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第4章:ゴブリン空賊団

 ケアパン大陸の北西部、ラーム神殿から500kmほど離れた場所の上空を金属の塊―――いわゆる飛空艇が飛んでいた。

 飛空艇の動力源は魔力、魔力といっても、魔術ではなく魔晶石とよばれる魔力を持った不思議な鉱石で、この飛空艇に用いられているものは「浮遊水晶」とよばれる、魔術的に一度起動させると周囲の物体を空中浮遊させることができる大変貴重なものである。

 ただし、浮遊水晶作動中の音はかなりの轟音で、飛空艇時自体に防音装置が仕込まれているケースがこの世界では常識である。

 よって、飛空艇内部の音も遮断されているため内部の騒がしさは微塵と感じられない。

 では、内部はどういう状況になっているかというと・・・・・

「マンマー!また喧嘩が起きてるよー!た、助けてぇええええええええ!」

 ぎゃあぎゃあと船内は五月蠅い。

 ある一室内で、身長2.5mとかなりの長身だが体格が骨と皮だけのような線の細いゴブリンと逆に身長が1.8mと前者のゴブリンほど上背はないがボディービルダーのような筋骨隆々とした体格のゴブリンがにらみ合っている。

 ガリガリ長身の方が先に言う。

「俺の飯、返せよ・・・」

「俺はへとへとだったんだ!お前はさっきたべたばっかだろ?」

「どうせプロテイン変わりだろ?食べ過ぎなんだよぉぉぉぉぉ!蜘蛛足柔術の餌食にしてくれるわ!」

「おおう!?こちとらストレスたまってんだ!ドワーフ会館流剛術には誰もかなわないんだよぉぉぉ!」

「「うりぃぃやあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」

 何だかものすごいヒートアップし、バトルがスタートした。

 ムキムキの方のゴブリンが身を屈め、右肩を前に出してガリガリに突進する。

「かかったな、アホが!そんな脳筋のタックルなんぞこうしてくれるわ!」

 ガリガリの方のゴブリンが半身の姿勢で回転し、ムキムキの方のゴブリンの突進攻撃を避け、その瞬間ガリガリの方の長い手がムキムキの方の首にかかり、ヘッドロックの体制になる。

「さ~あ、今日こそ俺に膝麻づいて、土下座だ!DO!GE!ZA!」

ギリギリ・・・ムキムキの方の首を締めあげるが、

「貧弱、貧弱ゥ、こんな締め技で俺が倒せるとでも?」

 首を絞められながら、不敵な笑みを浮かべたムキムキの方は、突然暴れ出し!ガリガリの方を持ち上げ、壁にドカンドカンとたたきつけた。

「ご、ごほ・・・、こんにゃろ・・・」

 周りのゴブリンたちは彼ら二人の争いの激しさに青ざめていた。

 そんな中、バタンと扉が開く。

「てめぇら、何してんだぁ!?」

 この飛空艇の中にいるゴブリンの中では比較的女性的な体つきをしているゴブリンがそう言い放った。

 その怒鳴り声は、周囲のうろたえと、喧嘩を同時に静止させる凄みをはらんでおり、その通り静止した。

「「ま、マンマ!?」」

「てめぇら、ま~た懲りずに喧嘩か!?今日という今日は堪忍袋の緒が切れたよ、切れちまったよ・・・」

 マンマと呼ばれるゴブリンは静かにメラメラと静かに怒っている。

 彼女は手を前にかざす。

「「え!?マンマ!?」」

 パチンとマンマゴブリンは指を鳴らした。

 すると、ガリガリのゴブリンと、ムキムキのゴブリン両者がその場から消えてしまった。


―――飛空艇の外、

「「うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ、ぶへほぶへほぶへべ」」

 先ほどの喧嘩していたゴブリン2人は飛空艇の外、つまり上空に放り出されて、声にならない声で大泣きしていた。


―――――飛空艇内部。

パチン、とマンマゴブリンは再び指を鳴らす。

 ブゥン、と彼女の前に先ほど喧嘩していたゴブリン2人組が、どこからともなく現れた。

「スカイダイビングは気持ちかったかね?」

 にやりとマンマゴブリンは2人に問いただす。

「「すんませんでしたぁぁぁぁぁ」」

 ゴブリン2人組は大泣きで、マンマゴブリンに謝罪をしていた。

 周囲のゴブリンはごくりと息を飲んでいた。

「さあ、腹空かしているのなら、内輪もめなんかしてる場合じゃないよ!お前ら!獲物はもうすぐ、目の前にあるよ!気を引き締めていくよ!」

 マンマゴブリンは部下のゴブリンに叱咤激励する。


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