10話 気付いたときにはもう………。
どうも、目目連です。
久しぶりの更新です。お楽しみいただければ幸いです。
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「ねぇ、桂花?」
「はい」
「虎牢関ってあんなんだったかしら?」
「……………」
曹操は目の前の信じられない光景に隣の軍師に確認を取るが軍師も唖然としていた。
曹操は再び虎牢関を見る。『それ』がただの見間違いであることを切に願ったが、現実はそこにあった。
自分の知っている虎牢関はただの関だ。確かに難攻不落と言われているが、それでも『関』であることには変わらなかった。
しかし、目の前にある光景は――――。
「曹操様!虎牢関の壁から石弓が何本も発射されて、近づけません!」
「門の上部より腕を模した絡繰の出現により前線の兵が薙払われています!」
「も、申し上げます!虎牢関より人を模した絡繰が大量に放出され、前線の兵の防具を脱がせると河へと洗濯に――」
その他にも様々な報告が上がってくる。前線の兵たちは大混乱のようで嘘が真が判断のつかないものまで混じりだした。
ただ曹操には一つ、分かっていることがあった。
「本当に何がしたいのよ、貴方は…………」
虎牢関に立ち並ぶ『柳』の牙門旗がまるで奇妙な笑い声をあげているような幻聴に頭を悩ませていた。
「ニシシシッ。全く烏合の衆とはこのことですよ。そんな程度でこの虎牢関・改を落とそうなんて片腹痛いわ!」
まるで悪の首領みたいな格好をした劉璋が関の上から混乱する連合軍を見下し、高笑いしていた。
「そうは思いませんか、張遼将軍?」
無駄に作った声で後ろを振り返る劉璋。
「いや、まぁ。しゃあないとちゃうん?多分、ウチでもいきなりあんなもん立て続けに見せられたらああなるで」
「そうですか?あれですね、あれ。想像力が足りないのですよ」
ニシシッと笑う劉璋。
「ん?なぁ、自分。ウチとどっかで会っとらんか?」
「え?何ですか?口説いているのですか?やだ、怖い」
「ちゃうわ!!」
「ニシシシッ。冗談ですよー。では、僕は次の仕掛けの準備に入りますので」
そう言うと劉璋は楽しそうに次の場所へと向かう。
「…………あれ?なんで僕はこんなことをしているのだろう?」
劉璋印の絡繰たちにより連合側が圧されだした頃、劉璋はふと思い出す。
そう。それは呂布により門が破壊された時に遡る。
「―――――開いた」
呂布が手に持った方天画戟により、門が破壊された。
「いやいやいや、壊れたって言いますから!!」
劉璋が珍しくツッコミ役に回っていた。
「…………?」
「あれ?これは全く理解してない顔だぞ」
「…………敵?」
「うむ。外に出れば7人の敵が居ると言いますからねー」
「………なら、排除する」
「あれ?ここはツッコミ所何ですけど?」
「………敵じゃない?」
「…………」
「…………」
何か微妙な空気が2人を包む。
(何コレ?何なの?久し振りに会った従兄弟みたいな空気なんだけど!?)
基本的にボケの劉璋は相手が反応してくれないと勢いに乗れないのである。
そんな時、天の助けが現れる。
「待って下さい、恋殿~!ねねを置いていかないで下さい~!」
どこ現れたのは軍師の陳宮であった。
「………ねね、危ない」
「でも、ねねは恋殿と一緒に――――」
「ヒャッホイー!!これはまさに天恵なり!!まさか袁術ちゃんに引き続きこれまたいい幼女!」
劉璋、再び有頂天タイム突入である。
「幼女ちゃん、幼女ちゃん。お名前は何ていうの?」
迷わずにナンパし始める劉璋であった。
「何者ですか、お前?ねねは今、忙しいのです。さぁ恋殿、早く戻りませんと連合が来て―――――って、何ですか、これは!?」
陳宮は今更ながら破壊された門に気がついた。
「こ、これでは関を守ることが出来ないのですぞ!」
「――――お困りですか?お困りですね!」
そして、ここぞとばかりに張り切る紳士が一人居た。
「困った時はこの劉季玉にお任せあれ!幼女の頼みとあらばこの蒼天すら落として見せましょう」
「何処の誰かは知らないですけど、出来るのですか?」
「ニシシシッ。かの太閤も驚きの墨俣の一夜城ならぬ虎牢関の一夜城築いてみせましょう!」
こうして、劉璋は董卓側へと付いたのであった。
「ニシシシッ。さぁ、皆さん。始めてください」
劉璋は董卓軍から借りた臨時の部下たちに指示を飛ばす。
力自慢達が材料を引っ張り、手先の器用な者が劉璋の渡した図面通り組み立てていく。
「奇術の基本は相手を飽きさせないことです。さぁお客様がお待ちかねですよー」
「へい!棟梁!」
「なんなの、あれ?」
「それをウチらに聞かれても困るで、詠」
激励も兼ねて偵察に来た賈駆であったが、自分の予想の斜め上をいく状況に唖然とする。
「あんな兵、ウチに居たの?」
「いや、何と言うか………恋が拾ってきたんやけどな」
「はぁ!?拾ってきたって、犬猫じゃないのよ。連合の工作員かもしれないじゃないの!?何で止めないのよ、霞!?」
「いや、まぁ止めたには止めたんやで……でもな―――――」
と、張遼は下で指示を飛ばす劉璋を見る。丁度、そこに呂布と陳宮が現れたのだった。
「柳々………暇?」
「恋殿、こんなやつは放っておいてあっちへねねと行きましょう」
「やぁ、呂布さんに陳宮ちゃん。お散歩ですか?」
何故か呂布に気に入られた劉璋。劉璋としては守備範囲でない呂布は特に相手にする必要はないのだが、陳宮が側に居るのでれば別である。
全くもって浅ましい考えであった。
「相変わらず仲良しですね、お二人は」
「柳々も仲良し…………」
「ニシシッ、それは光栄ですねー。僕はとしては陳宮ちゃんとも仲良しになりたいのですけどねー」
ちらりと陳宮の方を見るが全く相手にされてなかった。
「恋殿~」
「陳宮ちゃんー」
「柳々………」
何故か知らないが変な三つ巴が出来ていた。
「……………あれは信用していいの?」
劉璋と呂布たちのやり取りを見ていた賈駆が張遼へと訊ねるのだった。
「いやまぁ、怪しいのは認めるんやけど。働きは本物やし、現に連合をこないに足止めできたわけやしな」
「まぁ確かにあの絡繰に関しては評価するわよ。後で関わった兵から話を聞いといて。今後の参考にしたいわ」
「え…………あぁ………それは無理やと思うで?」
「何でよ?」
「いや、ウチも気になって何人かに聞いてみたんやけど。誰一人分からんかったで。どうも作業しとる者にも分からんように分担させとるみたいやな」
「一体何者なのよ、アイツ……」
「さて、と………大分試作品も試せたしそろそろ終わりにしますか。ニシシシッ」
劉璋は後ろに控えた工作兵達へと向かい合う。
「さぁ皆さん。いよいよ仕上げです。この絡繰をもってこの戦いに終止符を打ちましょう!」
こうして劉璋は自分の立場も忘れ、連合の打破する一手を打つのだった。
「どうしてこうなった……………」
結果としては劉璋の策は打たれることはなかった。
何故ならーーーーーー。
「阿呆であります」
簀巻きにさられた劉璋の前に仁王立ちする孟達はため息混じりに言う。
「一体何をやっているのでありますか、駄目君主様?」
「あれ?何か怒ってる、孟達ちゃん?」
「ご存知でありますか、駄目君主様?いくら無能な君主様であろうと居ないと滞る仕事があるのであります。そしてその皺寄せは下の者へといくのであります」
つまりは劉璋が居ないことにより武官たちまでも政務に駆り出され、武官たちからの懇願により孟達ら数名で劉璋討伐………捜索隊が結成されたのだった。
「さぁ駄目君主様ーーーーーお仕事のの時間であります」
「ニシシシ……………ごめんなさい」
こうして虎牢関を魔改造した下手人は捕まり、まるで夢の様にその後、連合は洛陽へと到達したのだった。
そして劉璋はと言うと……………。
「確か南蛮に幼女が居ると聞きました。次は南蛮に行くとしましょうか、ニシシシッ」
全く懲りずに次の算段をしていた。
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