7つの希望
ショートホープってのは10本入りで300円、しかも短い
切羽詰まった現代の終わり人が最後に手を出す煙草
だと、俺は勝手に思っている
一昔前はわかばだエコーだフォルテだと廉価煙草はいくらでもあったが
時代の波に我々愛煙家は文字通り煙たがられている
その存在を知ったのはバイト先で元ホストのイケメンボーイが喫煙所でショートホープを2箱必ず用意しているのを見てからだ
人の観察は重要だ、見て振り治せとは、かの昔の偉い人が言ったらしいのかもしれない
イケメンが吸うショートホープはその短さを逆にアピールポイントとして利用していた
単純な俺は素直にカッコイイと思ってアカマルからショートホープへ乗り換えたが実質2箱で600円は高すぎると止めるのも早かった
そして今、俺の目の前に7本のショートホープがお線香ばりに超巨大な仏さんの前で宙に浮いている
「7回だ」
金色に光るどこの流れの者か不明な仏さんが言った
「7回だけ人生を修正してもいい。うまく生きて死ね。そしたら輪廻に戻そう」
はっきり言う仏だなと思った
死ねって言われて割かし安堵できる存在も稀有だ
しかし残念ながらたった7回では紆余曲曲曲曲折しまくった俺の人生は修正できんぞ
だが仏の顔も三度までとは言うが7回は盛ったほうだ
アリかナシかでいったらアリすぎるだろと、NJが込み上げてきた
アレとソレとコレとetc...
まぁきっとなんとかなるさ
ところでどこからリスタートするんですかね
赤ん坊からはやめて欲しい、せめてそう・・・あの娘にもう一度会いたい
そう願った。
そしたらなんということか
仏はショートホープに火をつけて吸い出した
「あと6回だ」
おいふざけんな、ケチすぎるだろ