016_ファストフード店にて
なんか語ってます。
この文章単体に起伏はありませんが伏線にはなるかもしれません。
この前の件を聞き出すべく俺は今日鈴谷とともに駅前のファストフード店に来ていた。
「下倉のどこを好きになれるの?あのウザい女王様を?」
俺は単刀直入に聞いた。
「まずさ、あいつ可愛いじゃん」
まあうちの学校のレベル低い女どもと比較すればそうかもしれないけど、厚化粧で素顔なんか分からない。中学の途中までは化粧してなかったが、その時もめちゃくちゃ可愛かったといかいう記憶は無い。
……まあ、このチャラそうな男の好みはああいうのなのかもしれないな。
「可愛い子はとりあえず遊び誘ったり何かきっかけあったときに優しくしたりさ、そうすれば大体落ちてくれるからさー、てきとーな関係維持して遊んだりすんじゃん?」
いや、すんじゃん?って言われてもそもそも可愛いからといって何かするわけでもないし、『大体落ちてくれる』ってなんだよ。まあ、鈴谷の顔ならあり得るんだけどさ。
「で、綾さ、高校で出会って即口説いたんだけど~、全く落ちてくんなかったんだよね。で聞いたら翔にぞっこんだって」
「今まで本当にさ、目ー付けたコに一発でフられたことなんてなかったんだって。あ、彼氏いる子は除いてね?だからさ……気になって気になって」
こいつの思考は俺とは異次元をいっているのだろう。どこも分かり合えない。
「俺が言うのもなんだが……あいつに振り向いてもらうのは難しいと思うぞ」
「そんなの分かってるって。でも綾なら、もし振り向いてもらえたらずっと俺のとこにいてくれると思うんだ」
どういうことだ?
「所詮オレと仲良くしてる女子で、本気で俺のこと好きな奴なんていないんだよ。お互いに遊びって感じ」
そりゃみんなにそんな態度とってれば相手だって本気にゃしないだろうけどな。
「最近は遊ぶのやめてんだぜ?好きなコがいるからって」
ピアスがついた耳を触りながら話す。
「まあ可愛いっつーだけで好きなわけじゃないよ」
駿が語り始めた。意外だった。
「例えば、芯が通ってて強いところ。大体オレのところに群がる女のコたちとかさ、オレに合わせてばっかりで、まあ楽っちゃ楽なんだけどつまんないんだよね。どこ行きたいかって聞いてもどこでもいい、とか」
「でも綾は自分の意見を強すぎるくらい持ってる。でも、ただ自分の意見言うだけじゃただの我儘女じゃん?ちゃんと相手の意見も聞けるし、意見が衝突したら出来るだけ柔らかい言葉を使ってる。それってなかなか出来る人いないと思うんだ」
「プライドも高くて正義感も強い。人に流されない。めちゃくちゃかっこいいところも好き。あと……好きなものをずっと貫いてるところも好きなんだ。例えば翔のこととかね」
ここまで下倉の内面を見ている駿に驚いた。失礼だが、何も考えずに生きているような奴だとばかり思っていたからな。
俺からすればウザい女王でも、確かに駿の言っていることは当てはまる。
「あと……綾は、言わばカースト頂点じゃん?俺の経験則、大体そういう人って人見下したりするし、綾の取り巻きとかその辺はそういう節もあるけど、綾が人の悪口言ってるのとか聞いたことない。というか、取り巻きに注意したりしてる。綾はむしろハブられ気味な人も取り込んでいく。だから、ここまではっきりしたカーストがあるクラスなのにまとまってるんだよ」
そう言われると下倉はとてもいい奴に思えてくる。というか欠点はギャルであることと俺に対してウザいってことだけか?
「が、頑張ってくれ」
「うん」
久しぶりに人の恋バナらしきもの(客観的に見れば鈴谷が下倉について熱弁していただけ)を聞いた。
まだお腹が空いていたのでホットアップルパイを追加注文しようと腰を上げようとした時。
「あっれぇ~駿と翔って珍しい組み合わせだね~っ」
げっ、下倉の取り巻き。名前は忘れた。
「おー、静華、麗菜!」
「ねー駿、さっきの話まぢ?」
聞かれてたのか。まあ俺の知った話ではないけど。
「えー内緒内緒!お願い」
「どうしよっかなー」
うわこいつら性格悪っ。
「いいよ、ウチら秘密にしといてあげる」
「まじサンキュー」
こいつらはなんとかなったらしい。
でも店には他にも俺らのクラスメイトがいたことに、俺も鈴谷も気付いてはいなかった。
長いセリフ多めですみませんm(_ _)m
それだけ綾を大好きなのだってことで……。
お読みいただきありがとうございました。
次回も読んでいただけると幸いです。




