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りんね  作者: 小林マコト
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 りんねを暁に会わせるには、遊女屋を抜け出して行かなければならない。

 それも夜となると、りんねには客が多いのだから、行くことは出来ないかもしれない。

 考えてみると、頭の痛くなる話でした。

 自分が勝手にこじつけた話ですので、りんねには何も言っていません。しかし暁からここに来ることはないとなると、ここからはりんねの協力が必要となります。行動するのは、りんねなのですから。


「りんね様……今日も、りんね様を指名した客は、居るのでしょうか」


 尋ねてみると、当たり前のようにりんねが「居るに決まっている」と答えました。

 益々ため息が出ます。客が居るとなると、余計に暁と合う余裕がなくなってしまいます。

 落ち込んだ様子のやよいを見て、りんねは声をかけます。


「やよい、何かあったのかい? 元気がないよ」

「いえ、大丈夫です」

「大丈夫じゃないだろう。そんなしけたツラしてちゃあ、いつまでたっても独り立ちもできないよ」

「……りんね様」


 やはり言わねばならないと意を決して、やよいは切り出しました。


「りんね様、実は昨晩、暁という男を見つけました」

「……夜明け男を、か?」

「はい。そして、りんね様に会ってくれないか、と勝手ながら訊いたのです」

「本当に、勝手なことしてくれたねぇ」

「申し訳ありません」

「いいよ、続けて」

「はい。あの男は今夜、りんね様の言う死神様の道で待っているとのことです」


 勝手に話をつけてしまったことに居た堪れなくなったやよいですが、視線は下げているものの、しっかりと昨晩のことをりんねに話しました。

 するとりんねは、一度やよいの顔を見て、外を見て、そしてやよいに言いました。


「礼を言う。夜明け男との約束、我は守ろう」

「ですが、客が――」

「それくらい我がなんとかする。代わりにやよいはここに居てもらわぬといけなくなるだろうが、耐えてくれるか」


 優しい笑みを浮かべて、りんねがやよいを見ます。


「耐えます! それくらいならば、いくらでも」

「そうか。では我は仕度してこよう。(あるじ)と話をつけなければならんからな」


 りんねは、楽しそうに笑っておりました。


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