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俺の嫁はスライムです。  作者: タータ/タンタル
神に挑む者達 前編
37/37

昔々、

かの男、『黒崎 俊』は家族殺しの殺人鬼だ。

そんな、身も蓋も無い噂が広まっている。


そんなはずは無い、そう思って弁護をすると周りから、特に親から冷たい目線が来る


この世は理不尽なものばかりだ。


ついこの間、その事を知った。


住宅街の一角、黒崎家の門前にて

「家族の事をもう諦めたのかよ。俺たちは味方だからな。あと少しだけでいいから頑張ろう」

「…もう……『もう』じゃない、『二年間』『730日』だ」

完全に諦めた表情の友人、周囲に何度も裏切られ、絶望している事がひしひしと伝わってくる。

「まずは、親戚に裏切られた。子供一人を養えないんだとさ。よほど金が減るのが嫌なんだろうな『家を出なければ養わない』なんて、思い出の家を離れたくないのにさ。しまいには殺人鬼なんて親戚の恥だと縁を切られた」

ハハっと乾いた笑みを浮かべる。

「次に学校だ。先生の対応はもちろん。後天的精神異常者だと、憐れみの目線だ。さらに殺人鬼だなんて噂が広まれば、毎日呼び出されるは、イジメられるわ、その事を教師は何もしない。アンタらのせいで風評被害が強まったっていうのに」

ジロジロと通りがかった人々の目線が刺さる

「中に入れよ。隠してある死体なんて無いんだから」

「ああ、邪魔するよ」

玄関を含め、部屋は綺麗に整えられている。

昼間はやる事がないため、このように整頓されているのだろう。

家に上がり、居間のソファーに座る。

「牛乳ならあるが、いるか?」

「ああ、くれ」


目の前に運ばれて来たガラスのコップに入った牛乳を飲む

「なぁ、交通事故って事にしたんだろう」

「ああ、まぁ、下手に出てあんな目に遭うのはこりごりだからな」

「………そうだな」

「ああ、もうあんな目に遭いたくないんだ」

俊は目に涙を溜めて、今にも泣き出しそうになる

「なぁ、マサユキ、お前さ、俺がこの二年間頑張った根拠は分かるか?」

「根拠?あんなに優しい両親が自分一人を置いて夜逃げするわけがない。借金はそこまで無いはず」

「ああ、だがなぁ、本当の根拠……鼻で笑うなよ。サツがそうだったからな、『なんで殺人事件だと思ったのか、本当の事を言いなさい』って言われて、正直に言って、『ふざけてないで、遊びじゃ無いんだよ』だとよ。しかも、身も蓋も無い噂でこっちが尋問にかけられたからな。国に裏切られた気分……裏切られたのか」

「手がかりが全く無いからだろ。向こうも焦っているんだろう」

「だからって、だからって、この心の傷はどうしてくれる『お前が親父さん達を殺したんだろう』だとよ。証拠も何もないから自白させようとして来たんだぞ。椅子を蹴飛ばし、机を強く叩いて、狭い部屋で、何人もの大人に囲まれて、隣の部屋にもガラス越しに何人もいるし、なんなんだよ!」

目からポタポタと涙が溢れている。友人にとって何もかもが敵なのだ

「話を元に戻すが、俺の一番の根拠は、妹達の気配が無いからなんだ」

「そりゃ、離れ離れになれば気配は消えるでしょ。いや、お前が根拠にするんだ何か理由が…」

「いつでも何処でも家族の、特に妹の気配がしたんだ。近くにいるとガンガン気配が飛んでくるんだ。だから、いつでも何処でも、何処にいるのか地図を見ればすぐにわかったんだ」

「……本当?…いや、信じるよ。第一に嘘をつくはずがない」

「ありがとう。なんて言うんだろう?溢れ出た力の片鱗とでも言うのかな?」

「……いわゆる『オーラ』というものか?」

「そうだ。それだ、そうそう。そんな感じで纏っているんだ」

「オーラを纏って何か出来ないのか?アニメみたいにさ、気合玉とか」

「無理だろ。そもそもアニメじゃないからな」

「そうか、それもそうだな。ファンタジーみたいなことなんてあるわけ………証拠の無い失踪?…監視カメラに写っていた不気味な男……まさかな…」

「ははっ、流石に無いだろう」

「だよなぁ。ラノベみたいな展開な訳がないよなぁ」

「だな。はぁ、うん?わかった」

「わかった?どうかしたの?」

「ああ、一大事だな」

「?」

「お前がな!」

「ウブッ⁈」

机に叩きつけられた。痛い

「何をするんだ」

「?…何をするだと?こっちのセリフだ。ファンタジー野郎」

………痛い?なぜ?

「こんなにビンビンオーラを飛ばして、アンタこそ何者だ?」

「………鋭いですね。あなたこそただの一般人じゃない」

「こっちが質問しているんだ。答えろ。変装者さんよ」

「ッ⁈なッ何」

動かない。体が恐怖で震えている。

絶対的な力を持っているのだ

自分よりも圧倒的な力を

それになぜ変装に気がついた?完璧なはず…一ミリの狂いのないように注意してマサユキに変身したはずだし、神気も抑えた。完璧なはずだ

「口を割らないのか?…あの時と同じだ。家族が消えた時も何かがこの世界に入って来た感覚があった。アンタの関係者だろ?波長が出るやつなんてそうそういないからな」

「波長が出ている?見えるのか?」

「何?まさか、本当にただの一般人じゃないとはな。口を割ってもらおうか、なに、変装してまでこの家に入ってきたんだ。なにか用があるんだろう?」

「……もはや、これまでか。なんなんだい?君の力は、僕らよりもあるじゃないか」

「…?この(オーラ)の事か?ならばアンタは“僕ら”の中で一番なのか?」

「いいや、十番目ぐらいさ。ちなみに僕は一番を探してる」

「そうか…で?なぜわざわざ俺の所に来たんだ?」

「それは…まぁ、簡単に言えば、余りにも力が強すぎて勘違いした。まぁ、そこまで力を持った君が、なぜこの世界にいるのかも気になったからね」

「……そうか、まぁいい、とりあえず帰った帰った。生憎、外に出たくないのでね」

「ああ、わかってるよ。だいたい分かってる」

「?そういう能力か?まぁ、俺を巻き込むなよ」



玄関まで見送られた後、庭先で変装を解き、近くのホテルに戻った。


まさか、すぐに気づかれたとは…何者なんだ?あの男の友人の記憶を読み取って、周辺調査をしたのに。調べたところ、普通の一般人なのだが…ただの人間ではない事は確かだ。



まさか…かの男の家族の誰かが



自分たちの創造神なのか?







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