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幽霊出没注意!!

作者: 湖城マコト
掲載日:2016/12/20

「何度見ても雰囲気のある廃墟だね」

「幽霊とか出たりしてな」

「ちょっと、怖いこと言わないでよ」


 一組のカップルが腕を絡ませて、廃墟となった古いホテルの中を回っている。

 二人は生粋の廃墟マニアで、朽ちた建物を探索し、ノスタルジーを感じるのが大好きだった。

 馴れ初めも、廃墟探索中に出会い、廃墟トークで盛り上がったことだというのだから相当だ。


「このホテルが廃業してから、どれくらいだっけ?」

「確か、今年で30年だったかな。立地の問題で、土地としての面白味も無いから、この通り廃墟のまま残されてる」

「30年か。確かに、大分傷んでるね」

「足元には気をつけなよ。そうそうないとは思うけど、床が崩落するかもしれない」

「大丈夫だよ。私達、廃墟慣れしてるし」

「まあそうだけどさ」


 冗談半分にそんなことを言いながら、それまで探索していた二階から、一階のエントランスに降りると。


「ねえ、誰かいない?」


 エントランスの入り口付近に、怪しげな人影を見つけた。

 後ろ姿しか確認できないが、服装や髪色の印象から、帽子をかぶった若い男性のように思えた。


「入ってきた時には、僕達だけだったはずだけど」

「探索に来た人かな?」

「ここは割とマイナーな場所だし、そうそう出くわすとは思えないけどな」

「……まさか、本当に幽霊?」

「ここで人が死んだって話は聞かないけども……」


 話題に上げた直後だったということもあり、二人は自然と幽霊の存在を意識してしまう。


「あの……廃墟探索ですか?」


 意を決した二人が、帽子の男性の正体を確かめるために、その背中に向けて声をかけた。


 二人の声に帽子の男性が反応し、ゆっくりと振り返る。

 帽子の男性のその緩慢な動作が、声をかけた二人に緊張を生む。


 そして、振り返った帽子の男性と二人の目があった瞬間。


「うわああああああ!」


 絶叫が廃ホテル内に木霊した。




 ホテルが廃墟になってから早35年。

 当初は無名の廃墟であったが、ある事故が起こって以来、その評価は変わった。

 5年前に廃墟探索に訪れたカップルが、老朽化による三階部分の床の崩落に巻き込まれ死亡したのだ。

 それ以来、自分達が死んだことに気づいていないカップルの幽霊が、今だに廃墟探索を続けているという噂が流れ、この廃墟を訪れるオカルトマニア達は後を絶たない。

 今やこの廃ホテルは、有名な心霊スポットなのである。




 了

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― 新着の感想 ―
[一言] 短編でしたが面白かったです。怖い話が好きなのでまたおじゃまさせていただきます。
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