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りんね  作者: 小林マコト
6/11


 翌朝。

 りんね宛てに一通の手紙が届きました。

 送り人は「夜明け」。

 りんねとやよいにはすぐに分かりました。

 あの、暁という男。

 すぐにりんねは手紙を読みます。


「……りんね様」

「やよい、ぬしの言いたいことは分かった。心配ない。ただの戯言(たわごと)でしかない」

「戯言、とは一体……?」


 りんねが見せた手紙を、声に出してやよいは読みます。


「……『死んだ目は生き返ったか。おまえの目を見るたびに吐き気が出る。だからまた会うときまでに、生き返らせておけ』。……なんですか、これ」

「ただの戯言。それ以外に考えられんだろう」


 りんねは声を上げて笑いました。以前のりんねならばここまで笑わなかったので、やよいはまたも違和感を覚えます。

 盛大に笑っても、りんねは暁から来た手紙を大切そうに撫でました。


「……………………恋情(れんじょう)

「ん? 何か言ったか、やよい」


 小さく呟いたやよいの言葉が聞き取れず、りんねは聞き返します。


「……いえ、何も」


 そう答え、やよいはりんねから離れました。

 やよいは理解しました。

 りんねがこのように楽しそうにする理由を。

 それは昔、知り合いが「恋をした」と言って笑っていた表情と、同じそれでした。

 遊女でも惚れた腫れたの色恋沙汰は耳にします。しかし、まさかあのりんねが、その感情を抱くとは思いもよりませんでした。


 ふぅ、と息を吐いて、りんねの前に出ていた緊張を解きます。

 嘘のようなことでした。

 まさかあのりんねが。

 前々から少し感じていたものの、本当にそうだと確信すると、信じられぬ気持ちが溢れます。

喜ばしいことでもないのですが、悲しむべきことでもありません。怒るべきことでも、哀れむべきことでもありません。どういう感情を抱けばいいのか、やよいには分かりませんでした。

 ただひとつ、分かることは、りんねを暁に会わせねばならないということだけでした。



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