その3-8
アルフレッドは苦笑し
「訪問の時の君の立場だ」
フィマール王国の王であるアルフレッド・トゥル・フィマールの婚約者という事だ
「ティナ・フォン・ノアール」
但し名前は一時的に
「ナティア・フォン・ウェールズにしてもらう」
と告げた。
ティナは驚きながら
「何故?」
と凍り付いた。
アルフレッドは息を吐き出し
「君を理由なく連れて行くのは難しい」
ならば婚約者の方がしっくりくるだろう
「俺は王だ」
王妃候補がいても可笑しくはない
と告げた。
ティナはハッとアンリエッタを見た。
彼女が気分を害しているのではないかと心配したのである。
しかし、アンリエッタは笑顔で
「そうね、フィリップも二人一緒なら警備をしやすいわね」
と告げた。
「フィリップ、お願いね」
フィリップは笑むと
「勿論」
と答えた。
ティナは余りの和やかさに
「何故?」
と心で突っ込みつつ、息を吐き出すと
「かしこまりました」
と答えた。
アンリエッタ王女が形だけとは言えティナ自身がアルフレッド王の王妃候補というのに気分を害しないのだろうかと心配したのである。
2人の仲が良いことは周知の事実である。
恐らく将来的には結婚をしても可笑しくはないだろう。
ティナはそう考えていたのである。
アルフレッドは何処か上機嫌で
「では、出発は4日後だ」
ティナ
「持って行く必要のあるモノは選別して用意しておいてくれ」
と告げた。
同じ頃。
フィマールの使者から訪問の知らせを聞いたウィズダム国の王は苦虫を潰すように
「先の件があるから断ることは出来ないが」
間違いなく毒の研究の探りを入れてきたに違いない
と呟いた。
「毒の研究の序でに近隣の国の侵略に手をかけようと思っていたが」
そもそもフィマールの新王の毒殺など計画には無かったはずだ
余計なことを。と呟いた。
それにピーター・アルツは恭しく頭をたれながら
「しかし、ルシフにはカナル王国を滅亡されたという恨みがあり、研究をさせる上でそこを避けて通るわけにはいきませんでした」
彼は今も研究を懸命に続けています
「何れ侵略に使える毒の発症時間を自由にすることや発見できない毒なども開発できると思います」
今しばらくご辛抱を
と告げた。
王はそれに
「わかった」
と答えた。
ティナは毒を調べる展開液や特殊な紙などを箱に入れて持って行くための荷物に追加した。
表向きはアルフレッドの婚約者ナティア・フォン・ウェールズである。
出発当日、彼女は何時もの質素な服装ではなくきっちりとしたドレスに身を纏い王宮のエントランスに姿を見せた。
金色の長い髪を結い、ほっそりとした肢体をふわりとしたドレスが飾っている。
アルフレッドは息を飲み込んで見つめていたものの咳ばらいをすると
「行こうか」
と手を差し伸べた。
ティナはその手の上に手を乗せて
「はい」
と答え、馬車へと乗り込んだのである。
最後までお読みいただきありがとうございます。
続編があると思います。
ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。




