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20年後に会った元カノ、昨日別れた元彼。  作者: 逢坂 遥
第一章 六月 三角関係(?)
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013_体育祭 1

体育祭編、長くなってしまったので2つに分割しました。

 今朝いつもより若干早く起きてリビングへ行くと、何年ぶりか分からない(厳密には約3ヶ月ぶり)『お弁当』が置いてあった。


 弁当の下にメモがあったので引っ張ってみると

 「勝たなきゃ、翔のちっちゃい時の恥ずかし~~話未羽ちゃんにするから」


 俺の恥ずかしい話ってなんだよ!!心当たりがありすぎて分かんねぇよ!!


 ってなる前に


 「櫻ぁぁぁありがどおおおおおお」

 櫻がシスコンもどきのクソキモい従兄にお弁当を作ってくれるだと!?今日は最高の日だ!このメモだってツンデレのつもりなんだろう!俺は意訳できる!

 「翔、体育祭頑張ってね♡」ってことだ!ひゃっほーい!


 ちなみに櫻は弁当を作ってからもう一回寝たのだろう。

 体育祭自体は始まるの9時半だし、来賓の長い長いお話があることを考慮すると櫻は10時半に学校ついてれば全然良いもんな。10時前に家出ればオッケー。


 「櫻のために頑張ろう」


 そう決心し、俺の所属する青団の全員が着用する真っ青なTシャツに着替えて、いつもより早い電車に乗って登校した。

 

 「あ、おっす翔、今日は体育祭日和な雲一つだけある晴天だな」

 雲一つだけあるのかい。佐藤は天然で言ってるのか笑いをとろうとしたのか分からないから微妙な奴だ。後者だったとしてもクソつまらん。


 「ところで体育祭マジックって言葉を知っているか?今日活躍してかっこいい姿を見て俺の女子からの好感度急上昇!それにだな、前から俺のこと気になってた誰かが体育祭マジックとやらに便乗とか言いつつ告ってくるんじゃないかなー、あと(省略)」


「安心しろ、お前に告白しよう輩など誰一人いないから」

「ひっでぇな、この上っ面だけのイケメン!!」

 だから佐藤はそのメガネをやめろと何回言ったかな。


 「お前はいいよな、顔が良いし運動神経もいいから体育祭マジックの恩恵受けまくりだろ」

「興味ねぇ」


 ん、一つだけ思い当たる節があるぞ?


 「そうそうそう俺さ、櫻に弁当作ってもらったんだぜ?いいだろ?体育祭マジック最高」

 「お前体育祭マジックという単語の使い方間違えてんぞ…ってマジか!あの美人な子だろ去年お前んち遊びに行ったときいたよな覚えてるぞ!おい俺にも分けろ」

「やだよ櫻様が俺に作ってくれたものだぞ!お前に分けるものなど米粒一つもねぇ!」


 「うわー、朝から醜い争いだなーっ」

 女王様、下倉が降臨。あれ、降臨って神に対しての言葉だったかな。


 あからさまに固めた、お団子が某ネズミのキャラクターみたいな位置にくっついている。これからネズミーランドにでも行くのか?


 「おはよー翔、どう?5時起きで頑張ったんだよ~っ」

「ネズミみたいだな」

「は、はあ!?ひどくなーい!?」

 下倉はあからさまに顔を顰めた。俺は思ったままを述べただけなんだがなー。


 佐藤はそんな俺と対照的に、下倉を褒めていた。

 「下倉さん似合ってるよ」

「佐藤に言われても微妙なんだけど」

「ちょ、ひどくないっすかー?」

「うそうそ、嬉しいよありがとう」

「なんか棒読みだよな!?」


 下倉が去ってから『この対応の差はなんなんだー』とかほざいてたけど、俺の知ったこっちゃねぇ。

 まあ少なくとも佐藤に『髪型似合ってる』とか言われて喜ぶ女子はなかなかいないと思うな。


 絶対、今日の主役になるだろう鈴谷もやってきた。


 「おはよう綾、髪型かわいーね」

 なんでどいつもこいつも似合ってるとか可愛いとか言えるんだろう。


 「まぢー?ありがと!」

 鈴谷と会話してるときには、下倉は女子同士で会話する時と同じ種類の笑顔をしている。佐藤への対応とは大違いだな。

 

 来賓の、聞く必要性を全く感じないお言葉を何十分か聞き流し、体育祭は始まった。


 「あれ、綾は?」

 鈴谷に訊かれたので、下倉は最初の競技である綱引きに出場するから今はここにいないということを伝えた。


 フィールドに下倉の姿を見つけたようだ。

 「あ、あれ綾だよな?」

「あのネズミ頭は下倉じゃねーの?」


 「綾~頑張れ!!」

 よくそんなに堂々と言えるな。


 「ねー駿、私にも頑張れって言ってよ~」

 いつの間にか駿は大勢の女子に囲まれてしまっていた。そんな目立つことするからだよ。いや、駿的にはハーレム大歓迎か?


 「はいはいみんな撫でてあげるから許して~?俺は青団の応援しなきゃだからさっ」

「キャー!!」

 よく軽々と女子の頭に触れるよなあ。ほんと色んな意味で尊敬だ。俺はああなりたくはないね。


 綱引きは第3位だった。なんともいえない順位。

 「えーん3位だったぁー」

「そんなの綾のせいじゃねーから、ほら他の競技でいくらでも挽回できっからさ」

 下倉に対しては他の女子にするときよりも撫で方が丁寧で優しいような気がした。


 「うええええん翔~~」

 「うわ゛っ、抱きつくな!」

 助けて。


 「ひゃぁ!!」

 下倉は急に叫んだ。見れば、鈴谷は下倉の首筋に冷たいスポーツドリンクを当てていた。

 びっくりして俺から離れてくれた。さんきゅー鈴谷。


 「ほら一口やるから元気出せ」

「びっくりしたぁ~!まぢ?くれんの?ありがとう!!」

 しれっと女子と間接キスしちゃうあたり鈴谷ってすごいよな。何度も言うがああなりたくはない。


 佐藤は今ハリケーンに出場しているからいない。

 向こうから寄ってきたから、俺は鈴谷と一緒にいた。

 それにしても鈴谷といると周りからの目がすげえな。女どもの目が、ホログラム入ってるのかってくらい輝いている。


 「翔のファンの目線もあるぜ?」

 は?

 俺は確かに、見てくれは『(自称)若手イケメン俳優』と紹介しても疑われない程度に良いのだとは思う。周りからも言われているのは知っている。それに、あの女――一般的な呼称ならば、母親――は、()()綺麗な人だったからな。


 が、なんせ鈴谷と違ってコミュ力0ノリ悪い性格悪い陰キャシスコンもどきだぞ?

 今までのパターンだと(一部――下倉とか下倉とか下倉とか、たまに下倉の取り巻きとか――を除き)、顔だけだとかクール気取りだとか言われて終わるだけだ。


 「まあ聞いて見ろよ」

 いつもなら耳からシャットアウトしているような、名前も知らない女子生徒たちの会話に耳を傾けてみた。


 『ねーあれ駿だよ!かっこい~!!』

『いや~顔は絶対翔の方が上だって』


 「顔は、かよ」

「まあまあ」


 『でも翔って全然話さないじゃん?つまんなくない?』

『そーゆーところがいいんだって、イケメンだからってチャラチャラしてなくてさ、クールなとこ好きなんだけど』


 「だとよ」

「はーん」

 興味のないことだったから全然知らなかったぜ。

 俺は絶世の美女な俺の従妹・櫻と、謎の天才美少女で俺の彼女(仮)・未羽と、まあ下倉も入れてやるか。クソウザいギャル・下倉で手一杯だぜ。


 「巷では白王子黒王子とか言われてるらしいぞ。どっちがいいか二派に分かれてるってよ」

勝手に肴にされてるのか。気に食わない。俺たちはきのことたけのこかよ。


 「「「駿~!!頑張ってぇ!!」」」

「ありがと~っ」

「「「ギャーーーーーー!!!」」」

 女子の群れに向かってウインク。お前はジャ○ーズのアイドルかよ。てか女子が女子らしからぬ声出してんだけど。黄色い歓声通り越して雄叫びじゃん。


 またしても女子が騒いでいる。騒ぐとは言っても、こちらのグループの方がさっきの雄叫び上げてた奴らより静かか?


 「ねえあれ翔だよ、翔」

「わぁ…かっこい~」

「あ、ねぇこっち見たよっ」

「ちょっと目あったかも!!」


 「ほら翔、モテモテじゃん」

「お前に言われると嫌味だよな」

「翔のファンは静かなコが多いから気づきにくいかもだけどな、微笑んでみたら卒倒するんじゃない?」

「余計めんどくさくなるだけだろ」

「冷めてるなあ」


 いや、逆に問う。お前はそんなのされて嬉しいのか?

 ……ああ、鈴谷なら嬉しいと答えるだろう。愚問だった。

 要するに俺らは分かり合えないのだ。

お読みいただきありがとうございました。

次回も読んでいただけると幸いです。


起伏のない話になってしまいましたが、次回(体育祭2)で人間関係を少し変えさせていく予定です。

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