オルゴールの国
掲載日:2025/12/23
この国の心臓はネジだ。ネジが回らないと、この国は始まらない。ネジが回り、歯車が動き出したとき、この国の命は動き始める。
この国が始まる時、空には、いつもキラキラ綺麗な星が輝いている。天の川、北斗七星、はくちょう座、カシオペヤ座、オリオン座。この国には季節がないから、いつでもいろんな星を見ることができる。
この国は、毎日ドの音で始まる。ポン、と軽い音が鳴る時、この国に命が芽吹く。空には星が輝き、地面には草花が芽吹く。建物から出てきた人々は、誰もが空を仰ぎ見て、曲に合わせて歌う。曲に合わせて踊る。
この国の寿命は、歯車が止まってしまう時。ネジが止まってしまったとき、歯車も止まる。命が尽きた国は、星が輝きを失い、人々は建物の中に戻り、眠りにつく。次にまた国に命が芽吹くその時まで。
カチカチカチ‥‥‥。
ネジが回り、今日もまた、この国に命が芽吹く。人々は眠りから覚め、空一面を覆いつくす星たちを見上げ、隣の人と顔を合わせて歌う。手と手を取り合って踊る。
星が輝きを失うその時まで。人々が眠りにつくその時まで。この星の輝きが、いつまでも続くことを祈って、人々は歌って踊る。




