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waaaa
彼が帰った後も、私はただただ彼が座っていた所をしばし眺めていた。
……。青春。寿命。幸せ。色々信じがたい言葉が飛び交っていたが、これらの言葉を聞いただけで私はなんだかすんなりと信じられてしまった。
「確かに、外には出たいけど…」
寿命と引き換えなのはイヤ、というよりは怖い。
もし取引をしたとして私の寿命が後一週間だったら、未練ありまくりで死んでいくに決まっているに違いない。
そんなのはどうしても嫌だ。それだったらまだ外に出ず、ここでゆっくりと死んでいったほうがいいんじゃないかという気がしていた。
私はできるだけ後悔せずに生きていくって決めたから。強い意志が私にはあった。
考えていると突然、隣の患者のおばあちゃんがこちらを覗いて
「彼方ちゃん、人生は一度きりだからね。楽しまなきゃ損だよ」
おばあちゃんは私らの話を聞いてたのか、それとも私の先の言葉を聞いたのかは分からないが、笑顔で励ましてくれた。
聞いただけでなんだかとても嬉しかった。元気が湧いてきた。
──よし!
「ありがとう、おばあちゃん!」
私は彼の提案に乗ろうと思った。