その3-2
王宮の病院は王宮で働くものだけが知る秘密の存在であった。
中心者がノアール一族の生き残りであるという事が分かると国内の動揺も大きいとアルフレッドが考えたからである。
主な仕事はアルフレッドの依頼から薬の開発や調査、後は時折運ばれてくる怪我人の手当てである。
特に兵士は訓練の際に怪我をすることも少なからずあり、当初こそ『毒を盛られたら』と内心戦々恐々としながら姿を見せた。
受付はアンリエッタであった。
彼女は爽やかで鮮やかな笑顔で兵士を出迎え
「ようこそ」
その椅子に座って待って居て頂戴
と言ってティナが診察をする部屋の前の椅子へと案内するまでが仕事であった。
王女の出迎えである兵士はビシッと敬礼すると
「は!王女様」
とガチゴチになりながら椅子に座るのである。
すると、マリーが
「どうぞ」
と呼びかけ中へと案内するのである。
手当の手伝いはマリーの仕事であった。
ティナは戸口に立つ兵士を見て
「座って」
と端的に言い、兵士が息を吸い込み
「この身が毒に侵されようと…フィマールの為ならば」
と小声で言うのが聞こえ
「兵士の方がまともなのね」
と呟いた。
兵士の青く内出血した腕を見て軽く押さえた。
ティナは冷静に
「痛みはどうかしら?」
と聞いた。
兵士は「多少」と答えた。
ティナは患部の様子を見て
「変形も腫れもないし…動かすだけで痛いようでもないし」
恐らく打撲ね
と言い
「マリー、氷嚢を用意して」
それから強く打っているから包帯を
「きつい目にしてちょうだい」
と告げた。
「様子を見て痛みが酷くなるか内出血が広がるようなら腕を釣るわ」
暫くしたらこれを患部に貼って包帯をし直してちょうだい
ハイ、終わり。と氷嚢を用意しているマリーへと兵士を引き渡した。
兵士は湿布を見ると固唾を飲み込み
「それは、まさか…」
と呟いた。
ティナは息を吐き出し
「ハッカスの油を混ぜた薬よ」
塗り薬で飲むものじゃないから口にしないでちょうだい
と冷静に返した。
兵士は首を振ると
「は、はい、ありがとうございます」
と敬礼してマリーの元へと向かった。
ティナは少し考え
「しかし、ここは病気よりは怪我が多いわね」
と呟き
「ハッカスの油とトウカラの実を大目に用意しておいた方が良いようね」
と呟いた。
マリーは兵士を手当てすると
「ティナ、そろそろ食事の時間じゃないかしら」
と声をかけた。
ティナは頷くと
「そうね」
ありがとう、マリー
と笑み
「行ってくるわ」
と答えた。
マリーは笑顔で
「行ってらっしゃい」
と答えた。
最後までお読みいただきありがとうございます。
続編があると思います。
ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。




