前兆
「ここが、例の村ね」
「うん、そうだと思う」
「ここに、怪物…いや、魔王と勇者がいるのね」
「そっちはさほど重要じゃないさ、本命は彼さ、この【邪】の継承者にふさわしい、貴方の勇者の兄さ」
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「シュンさん、どうしたっす?」
「いや、なんか来たような気がして」
「おいらの天眼には何も映ってないっす」
「そうか、気のせいか」
広大な土地で今日も今日とて畑仕事をする一向であった
「シュンさ〜ん、見てください、私のキュウリ、すごいおっきいでしょ」
「おーい、そんなはしゃいでると落っことしちまうぞ〜」
「あっ」『ズルッ』
『収納』
「ほら、言わんこっちゃないんだぞ、せっかくのキュウリが土だらけに……あれ?」
「おーい、こっちこっち」
「あれ?ああ、ありがとうございますシュンさま〜」
「すごい便利なんだぞ、というかなんで収穫でそれを使わないんだぞ?」
「だって、一個一個認識するのが面倒なんだもん」
「いや、一個ずつハサミの代わりに使えばいいんじゃ、なんだぞ」
「おお、なるほど、あえて一気にやらないのか」
「なんでアイツあんなに抜けているのに、荒神に気づいたんだ?」
「それは言わない約束っす」
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「え〜と、失礼しゃす」
「お邪魔しま〜す」
「ああん、あんたら誰だ」
「ええと、なんでしたっけ?」
「邪神とその手先です」
「ちょ、ストレート過ぎない⁈」
「ジャシンか…宗教には縁がないタチでな、すまんな」
「大丈夫ですよ、私達が用があるのは」
「彼です、あの黒髪のおっきいキュウリの方です」
「おっきいキュウリ…ああ、シュンのことか…何用だ?」
「おお、その反応はもうすでに何かしらあったのか」
「ああ、いや…あのせがれにはこっちもいろいろ世話になっているんでな、最近やたらとアイツに会いに来る奴がいるんでね」
「彼の身内のことは」
「ッて、なんでお前ら俺にアイツのことを聞くんだ?直接会いに行け」
「そうですね、その方が手っ取り早いので、そうしましょう」
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「あれ?誰か来る」
「あっ、本当なんだぞ」
「なんか、どんどん人間離れしていくね」
「こうして、シュンさまが人間じゃなくなったら、晴れて私と結婚できるってことね」
「いや、人間だから、というか人間でも結婚できるから」
「やったわ、じゃあ、収穫祭ぐらいに結婚しましょう」『モジモジ』
「え………(そういう意味じゃないのに、ただ思わずつっこんだだけなんだけど)」
「ああ、とうとうカップルがまた出来たょ、なんか俺だけ相手がいないなぁ」
「元気出すっす、おいらがいるっすよ」
「ありがとうエリス」
「…(うわぁ、なんか急に断った時の罪悪感が〜、やめてマリさん、その目はやめて〜)」
「で、返事はどうなんですか、OKですかNOですか、シュンさま?」
「もちろん、謹んで承ります(こうなったらヤケだ)」
「わーい」
「うん、同年代の子がどんどんカップルになっていく……」
「だからマサユキさま、おいらがいるっす」
「(いい加減気づかないかなぁ、と思うんだぞ)」『じ〜ー』
「はひぃッ(やめてマリさんやめて、怖いから、その目はやめて)」
「あれ?マサユキさま、はいッて言ったっすか、言っちゃったすか」
「え、ええ」
「よしゃー、これでおいら達も晴れてカップルっす」
春である、夏真っ盛りだが
「なぁ、僕達忘れられてないか?」
「さすが、勇者の兄さん、マイペースなのも似ているわ」




