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20年後に会った元カノ、昨日別れた元彼。  作者: 逢坂 遥
第一章 四月 はじまり
3/77

003_後ろの席の女王様

三人目のヒロイン登場。

主な女キャラが出揃います。

 幸いホームルームはまだ始まっていなかった。ただしもっとめんどくさい問題があった。


 「あっ、翔、同じクラスだ!!」


 急いでいたせいでバーンと音を立ててドアを開けてしまい、派手な登場となってしまった。そしてそれをクラス一派手な人に見つかってしまった。

 いや…あいつなら俺が忍者並に静かに入ってきたとしても気づいてしまうかもしれないが。


 午○の紅茶のミルクティーくらいの明るい髪をゆるく巻き、カーディガンから10センチも出ていないんじゃないかというほど短くしたスカート。濃いギャルメイクで元の顔は良く分からない。

 女子カースト1位にして学年の女王様。

 下倉 綾。俺の、大がつくほど苦手な相手だ。トマトよりも苦手だ。


 「やっほー、翔」

 こちらに手をひらひらと振っている。しかも。

 「席ここね」

 ピンクのラメが施された長い爪で指したのは女王様の真ん前の席。俺は()()みや、彼女は()()くら。嗚呼、名簿順なんて死ねばいいのに。


 ホームルームが終わった後のはじめての10分休み。女王様は隣の席の女子とお話しなさっている。(敬語間違ってるよな?)


 「ねー、翔と同じクラスとかマヂサイコーなんだけどー」


 そう、俺は女王様に好かれてしまっているのだ。しかも、大抵の女は俺のこの端正な顔立ちに興味を惹かれても性格の暗さで勝手に遠のいてくれるが、こいつの「好き」は気まぐれとかあいつかっこいいとかのレベルではない。おいおい分かるだろう。


 甲高くうざったい声のやりとりはまだ続く。騒音だ。公害だ。ストップ。……なんて言う権利は俺にはないし誰にもない。なんせ相手は女王様だ。


 

 「ねみぃ!!」

 始業式に、よく校長は中身のない話を何十分もできるよな。クラスのロングホームルームは寝とくか。


 「みなさん眠いでしょうから、私の話は最後にして、みなさんの自己紹介でもしてもらいましょう」

 担任の、30過ぎの女性教諭が笑顔で話す。一回り上の先輩の代では『可愛い』と評判だったらしいが、正直今はおばさん化が始まっている感じが否めない。


 あああ自己紹介とかダルい。俺らが眠いことを知っているなら一コマ分寝かせてくれよ。

 ……俺は素直に自分の欲求に従うことにした。


 zzz。


 「おい、篠宮!!!」

先生の声も俺の耳には届かず。


 zzz。


 「翔、起きて」

 後ろの席、女王様に頭を軽く叩かれた。俺がムクっと起きた途端クラスが爆笑に包まれた。うわ、最悪。目立たなく地味な高校生活を送ることを目指しているのに。


 自己紹介の内容?名前、去年のクラス、「よろしくお願いしゃーす」で結んでおいた。俺が席につき、交代で後ろの席の人が立つ。


 「下倉 綾です!好きなものは…んー、何にしよう」

好きなものを言おうとした癖に何も考えていなかった様子。アホかよ。なんて俺は思っても言わない。


 「前の席の人ですぅ♡」

 お調子者系男子の発言にまた爆発的な笑いが起きた。念のため言っておくが、上記のセリフは下倉本人のセリフではない。もし下倉に自己紹介から堂々とそんな宣言されようものなら、俺はこの教室の窓から飛び降りることすら怖くないかもしれない。


 俺のHPはとっくにマイナスだ。そして女王様もまんざらでもなさそうな反応しやがる。

 最悪を通り越したらなんて表現すればいいんだろう。そんな1日は最後に佐藤の言葉で救われた。

 「今日ラーメンおごってやるよ」

主要女キャラが出揃った……出揃った……

……えっ、2話で出てきた人の紹介がまだだって?


お読みいただきありがとうございました!

次回も読んでいただけると幸いです。

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