1/11
序幕
ホラーといえるのかどうか。
お楽しみいただけるとうれしいです。
絢爛なる、吉原と呼ばれる街がその世界にはありました。吉原は遊郭が多く集まる街であるのですが、その街の存在は幕府にも認められるほどのものであり、男どもの社交の場とも相成りました。
艶やかに着飾る遊女らは羽振りのよさそうな男どもに媚を売り、自らの身をも売っているのです。
美しい女たちの街、吉原。
その中でもっとも美しいと言われる最高位の遊女がおりました。
名はもう思い出すことも出来ぬのですが、その遊女は吉原唯一の太夫であったがため、「太夫」という通称で呼ばれていました。
また、その遊女には呼び名が多く存在してました。その美しさから「傾城」、字も思い出せぬのですが、たしかに存在した遊女の名の字の読みのひとつで「りんね」とも呼ばれておりました。
ここではその遊女のことを「りんね」と呼びましょう。
りんねは、吉原一の花魁。
物心付かぬころから吉原で暮らし、影のある美しさを武器に、艶やかで絢爛なる吉原の街を行きます。
これは、りんねがまだ「ひと」であったころの話であります。




