子を顔の上に乗せる。


「お前これが終わったらどうすんの?」


「どうすんのとは?」


「僕は一ヶ月後に学院へ行く。お前も来る?」


「え!?行きたい!でも学費とか払えないか…」


「いやいや、王都の学院は学費安いよ。学院自体が都市になってるから、バイトでも探せば十分払える額だと思う。」


お前には是非来てもらいたい。リリィが地球にいる可能性はやっぱり捨てきれない。


「貴族じゃないやつは入学試験とかあると思うけど、そんなに難しくないって噂だから多分大丈夫だろう。実技試験は教えてやる。筆記は、まぁ頑張れ。お前頭は良いか?」


「一応地元の超難関進学校合格してます!不登校ですけど。」



「…なら大丈夫だろう。」


時々訳わからないこと言うんだよな、こいつ。


「僕は今から寝る。お前も寝とけよ。初クエストは多分夜だから。」


「そうなんですか?おやすみなさい!また目的地についたら。」


僕は帽子を深く押し付け、深い眠りについた。

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