『第三章 裏切り』
俺も最初は普通の冒険者だった。
「レイガ!いつまでもたついているんだ!早くしろ!」
「ご、ごめん・・・。」
慌てて荷物をバッグの中に押し込み背負う。
「ごめん、お待たせ!」
「ったく!遅いぞ!荷物持ちなんだから昨日の内に整理しとけ!」
「ご、ごめん。」
「あぁもう!謝ってばかり!誰のおかげで無能のアンタをパーティに入れてあげたと思ってるの!」
以前の俺は幼馴染とパーティを組んでいた。
だが幼馴染と言ってもそこまで仲は良いいわけじゃない。
男の方はフリック。
リーダー気質のある奴だが性格が悪く、昔からトラブルばかり起こす。
そしてその責任を全て俺に擦り付けられるのも日常茶飯事だ。
女の方はセリネ。
美少女であるが生憎とこいつも性格がよくなく良好な環境で育ったせいか我儘で昔から手を焼く程。
常に上から目線であるため中々彼氏ができないでいた。
アイツの性格じゃ当然だろう。
「ご、ごめんねレイガ・・・。君にばかり辛い仕事させちゃって。」
もう一人の少女はアミン。
この子だけは子供のころから優しくしてくれて幼馴染の中で唯一心を許しあった仲だ。
「大丈夫だよアミン。俺が荷物持ちをやることでみんなが戦いに集中できるんだ。せっかくパーティに入れてもらったんだ。このくらい頑張らないと!」
するとフリックがアミンに怒鳴った。
「おいアミン!そんな奴に構ってたら遅れるぞ!荷物持ちはただ黙って荷物を持ってればいいんだよ!」
フリックの態度に多少ムカつきながらも俺たちはダンジョンにやってきていた。
道中難なく進んでいきダンジョンの最深部までやってきていた。
「ったく!足引っ張りやがって!」
「仕方ないでしょ!レイガはこんな大荷物を持っているんだから!」
「アミン大丈夫だよ・・・。俺の体力が無いのが悪いんだから・・・。」
「レイガ・・・。」
俺だけが息が上がっていた。
こんな大荷物を背負いながらダンジョンに来ているのだから当然だった。
「ここがヌシのエリアだ。ここを突破すればレアアイテムが手に入るぞ!」
フリック達は意気込みながら部屋に入ると奥の方に何かが座っていた。
すると部屋に入ってきたフリック達に気づいたのか突然動き出し、凄まじい雄たけびを上げた。
「オオオオオオオオ‼」
「ススス、スケルトン・ロード‼」
アミンが動揺しながら叫んだ。
「へっ、あんな骨野郎この俺にかかればあっという間よ!」
フリックは躊躇なくスケルトン・ロードに突っ込んだ。
「くらえぇぇ‼」
スケルトン・ロードの足に剣を切りつけ膝を突かせた。
「今だセリネ!」
「フレアショット‼」
すかさずセリネが魔法で頭部を攻撃した。
だがスケルトン・ロードは立ち上がり、剣を持って迫ってきた。
「逃がすかよ‼」
後ろからフリックがもう一度足に剣を切りつけ、スケルトン・ロードはまた膝をついた。
「幾ら再生するからと言っても一度骨を砕かれたら身体を支えられなくなる。骨の欠点だな!」
そう粋がりながら煽るフリック。
そのままスケルトン・ロードを押し続け、あと一息まで達した。
ヌシにフリックとセリネが戦っていたが二人だけでスケルトン・ロードを圧倒するほど彼らは強かった。スケルトン・ロードもかなりダメージを受け、地に伏せた。
「これでとどめだ‼」
脳天目掛けて剣を振り下ろす。だがスケルトン・ロードの様子がおかしい。
「っ⁉待て、下がるんだ‼」
俺は素早くそれを察知したがもう遅かった。
スケルトン・ロードが突然光出したのだ。
「うぉっ⁉」
「きゃぁっ⁉」
光に包まれたかと思いきやスケルトン・ロードは第二段階のガシャスケルトン・ロードへと変化したのだ。
「はぁ⁉変化するなんて効いてねぇぞ‼」
「ラウンド形式のボスだったのか!まずい!」
全員魔力をかなり消費しているため、このままの戦闘続行は不可能だった。
知らなかったとはいえ魔力を温存しながら戦っていれば・・・。
だが後悔しても遅い。
今の俺達じゃこいつには勝てない。
「フリック!一旦退こう!今の俺達じゃ勝てない!」
「あぁ⁉無能は黙ってろ‼ここまで来て退けるかってんだ‼」
まったく聞く耳を持たないフリック。
セリネもフリックと同じ考えだろう。
「くたばれ骸骨野郎‼」
無謀にも正面から突っ込むフリックだが変化したスケルトン・ロードの振り下ろされた剣にあっさりはじき返されこちらに飛んだ戻ってきた。
「が、がが?」
「フリック⁉」
「オオオオオオオオ‼」
スケルトン・ロードの威圧が俺達を飲み込む。
咆哮と同時にスケルトン・ロードは配下のスケルトンの大軍を召喚し俺たちに襲い掛かってくる。
「フリック!退こう‼」
フリックは悔しそうに歯を噛みしめた。
「ちぃっ!退くぞ‼」
やっと退く気になったフリックだが判断が遅すぎたのかスケルトンの大軍が追ってきていた。
「何で追ってくるのよ!」
「あの咆哮の時に俺たちに狙いを定められたからだよ!あれを食らう前に退いていればこんなことには!」
「俺のせいだと言いたいのか⁉」
間違いなくフリックが全部悪いのだが今知れを言っても火に油を注ぐだけ。
だが悪い事は続く。前方からも魔獣の大軍が行く手を阻んでいたのだ。
「クソっ!こんな時に!」
「後ろからも追いつかれちゃう!」
挟み撃ちに会い絶体絶命。
するとアミンが壁にトラップのスイッチがあることに気が付いた。
「そうだ!これを使えば!」
アミンはためらわずそのスイッチを起動させた。
すると後方の通路に大きな溝が出来た。
底は深く何も見えない。
「これで時間を稼げるはずだよ!」
「よし!」
フリックは剣を構え前方の魔獣を一掃していき通路を確保していく。
(よしこれなら!)
俺がそう思ったのも束の間、後ろの方で何やら不穏な音が聞こえた。
恐る恐る振り向くとなんとスケルトンが身体を重ね合い徐々にこちらに向かって橋を架けてきていたのだ。
「フリック!スケルトンが!」
「何だと⁉」
このままでは全滅だ。
「一体どうすれば!」
とその時、俺は誰かに背中を押された。
振り向くとなんと俺を押したのは、
「アミン?」
俺はそのまま溝の奥底へと落とされてしまった。




