表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/13

序章(プロローグ)

【はじめに】


 本作『火星霊~レブナントオブマーズ』と、アニメ『機動戦士ガンダム鉄

血のオルフェンズ』には、設定、脚本、台詞、デザイン(挿絵)など類似点

が多数見られ、鉄血がレブナントオブマーズの翻案ではないかという疑いを

持ちました。

 そこで盗作ではないかという旨の抗議書を、鉄血一期最終回前(2016

年2月末日)に制作会社サンライズに送付したところ、制作スタッフは本作

を知らず、盗作ではないと認識しているとの回答。

 しかし本作の内容を確認したあとに放送開始したアニメ二期でも似ような

シチュエーション、似たようなシナリオ展開はやみませんでした。

 いままでの経緯を判りやすく書き出すと以下の通りです。


 2011年1月、「マシンマーシャント」という題名で京アニ大賞にシナ

リオとデザインボードを応募。

            ↓


 2015年1月、シナリオを小説化してPIXIVに小説版をアップ。

 ※この時点で確実に著作権が発生。挿絵もほぼ同時期に投稿。

 また売り込みがてら、同時期にAー1などいくつかのアニメ制作会社にも

本作を紹介。ただし紹介した会社にサンライズは含まない。

            ↓


 2015年10月、アニメ鉄血のオルフェンズ第一シーズンスタート。

            ↓


 2016年2月、サンライズに抗議書を送付。

            ↓


 2016年3月、サンライズ側から盗作ではないとの回答書を受け取る。

            ↓


 2016年10月、鉄血二期放送開始。

 しかし二期においても依然として同じような物語が展開される。

            


 サンライズ側が本作を殺しにきているとしか、もはや思えなくなりました。

 そこでより多くの人につまびらかにして、パクリかどうか検証してもらえ

れるようにと、PIXIV版初稿(2015年1月発表)に続き、なろう版

を2017年1月にネットにアップすることにしました。


 上述の通り、この作品にはPIXIV版が存在します。

 内容はなろう版も、PIXIV版も同じ。

 最新改稿版のなろう版のほうが読み易いとは思いますが、パクリかどう

かの検証用には、著作権を確定させたPIXIV版が適します。

 挿絵はPIXIV版も、なろう版も同じです。


※PIXIV版はPIXIVの小説ページから、

『火星霊~レブナントオブマーズ~』と検索。

『火星霊』、『レブナントオブマーズ』で検索しても飛べますので、御時間

のある方は個々人でも鉄血がパクリ作品であるかどうか検証してみて下さい。



挿絵(By みてみん)




挿絵(By みてみん)

 全長四千キロメートル。

 幅二百キロメートル。

 深さ七キロメートル。

 赤道に沿って走る大地溝帯。

 火星最大の地形マリネリス峡谷。

 峡谷底部に広がる赤茶けた大地には、緑や灰の小さな点が、ポツポツと散

らばっている。

 その点のひとつひとつが、都市や、農業プラントだ。

 点の集中している首都圏から、やや離れたところにある緑の点。

 首都圏へ食物を供給するための衛星都市・田舎町ノックス。

 時間のゆっくり流れる郊外の、のどかな昼下がり。

 北欧住宅風のシンプルモダンな作りの家が、ポツンと建っていた。

 急勾配の屋根に、小さな窓。

 寒い土地特有の外観をしている。

 その家の前庭に、奇妙な物体が屹立していた。

 防寒ジャケットを着こんだ幼い少年が、口をあんぐり開け、それを見上げ

ていた。


 謎の物体の高さは、三メートルを少し越すくらい。

 四メートルは越えていない。

 三メートルと聞くと、たいして大きくもなさそうだが、実際に目の前に立

ってみると、かなりの迫力を感じる。

 縦横があるせいかもしれない。

 色は赤茶。

 ボディは、丸みを帯びていて首がない。

 その丸っこい胴体から、複数の足が伸びていた。

 胴体から真下に伸びる二本と、胴体の左右から伸びるのが一本ずつ。

 そして背中にも一本の計五本。

 ただ胴体の真下に伸びている足は、ちょっと変わっていた。

 爪先と踵が前後に大きく張り出しており、脚の先が途中で二股に分かれて

いるように見えるのだ。

 そのため、見ようによっては七本足に見えないこともない。

 汚れの目立たないくすんだ色に救われているが、よく見ると表面はかなり

ボロっちい。

 相当使い込まれた品らしく、ところどころ塗装が剥げている。

 清掃も行き届いておらず、そこかしこに泥がこびりついたままになってい

る。


(いったいこれは、何なのだろう?)


 少年は首を傾げた。

 どことなくタコに似ているけれども。

 タコにしては足の数が足りない。


(タコを模した、前衛芸術的なオブジェかな?)


 大腿部から爪先にかけての緩いスロープは、滑り台のようにも見える。


(それとも公園とか、幼稚園に置かれていた遊具なのかな?)


 しかし何故そんなものが、自宅前に放置されているのか、少年には解せな

かった。

(誰かが処分に困って捨てていったんだろうか?)


 少年が考えあぐねていると、突然謎の物体の胴体が観音開きにパカッと開

き、女の子が顔を覗かせた。

 年の頃は、少年より少し上。

 十二か、十三歳くらいだろうか。

 特徴的な大きな青い瞳に、肩まで伸びた金髪。

 顔の造りは端正で、美少女と言っても差し支えないだろう。

 少女は、少年の存在に気づくと、さも自慢げにこう言った。


「フフン♪ 早速見つけるなんて目聡いわね。どうこれ。凄いでしょ」


 見つけるも何も、こんな大きな物が自宅前に置かれていたら、目に入らな

いほうがおかしい。

 それに少年には、この汚い物体の正体が何なのか、皆目検討がつかなかっ

た。

 凄いでしょ、と同意を求められたって困る。

 だから少年は、率直に訊いてみた。


「っていうか、何なのこれ?」


 あまりにも基本的な質問に、少女は不満げな表情を浮かべる。


「これが何なのか判んないの? ほんっとーーに判んないのね?」


 少女は以外としつこい。


「だから、判んないってば」

「ほらぁ、よく街中で走ってるのを見掛けないかな?」

「僕、あんまり外へ出掛けないもん」


 少年は、この星の空気に順応できない体質で、呼吸器系の先天的疾患持ち

だった。

 家の前に得体の知れない物を発見して、思わず飛び出て来てしまったが、

本当は家の軒先であってもマスクを手放せないくらい虚弱だったのだ。


「でも、テレビやネットのCMで見たことくらいはあるんじゃないかなー?」


 いくらヒントを出されても、少年には、まったくピンとこなかった。

 ブンブンと首を振るしかない。

 期待した答えが返って来ないので、少女は遂に痺れを切らした。


「あんた、こういうの欲しいって言ってたじゃない。トライポッドよ、トラ

イポッド!」

「トライポッド? これが??」


 トライポッドとは、三脚式の自動車のこと。

 この星で、最もポピュラーな乗り物である。

 その前身は、惑星開発用に大量投入された探査ローバーに遡る。

 火星地表に遺棄されていた探査ローバーの部品を流用することで、安価な

大量生産を実現した車輌だった。

 特徴は、名前の由来にもなっている車輪付きの三本脚。

 先っぽに車輪が付いている脚を、車体の左右に一本ずつ、後部にも一本持

つ。

 三本の脚の位置を調節することで、車高や、ホイールベースの長さを自由

に変えられる。

 長い脚は、障害物も跨げるので、不正地走破性も高い。

 接地圧が高く、軟弱地では地面にハマり易い欠点もあったが、車体下面の

補助輪で這いずり走行することでその問題点も克服できた。

 また前脚部には、探査ローバーの名残で、レーザートーチ付きのマニュピ

ュレーターが内装されていて、重機としての運用も可能という優れもの。

 おまけに装甲は、植物由来でありながら鉄よりも強固な素材『セルロース

ナノファイバー』製。

 表面コーティングが剥がれると自壊していく生分解装甲である。

 だから投棄されたとしても、長い年月を経るうちに自然と土へ還る。

 トライポッドは、安価で、汎用性があり、おまけに環境にも優しいと、三

拍子揃った優れ物マシンなのだ。

 しかし目の前の物体は、少年の知っているトライポッドとは、形が大きく

違っていた。

 そもそもトライ(三本足)ポッドなのに、足が五本もあるなんて理にそぐ

わない。

 『名前に偽り有り』である。


「今度お隣のポポフおじさんに、アーモンド栽培を教えて貰うことになった

でしょう。それでアーモンドを木から落とすシェイカーマシンが必要だろう

からって、中古のトライポッドを安く譲って貰ったのよ」


 少女は掻い摘んで、このトライポッドモドキを入手した経緯を説明した。

 ポポフとは、お隣に住む火星アーモンド農家の老人のことだ。

 お隣とは言っても、ここは辺境の小都市。

 それも外れのほうだから、家と家の間は、一キロ近く離れている。

 にもかかわらず、労苦を厭わず訪ねて来ては、少年たちの相談に乗ってく

れるとても気さくな老人だった。

 少年は、あの人の良さそうなお爺さんが、自分たちを騙して変な物を売り

つけたとは考えたくなかった。

 でも中古とはいえ、乗用車は決して安い買物ではない。

 疑いたくはなかったが、やはり納得できないままにもしておけなかった。


「ねえ……やっぱりこれ、トライポッドじゃないよ」

「そんなわけないわよ。あたしはそう聞いたもの」

「でもなあ……」


 どうしても納得がいかなかった少年は、手掛かりはないものかと機体表面

についた泥を、手で払い落としてみた。

 泥は乾いていて、払った途端に土埃がモウモウと舞い上がる。


「うええ、げほっげほっ」


 土埃を吸い込み、むせる少年。

 その様子を見ていた少女が、怒声を上げる。


「馬鹿なにやってんの。そんなことしたら、また発作起こしちゃうでしょ!」


 しかし泥の下に文字らしきものを見つけた少年は、注意されても泥を払う

手を止めなかった。

 少女は、マシンのスロープ状になっている脚を素早く滑り降りると、少年

の腕を乱暴にひっ掴んだ。


「やめなさいって言ってんの! あんたには耳が付いていないの!?」


 言うことを聞かない少年に、少女はかなりお冠の様子だ。


「げほっ、それよりこれ見てよ」


 バツの悪かった少年は、ごまかし笑いを浮かべつつ、掴まれているのとは

反対側の手で、機体の爪先の部分を指差した。


「ペン…タ…ポッド……?」


 かすれていたが、そこには確かにローマ字で『Pentapod』と刻印

されていた。

 トライが『三』を意味する言葉なのに対して、ペンタは『五』を意味する

言葉だ。


「じゃあこれ、トライポッドじゃないの?」

「多分ね。ペンタポッドって確か、作業用に改造されたトライポッドのバリ

エーション機じゃなかったかな」


 トライポッドは、マイナーチェンジを繰り返しながら何十年と販売され続

けてきたロングセラーマシンである。

 それゆえポピュラーなワンマンタイプを初め、若者向けのスポーツタイプ

や、果ては軍隊仕様のものまで、バリエーションは多岐に渡る。

 作業性を重視した設計のペンタポッドも、そんなトライポッドのバリエー

ションのひとつだった。


挿絵(By みてみん)


 ペンタポッドの特徴は、トライポッドの車体下部に、下半身とも言うべき

胴体と補助脚を追加したこと。

 補助脚だけでボディを支持できるようになったので、前脚が自由になり、

原型機よりも前脚に装備された作業用マニュピュレーターの取り回しが良く

なった。

 加えてメインコクピット真下の胴体部には、サブコクピットが設けられて

おり、上下のコクピットでマニュピュレーター操作と、運転を分担すること

も可能になっている。

 ただ、胴体と補助脚を追加したことで、トライポッドの売りだった流麗な

フォルムは台無しになってしまっていた。

 おかげで若者世代からは、アンクール(ダサい)ポッドなどと揶揄される

始末。

 ペンタポッドは、言うなれば軽トラックのような『働くおじさん』向けの

車輌だったのだ。

 若者が乗るには、あんまり格好よろしくなかった。


「んー、そう言われてみれば、トライポッドのデラックス版みたいなもんだ

とか何とか、おじさんも言っていたような……」

「こんなの全然デラックスじゃないよぉ」


 少年は、少女のいい加減さに呆れ、非難の声を上げた。


「まあでも、あんたが欲しいって言ってたトライポッドの親戚みたいなもの

なんでしょ、これ? だったらこれでいいじゃない」


 相変わらず少女は、大雑把で適当だった。


「ううーっ、僕が欲しかったのはスポーツタイプのトライポッドで、こんな

ダサいのじゃないやい!」

「もう、贅沢言わないの!」


 少女は、まだグズグズ言っている少年を一喝した。


「汚れを落としてペンキを塗り直せば、新品同様になるんだから。それに、

どのみちスポーツタイプのマシンなんかあったって、農作業には使えないで

しょ!」


 彼女の言っていることはもっともだ。

 でもまだ幼い少年には、聞き分けの良さなんて身に付いていない。


「うーーっ!」


 少年は、精一杯怒った顔を作って、不満をアピールをする。


「ほらイジケないの。もうパパもママもいないんだから。あたしたちに我が

儘なんて言っている余裕はないんだからね」

「うっ、パパ、ママ……」


 亡き両親のことを思い出し、自然と少年の目からは熱いものが溢れてきた。


「あっ…」


 少女は、しまったという顔をした。


「ゴメン、ゴメン。思い出させちゃったね。でもほら、あんたにはあたしが

いるじゃない。だから泣かないで、ねっ? そんな顔されたら、あたしまで

悲しくなってきちゃうじゃないの」


 少女は、ベソをかいてる少年を抱きしめ、あやすが、ちっとも泣き止まな

い。


「弱ったなあ……。あっ、そうだ。いいこと思いついた。ちょっと待ってて」


 少女は何を思いついたのか。

 泣いている少年を放っぽり出して、ペンタポッドの胴体部コクピットに乗

り込んだ。

 少年が、しゃくりあげながら見守っていると、ペンタポッドは、ギーギー

と異音を発し始めた。

 そして少年の目の前で、みるみるその形を大きくしていった。

 少なくとも、小さかった少年の目には、そう見えた。

 実際はというと、巨大化などという御大層なものではなく、木の根っこの

ように二股に分かれていた爪先と踵部分が折り畳まれてすぼまり、身長が一

メートルほど高くなっただけだったのだが。

 なんのことはない。

 脚立が高さを変えるのと同じ仕組みである。

 それでも、変形するなんて予想もしていなかった少年は、完全に度肝を抜

かれた。

 あまりに驚きすぎて、涙も引っ込んでしまったくらいだ。


「じゃじゃーん! どう驚いた? これが農作業形態ってわけ」


 正式には、ペンタポッドを形態別に呼ぶ場合、通常走行形態を『ペンタポ

ッドローバー』、作業用の起ち上がった形態のことを『ペンタポッドワーカ

ー』と呼びならわす。

 もっとも当時の少年と少女は、そんな細かい名称のことまではまだ知らな

い。

 ペンタポッドは、ワーカー形態になり、足丈が伸びたことで、より人型に

近いフォルムになっていた。

 胴体左右の足が地面から浮き、腕みたいに見えるようになったことも、人

型っぽく見える要因であろう。

 ただし、飽くまでも『っぽく』なっただけ。

 人型機械と呼ぶには、いささか無理があった。


「まだ驚くのは早いわよ。さーらーにー……」


 少女はそう言うと、胴体脇に付いている足……いや地面から浮き上がって

いるから腕というべきか……を展開させて、内装されていたマニュピュレー

ターを出現させた。

 ただしマニュピュレーターといっても、ちゃんとした人間の腕の形はして

おらず、伸縮式の高枝切りバサミみたいな代物だった。


「ふわーっ」


 それでも少年は、感嘆の声をあげる。

 たとえ高枝切りバサミみたいな腕でも、少年は大満足だったのだ。


「このマニュピュレーターで、アーモンドの木の幹を揺らして、実を落とす

のよ」


 少女は、マニュピュレーターの先の爪を、開いたり閉じたりして見せる。

 それを見ていた少年の心臓は、ドキドキと高鳴っていた。

 『変形』とか、『人型ロボ』とかいったキーワードは、年齢関係なく、男

子の胸を熱くさせるものなのである。


挿絵(By みてみん)


 ちなみに、開いたり閉じたりしたとき、指と指の間に見える筒状突起は、

トライポッドシリーズ標準装備のレーザートーチの発射孔である。

 さっきまで、散々文句を言っていたのが嘘のよう。

 少年は、完全にペンタポッドの虜になっていた。


「機嫌が直ったところで、じゃあ、どんな色に塗り直す?」


 デモンストレーションを終え、ペンタポッドから降りてきた少女は、大き

な目で少年の顔を覗き込んだ。


「うーん……それじゃあ……青!」


 少女に訊ねられ、考えあぐねた末、少年は答えた。


「どうして青なの?」

「えーと、それはそのぉ……真実を表わす色だから、かな」

「真実を表わす色?」

「この星の空は、大昔は赤いって思われていたでしょ? でもそれは真っ赤

な嘘で、本当は青かったじゃない。だから赤から塗り直すなら、青がいいか

なーって思って」

「ふーん。よく分からない理由だけど、あんたがその色がいいって言うんな

ら、それでいいわ。そうしましょ」


 言っておいて、少年自身も取って付けたような理由だなと思った。

 けれども、少女の瞳の色を見て決めたなんて、恥ずかしくて言えるわけが

なかったので仕様がない。


 少女は早速、ペンタポッドの化粧直しに取り掛かった。

 でも少年は蚊帳の外。

 折角ペンタポッドが好きになったのに、清掃も、ペンキ塗りも、一切手伝

わせて貰えなかった。

 病弱な少年の体には、土埃も、ペンキの塗料の臭いも良くないのだから、

こればかりは致し方ない。

 少年は、少女がペンキまみれになって格闘しているのを、バルコニーのベ

ンチに座り、足をブラブラさせながら詰まらなさそうに見つめていた。 

 もちろん口には、マスクを付けさせられている。


「ねー、まだー?」

「よーし、だいたい完成。あとは最後の仕上げだけね。さあ来て。一緒にサ

イン入れよ」


 少年は、待ってましたとばかりに、庭のペンタポッドに駆け寄る。

 表面の汚れを落とし、キレイに塗りなおしてみれば、なるほどベース機で

あるトライポッド

と共通点が多く見て取れた。

 二人は、青く塗り直されたペンタポッドの脛の部分に、自分たちのサイン

を並べて入れた。


「これでどう?」 

「う~ん、何か物足りないわね。そうだ、ここをこうしてと……。ほらでき

た」


 少女は、二人のサインの間に相合傘を書き加えた。

 あとから無理やり描き加えたので、形がいびつになってしまったのは御愛

嬌だ。


「えー、やだよこんなの。恥ずかしいよぉ」


 男女の性差を意識しだした多感な年ごろの少年に、この仕打ちはちょっと

したイジメである。

 でも少女は、少年の抗議なんて聞く耳持たない。


「これでいいの!」


 そう言って少女は、背後から少年の首に抱きつく。

 そして顔をほころばせながら、少年に頬擦りした。


「ああもう止めてよ、ペンキがくっつくじゃないかー」


 少年は、気恥ずかしさで顔が熱くなった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ