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詩&短編集

ヘタレな僕

作者: 木下 碧

こういう系あんま書いたことないんで、上手くかけてないかもです。

 こんな感情を持ったのはいつからだろう?


 今まではそんな事無かったのに、何故かあの子を見てしまう。

 いつ何処にいても、あの子が頭から離れない。


 その日挨拶を交わしただけで、一日中幸せな気持ちでいられるんだ。




 反対にそれだけの関係でいることが酷く苦しかったりする。



 もっと自分のことを見て欲しい、知ってほしい、あの子のそばにずっと居たい、あの子の事をもっとよく知りたい、あの子は・・・・・



 数え切れないほどの思いが脳を埋め尽くす。





 ・・・・そんなこと叶わない事ぐらい分かっているのに。



 常に皆の中心に居るあの子と、隅に居る僕が吊り合う筈が無い言って分かっているのに。




 諦めなくちゃいけない、でも望みがあるかもしれない、しかし・・・





 二人の僕が心の中で戦って、結局僕は卒業式の前の日まで何もする事が出来なかった。


 隅の方から彼女を見つめる惨めな存在。

 傷つく事を恐れて何も行動を起こせない、ただのヘタレだ。







 


 そんな僕に人生で一度の最大のチャンスがやってきた。


 なんと彼女のほうから声を掛けてくれたのだ。


 「あの~××くん」

 「は、はひっ!あっ・・・・」


 緊張して思わず舌を噛み、彼女に笑われてしまった。


 「ぷっ!××くん舌噛んで・・・!!」

 「すみません・・・」

 「謝んなくていいよ。元はといえばあたしのせいなんだし」

 

 彼女はころころと笑い、その笑顔に不覚にもときめいてしまったりした。


 そのせいで、舌噛んでよかったかも・・・などと思ってしまったりする。


 「あ~面白かった。ところでさ、××くん。今日までありがとう」

 「へっ!?な、何がですか?」


 突然彼女に頭を下げられ、僕は慌てた。



 お礼を言うのは僕の方なのに・・・



 彼女は頭を上げると、にこっと笑いながら言った。


 「だって今日卒業式じゃん。××くんとはずっと一緒のクラスだったし、話す機会は少なかったけどお世話になったなぁ~と思って。あ、あと変に気ぃ使わなくていいからね?これクラスの人みんなに言ってるから」


 

 その言葉を聞いた瞬間僕は、胸に鋭い刃が刺さったような感覚を味わった。



 彼女にとって僕は、ただのクラスメイトなのだ。




 別にそんなことを分かっていた。


 だって何にも行動を起こさなかったのに、それ以上の存在になれるはずないじゃないか。



 分かりきっていた事なのに・・・

 どうしてこんなに心がもやもやするのだろう?


 「じゃあそろそろあたしいくね。ほかにも言わなきゃいけない人いるし」



 そう言って立ち去ろうとする彼女を僕は咄嗟に呼び止めた。



 「あ、あの!」

 「えっ?」


 彼女は怪訝そうな顔をして立ち止まる。



 な、なんて言おう・・・?



 咄嗟に呼び止めてしまったので、言う言葉が思いつかない。

 

 何とか彼女と目をあわさないよう俯き、冷や汗が頬を伝う。




 しかし、この状況で僕はあることを思いついた。



 ―そうだ!ここで告白してしまえばいいんじゃないか?



 でも、ふと浮かんだ考えを僕は頭から振り払う。



 ―そんな事したって上手くいかないに決まってる。


 何時ものように投げやりになっていたときだった。



 




 そんな僕にもう一人の僕が言った。



 お前はずっとそのままでいいのか?もしかしたらという事もあるんだぞ!

 ここまできたら当たって砕けろだ!!告白しちゃえ!!!




 もう一人の僕の言葉に僕はハッとした。


 僕はいつも全てを手に入れる前に諦めてしまっていた。彼女とも志望校が違うので、会うのも今日が最後だろう。



 幸い想いが届かなかったとしても、彼女とは今後会う事がないので辛くは無い。


 進学してもここで告白してしまえば、彼女のことでくよくよ悩まないだろう。





 僕は決心した。


 

 変わるべきときは今なのだ。




 僕は顔を上げ、彼女の顔を見ていった。



 「あの、僕はずっとあなたの事が好きでした!!」




 僕が臆病なへタレを卒業した日だった。












 




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― 新着の感想 ―
[良い点] 『その日挨拶を交わしただけで、一日中幸せな気持ちでいられる』  この文章が好きですね。  最後も、うまくまとまっていて良かったです。 [一言]  心の声をたたみかけてみてはどうでしょうか。…
2014/01/25 02:14 退会済み
管理
[一言] 木下 碧さま こんにちは。 ようやくお伺いさせていただきました。 切ないですね。 でも、一言が言えたのですから、××くんも ヘタレは無事卒業ですね! 木下 碧さまにしか書けないもの。 …
2014/01/23 16:28 退会済み
管理
[一言]  はじめまして、上村夏樹と申します。  おふぅ……「クラス全員に言っている」はキツいですね。  付き合える望みは薄そうですねぇ。想いは届かなかったとしても、やる前からあきらめていた消極的…
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