ヘタレな僕
こういう系あんま書いたことないんで、上手くかけてないかもです。
こんな感情を持ったのはいつからだろう?
今まではそんな事無かったのに、何故かあの子を見てしまう。
いつ何処にいても、あの子が頭から離れない。
その日挨拶を交わしただけで、一日中幸せな気持ちでいられるんだ。
反対にそれだけの関係でいることが酷く苦しかったりする。
もっと自分のことを見て欲しい、知ってほしい、あの子のそばにずっと居たい、あの子の事をもっとよく知りたい、あの子は・・・・・
数え切れないほどの思いが脳を埋め尽くす。
・・・・そんなこと叶わない事ぐらい分かっているのに。
常に皆の中心に居るあの子と、隅に居る僕が吊り合う筈が無い言って分かっているのに。
諦めなくちゃいけない、でも望みがあるかもしれない、しかし・・・
二人の僕が心の中で戦って、結局僕は卒業式の前の日まで何もする事が出来なかった。
隅の方から彼女を見つめる惨めな存在。
傷つく事を恐れて何も行動を起こせない、ただのヘタレだ。
そんな僕に人生で一度の最大のチャンスがやってきた。
なんと彼女のほうから声を掛けてくれたのだ。
「あの~××くん」
「は、はひっ!あっ・・・・」
緊張して思わず舌を噛み、彼女に笑われてしまった。
「ぷっ!××くん舌噛んで・・・!!」
「すみません・・・」
「謝んなくていいよ。元はといえばあたしのせいなんだし」
彼女はころころと笑い、その笑顔に不覚にもときめいてしまったりした。
そのせいで、舌噛んでよかったかも・・・などと思ってしまったりする。
「あ~面白かった。ところでさ、××くん。今日までありがとう」
「へっ!?な、何がですか?」
突然彼女に頭を下げられ、僕は慌てた。
お礼を言うのは僕の方なのに・・・
彼女は頭を上げると、にこっと笑いながら言った。
「だって今日卒業式じゃん。××くんとはずっと一緒のクラスだったし、話す機会は少なかったけどお世話になったなぁ~と思って。あ、あと変に気ぃ使わなくていいからね?これクラスの人みんなに言ってるから」
その言葉を聞いた瞬間僕は、胸に鋭い刃が刺さったような感覚を味わった。
彼女にとって僕は、ただのクラスメイトなのだ。
別にそんなことを分かっていた。
だって何にも行動を起こさなかったのに、それ以上の存在になれるはずないじゃないか。
分かりきっていた事なのに・・・
どうしてこんなに心がもやもやするのだろう?
「じゃあそろそろあたしいくね。ほかにも言わなきゃいけない人いるし」
そう言って立ち去ろうとする彼女を僕は咄嗟に呼び止めた。
「あ、あの!」
「えっ?」
彼女は怪訝そうな顔をして立ち止まる。
な、なんて言おう・・・?
咄嗟に呼び止めてしまったので、言う言葉が思いつかない。
何とか彼女と目をあわさないよう俯き、冷や汗が頬を伝う。
しかし、この状況で僕はあることを思いついた。
―そうだ!ここで告白してしまえばいいんじゃないか?
でも、ふと浮かんだ考えを僕は頭から振り払う。
―そんな事したって上手くいかないに決まってる。
何時ものように投げやりになっていたときだった。
そんな僕にもう一人の僕が言った。
お前はずっとそのままでいいのか?もしかしたらという事もあるんだぞ!
ここまできたら当たって砕けろだ!!告白しちゃえ!!!
もう一人の僕の言葉に僕はハッとした。
僕はいつも全てを手に入れる前に諦めてしまっていた。彼女とも志望校が違うので、会うのも今日が最後だろう。
幸い想いが届かなかったとしても、彼女とは今後会う事がないので辛くは無い。
進学してもここで告白してしまえば、彼女のことでくよくよ悩まないだろう。
僕は決心した。
変わるべきときは今なのだ。
僕は顔を上げ、彼女の顔を見ていった。
「あの、僕はずっとあなたの事が好きでした!!」
僕が臆病なへタレを卒業した日だった。
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