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主人公一行

「ボサッとしてんなよマリリン!コイツがターゲットか!?」

体格の良い剣士が、灰色の人型と対峙しながら鋭い声を放つ。

「十中八九そうだと思いますが、最終決定はワーティに聞いてください。」

拘束植物プラント・バインドを緩めないまま淡々と返事をする小柄な魔導師がこちらを見てくる。すると、メイプリルを抱きかかえていた人が口を開いた。

「ビンゴ、コイツがシシ・フェルマータだ。」

「エド、殺すなよ。確認しなきゃいけないことは山ほどある。」

それを聞くと背の高い魔導師が剣士に言った。

「ああ、解ってるって。行くぞマルン!!うおりゃあああ!」

「そちらのお嬢さんは?」

目の前で始まった戦闘に目を奪われそうになった時、頭上の声に話しかけられた。

「さっき、アイツに捕まって、魂を抜かれかけたみたいで・・・」

顔をあげると、ビビアンを担いだプーアルが真っ青な顔をして近くまで来ていた。

「プーアル!顔色が悪いわよ!?」

「誰のせいだと思ってるんですか。」

『ワーティ』と呼ばれていたこの人は、顎に手を当ててなにやら考え始めている。

「魂とおっしゃいました?」

防御に徹している小柄な魔導師が、ジリジリと移動し問いを投げてきた。

「最近この地域では、こういう事件が頻発していました。1人で出歩くとナニカ・・・に追いかけられて魂を抜かれる、と。俄かには信じられませんでしたが、確かに僕達がここへ駆けつけた時に彼女の体から白銀のもやがアレ・・に吸い取られているようでした。」

げっそりした様子のプーアルがそう言うと、彼は驚いたように目を見開いた。

「白銀の、もや・・・なるほど、だったらこれじゃあ駄目ですね、ワーティ。」

「・・・そうか!エド!兄さん!!」

「なんだあ!?」

「どうした!!」

あと一歩まで追い詰めている最中、視線はこちらへ向けずに2人は返事をする。

「シシ・フェルマータは恐らく、『記憶』を探している!!」

「はああ!?」

「!!例のこと・・・・に関するものか!」

「恐らく。しかるべき手段をとらなければ、今まで奪われた人たちの記憶は戻りません。」

その言葉に2人は微かに動揺の色を見せる。

「じゃあ上手くやらねーと、そこにいるお嬢ちゃん達の記憶も奪われたまんまってわけ・・・っ!」

そして魔導師のほうが体勢を崩した。

「兄さん!」

「マルン!!」

隙を突いて、『シシ・フェルマータ』が彼の瞳を覗き込んだ。

「グ・・・あっ!!!!」


アッタ・・・カギノ、ヒトツ・・・


「マルン!オイ、しっかりしろ!」

「エド、一度マルンさんから離れて!!」

「何言ってんだ!?」

近づこうとした『エド』に鋭く勢止をかけるワーティ。

「シシと目を合わせないで下さい!」

「灰色の瞳に捕らえられたら、エドも根こそぎ持っていかれるぞ!!」

魂ではなく、抜かれるのは記憶・・だ。

「兄さんで駄目ってことは・・・」

「あとはアンタしかいないわけだけど・・・」

「ソレが人にものを頼む態度か?・・・と言いたい所だが、そちらのお嬢様に免じて今回は許してやろう。」

アレ?あの人は・・・あの不適な笑い方は・・・

「この大魔導師、ペヤンゴ様に任せておけ。」

無理矢理マルンとのつながりを断ち切った彼は、シシの視界に強引に入っていく。そして

「ジ、エンドだ。」

シシの意識を侵食し始めた。



「はあ、ペヤンゴに任せておけば後は大丈夫です・・・ほら、戻ってきた。」

ほんのり紅い光が、プーアルに抱えられた少女の下へ戻っていく。

「じきに目を覚ますと思いますが、このことはきっと覚えていないでしょう。あとは・・・」

「しっかりしろ、マルン。」

「あっちで伸びてる、私の兄が問題です。見た感じかなり深くまで持っていかれているようです。回復までに時間がかかりそうですね・・・」

唐突な収束に顔を見合わせるメイプリルとプーアルは、ほぼ同時に頷いた。

「でしたら、シトラス家へいらっしゃってください・・・」


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