その3-3
始めこそ不愛想だったティナだが最近はちらりほらりと笑みを見せるようになった。
マリーもアンリエッタもそれが嬉しかったのである。
食事はティナとアンリエッタが同時にアルフレッドと共にとり、マリーが最後に病院を締めて自宅へと戻り、午後になるとまた開ける。
そのサイクルであった。
ティナとアンリエッタとアルフレッドが共に食事をとるのは安全面から考えてそれが良いとアルフレッドが判断したからである。
アンリエッタは王女…つまりフィマール王国を二分するエドアドルの娘だからである。
毒見役を他に用意するより、ティナに一度にしてもらう方が安全だし効率が良いという事である。
ティナは二人と食事をしながら気にかかっていることがあった。
毒殺未遂から以降は毒が盛られることはなかった。
犯人も見つかりことは全て終わったように見えたが彼女の中には毒殺師一族ならではの疑惑があったのだ。
「カーミラの葉の粉末はまだ多少の知識があれば出来るけど」
フドールの毒を利用して仮死状態にするにはそれなりの知識が必要だわ
「量を間違えると死んでしまうもの」
しかもトーマス・グレンの毒は混合されたモノで普通ではなかったし
何よりフドールの毒はノアールで精製したものだわ
「ウィズダム王国にノアールの人間がいるんじゃないのかしら」
そう考えていたのである。
アルフレッドは何時になく寡黙なティナを見て
「ティナ…ノアール嬢」
何か気になることがあるなら言ってもらいたい
と告げた。
アンリエッタは苦笑し
「アルフレッド、その中途半端な呼び方は止めた方が良いわ」
照れるのは分かるけど
とクスクスと告げた。
アルフレッドは罰が悪そうに視線を逸らせつつ
「アンリエッタ」
と嗜めるようにつげた。
ティナは二人を見ると
「相変わらず会話がお花畑ね」
緊迫感がないわ
と心で突っ込み
「ティナでかまいません」
と冷静に返した。
アルフレッドは息を吐き出し
「ではティナ」
何か気にかかることがあるのか?
と聞いた。
ティナは少し考え
「一応、お伝えしておきます」
ウィズダム王国の毒に関する知識はかなり高いと思われます
と遠回しに告げた。
アルフレッドはそれに
「フドールの体液の精製やトーマスに飲ませようとした毒か」
それこそノアール並みの人間か組織があるかもしれないという事だな
と告げた。
ティナは目を見開くと
「気付かれていたのですか?」
と聞いた。
アルフレッドは苦笑し
「フィマールの町医者などの状況と比べれば分かる」
と答えた。
「だから、君に薬の開発や調査を頼んでいる」
フィマールはかなり遅れている
「だがフィマール以外でも体液の毒の精製など…かなりの知識と専門の道具が無ければな」
ティナは「まあ、そう言うことになるわね」と答え
「やはりただの愚王ではないのね」
と心で呟いた。
アルフレッドは少し考え
「実は」
と唇を開いた。
ティナとアンリエッタはそれを聞くと大きく目を開いた。
最後までお読みいただきありがとうございます。
続編があると思います。
ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。




