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6話 劉璋、ぶらり(幼女)散策……桃園陣営編







―――――――――――








「はい、こちら反董卓連合陣内。益州の州牧、劉季玉がお届けしております」


陣内を木っ端を片手にぶらぶらする劉璋。歩きながらぶつぶつと大きな独り言を喋る劉璋は周りから奇異の目を向けられているが本人は全く気にしていなかった。


「さて始めに見えてきましたのは、劉の牙門旗です」


そんな劉璋の歩く先には『劉』の牙門旗が靡いていた。


「えぇと、緑を基調にした『劉』の牙門旗は………義勇軍の劉備って人だね」


手元の竹簡を見ながら劉璋は確認する。竹簡には連合に参加している軍の名前が一覧となっている。


これは張松がまとめたものを劉璋が勝手に拝借してきたものだ。


「ふむふむ。あれれ?幼女の数が記載されてませんねー。張松ちゃんったら意外とドジっ子ですねー。では僕が追記しておきましょう。ニシシシッ」


スキップをしながら劉璋は劉備の陣営に突入していくのだった。









「―――それでこの者が我が陣営に忍び込んだ不審者なのだな」


劉備陣営の中、簀巻きにされた劉璋が複数の武将に囲まれていた。


黒髪の少女―――関羽が劉璋を連れてきた兵に確認を取る中、劉璋は観察していた。


「ふむふむ。2人、いや3人か………」


何を数えているかは言わずもがなであろう。ちなみにここには武将だけで軍師の姿はない。


「貴様、何が目的で我が陣営へと侵入したのだ」


兵の報告を聞き終えた関羽が劉璋へと詰問する。


「愚問だな、それは。もちろん幼女の数を数えに来たに決まっている!!」


「…………」


「なぁ、星。決まっているのか?」


「さて、私に聞かれても困るのだがな」


赤髪の幼女―――張飛が水色の髪の少女―――趙雲に訪ねるが趙雲も苦笑いを漏らすだけだった。


「うむ。良い質問だ、幼女ちゃん」


そして何故か劉璋が答えようとしている。


「知らないのであれば教えよう。幼女とはつまりこの世の真理。幼女を知れば百戦危うからずという言葉もあるように………」


「そんな言葉は断じて無い!」


張飛に嘘を吹き込もうとする劉璋に関羽が割り込む。


「貴様、ふざけているのかっ!?」


「ふざけてなどいない!常に真面目に幼女の尻を追いかけてます!!」


「…………」


「鈴々よ、あれが変態というものだ」


開いた口が塞がらない関羽に張飛に劉璋のことを教える趙雲だった。


「そう、変態とは虫が幼虫から成虫へと変わる様であり。正に赤ん坊から大人へと変わる途中である幼女を示すのに最適な言葉であると僕も常々思っていた。貴女は好みではないですけど話が合いそうですね」


趙雲の言葉に反応した劉璋は一方的に友好の姿勢を示す。


「うにゃ?星も変態なのか?」


「違っ!?わ、私は変態などではないぞ、鈴々!」


「そう、変態などでは無い!我らは高尚な信念に基づき行動し者なり!」


『……………』


劉璋と関わった者は短時間で同じように目をする。それはつまり呆れた目だ。理解不可能な者を見るような目だ。


「ニシシッ。そんな熱い眼差し、照れちゃいますよー」


たが、劉璋にとってはそれは日常茶飯事。ただの日常であり、特に気にするものではなかった。


「あれ?皆、どうしたの?」


そうこうしていると義勇軍の大将の劉備とその軍師、諸葛亮が軍議から帰ってきた。


「桃香様、陣内への侵入者を捕らえたのですが………」


「幼女!幼女が増えた!!」


「ひ!?な、何なんですか、この人!?」


諸葛亮を見るや否や劉璋のテンションが更に上がり、諸葛亮が怯える。


「怯える幼女………じゅるり。たぎってきますね!」


「変態なのだ」


「うはっ!幼女になじられる………これをご褒美と呼ばずしてなんと呼べばいいのだ!?」


天井知らずの劉璋のテンションに周りの視線は更に痛くなるのだが関係なかった。


「えぇと………貴方、お名前は?」


そんな中、我が道を行く天然娘こと劉備が劉璋に訊ねる。


「うん?僕ですか?う~ん…………」


そこで劉璋は渋る。仮にも益州の州牧である。この場で名を明かすことの危険性を理解しているのだ。


「困ったなぁ。あ、鈴々ちゃんから聞いてみて?」


「うにゃ?分かったのだ!」


黙りをする劉璋に劉備が名案を思い浮かんだとばかりに張飛へと振る。


「鈴々は張飛なのだ。お兄ちゃんは何ていうのだ?」


しかしいくら劉璋であってもそう簡単には名を明かすわけには…………。


「僕は劉璋だよ、張飛ちゃん!益州で州牧をしてるよ!いつでも遊びに来てね!!」


笑顔で即答する劉璋。


「え?劉璋……さん?」


そこで諸葛亮が反応する。


「確か劉璋様ご本人は多忙の為、代理の張松さんが参加していたはずですけど」


「うん、そうだよ、幼女二号ちゃん」


「はわわ、それが本当ならマズいですよ、愛紗さん!?州牧にこんなことをしたとしれたら……」


「困る幼女!それもまたアリではないだろうか!?」


劉璋の身分を知り、慌てる諸葛亮に劉璋は変態度を増していた。


「とはいえこんな姿ではまともにお話も出来ないですよねー」


すると劉璋は立ち上がる。それと同時に劉璋を拘束していた縄も解かれて落ちる。


「ッ!?どうやって!?」


「ニシシッ。ただの奇術ですよー。昔から手先だけは器用なんですよね」


驚く周りにおどけてみせる劉璋。


「さて、君がここの大将だよね?」


「はい。初めまして、私は劉備、字は玄徳です」


「初めましてー。劉季玉ですよー」


「劉璋さんはどうしてこちらにいらしたのですか?」


「うん?幼女の数を数えに来たのですよー」


「え?あの………」


劉璋の言葉にどう答えていいのか迷う劉備。


「劉璋さんは子どもが好きなんですか?」


「そうですよー。僕は幼女こどもが大好きなのです」


「そうですか。やっぱり子どもたちの笑顔は良いですよねー」


「そうですね。幼女こどもの笑顔は心洗われる気分になりますよねー」


にこやかに笑い合う二人だが、決定的に噛み合わない箇所があるのだが、二人は気付いていない。


「ニシシシッ。貴女は話が分かりますねー」


「勿論ですよ。子どもたちの笑顔を守るために私たちは旗揚げしたんですから!」


段々と熱が入ってくる劉備。


「うんうん……あ。ちょっと待って劉備さん。その話長くなる?」


「え?あ、すみません」


「いえいえ、僕としても談笑したいのは山々ですけど。時間がありますからねー」


劉璋は空を見上げて日の高さを見る。


「多分、話す機会はあると思うから続きはその時にでもしようか」


そう言うと劉璋は陣の出口へと向かう。と途中で劉備へと振り向く。


「あ、そうだ。もし益州に来ることがあったら寄ってね」


それだけ告げると劉璋は陣から出て行く。


「いい人だね、劉璋さん」


『…………』


それに賛同する者は居なかった。







「――――ふーん、あれが劉玄徳。ほんわかした天然娘にしか見えないけど」


少し歩いた所で振り返りながら劉璋は呟く。


「後に蜀の大徳と呼ばれる英傑か……。確かに人心への求心力はありそうですよねー」


にこやかに笑う劉璋。既に劉璋への周りの対応は無視スルーへと変わっていたため誰も劉璋の言葉を聞く者は居なかった。


「まぁとは言え、僕の知ってる史実がこっちでの事実かは知らないけど。案外誰かに呆気なくやられちゃうかもしれないし………」


スッと目を細める劉璋。その顔にはいつもの軽薄な笑みは浮かんでいなかった。しかしそれも刹那のことでいつものヘラヘラした笑顔を浮かべる。


「さて、次はどこに行こうかなー?」


ニヤニヤと竹簡を見て笑う劉璋。次なる獲も………目的地へと向かうのだった。

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