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20年後に会った元カノ、昨日別れた元彼。  作者: 逢坂 遥
序章 三月 今までの、終わり
1/77

001_プロローグ

はじめまして。

文章力が乏しいために分かりづらい箇所や、日本語の間違った使い方などもあるかと思いますが

ご指摘・アドバイス下さると助かります。


よろしくお願いします!

 「あのね、櫻、彼氏出来たの!」


 高校一年、終業式の日。リビングで俺を卒倒させるに相応しい言葉を放ってくれた。


 直線をひいたようにまっすぐに切りそろえられたストレートの黒髪ロングな俺の従妹は、今にも泡を吹いて倒れそうな俺を見て、やれやれという顔で俺の後頭部を撫でてくれている。ああ、確かに撫でてくれるのは幸せなのだが。


 俺の一言によって、そんな至福のひとときは打ち切られてしまった。


 「俺は、櫻のこと……ずっと好きだったのに……!?」


 それを聞いた櫻は一口飲みかけていたお茶を盛大に吹き出した。

 「は!? 何言ってんの頭おかしくなった? 救急車呼ぼうか?」

 頭は至って正常だ。何年も前の約束だって、俺ははっきりと覚えているのだからな。


 「大きくなったら結婚しようって……お前が言ったくせに!!」


 従妹は俺を憐れむような目で見た。

「なにそれ」

「小学生の頃約束したじゃん!!」

「あんなの今までずっと真に受けてたの……?馬鹿にも程があるんですけど」

 俺を見る冷めた目がまるで体に突き刺さるように痛い。


 紹介が遅くなった。彼女は水瀬 櫻。既に言ったが俺の従妹。俺より一歳下で、あと数週間で高校生だ。

 あと、美少女。どのように美しいか説明すると長くなるから割愛。いつか1話分まるごと使って櫻の美しさ及び内面の可愛さについて語ってやってもいいんだけどな。とりあえずこのくらいか?


 家に帰り手を洗い制服から着替え、それから俺の仕事である洗濯物の取り込みの最中にも、このショックを引きずりまくっていた。

 「っっ……、っ、ぁ~っ……」

 涙で視界が霞む。乾いた洗濯物の中からタオルっぽいものを掴んで涙を拭う。


 しかしタイミング悪く櫻はこの部屋に入ってきた。

 「灰色のニット、もう乾いてる?明日着たいんだけど」

「うぅ……乾いて、るよ、さっぎ、サイドデーブ、ルに、置いた……」

 涙声になってしまいちゃんと話すことが出来ない。

そんな俺に櫻は気づき、近寄ってくる。


 「……大丈夫?」

「こっちく、んな、一人にさせてく、れ……」

 それでも彼女は俺をのぞき込む。


 その0.22秒後、一般的な人間の反応速度の限界スピードで櫻は部屋のギリギリまで遠ざかった。

 刹那、俺の胴体に洗濯カゴがクリーンヒット。

 「いってーな!」


 「こ、の、ド変態!!」


 ド変態?

「な、なんだよ急に」

 俺の涙も止まるほど驚いた。

「お前……なに顔に擦り付けてんだよ!」

 彼女が人のことをお前呼ばわりするのは余程怒っているときだけだ。

 「涙拭いてただけだけど」

「キモ……」

 え、それでキモいってひどくないっすか?しかも語尾の『……』がさらに俺に引いたことを表すようで辛い。

 涙が乾きクリアになった視界で手の中に握っていた物を見る。

 

 水色で布切れみたいに小さく、白いフリルに縁取られ、中央に小さいリボンがついている。

 

 女物のパンツがあった。

 「いや、こ、これは、ちがうっ」

「違くねーだろ……」

 彼女の顔は真っ赤だし声は震えている。今にも泣きそうだ。


 「本当に俺てきとーにタオルとったつもりで、えっと、あの」

 事実なのに、苦しい言い訳にしか聞こえない。逆の立場だとしてもふざけんなって思う。


 「死ね」

 まだ怒鳴られて言われた方がマシだっただろう。

 今までの感情的な言い方と打って変わって、呟くようにボソッと言って部屋から出て行った。


 

 俺は今から9年前、小2になる時にこの従妹の家、というか伯母さんの家に引き取られた。

 親から十分な愛情を受けられなかったせいで歪んだ感性を持ってしまった俺は、ほとんど兄妹と言っても差し支えの無いような櫻に対していつの間にか恋心のようなものも持ち始めた。それがエスカレートして今に至る。


 「もう櫻の部屋入るな、絶対櫻に触るな、食器も絶対使うな、変態」


 先程の俺の失態によって今までの良好だった関係が一気に崩れ去ることとなった。というか、人扱いしてくれなくなった。

 ああ、俺の初恋はこんな終わり方をするとは………。

お読みいただきありがとうございました。

出来るだけ早く投稿していくつもりですので

次回も読んでいただけますと幸いです。

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