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罪を喰らう者  作者: アニトマ
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『第二十章 招かれ』

セイグリット達が聖都から戻った翌日。

王都アルーシアの中央に位置する王城にて偉い人物が集まる会議が開かれていた。

長い長方形のミーティングテーブルには既に何人もの偉い人物、そしてカーテンに身を隠した国王が既に着席していた。

そこへアルーシアの王子が入室する。

「遅れて申し訳ございません。」

「待っておりましたぞ。エルク王子。」

王子直属の騎士キリも同席し、会議が始まった。

「今回皆様にお集まりいただいたのは罪の魔物に関する新たな情報です。」

会場が少しざわつく。

エルク王子はキリから書類を渡され魔法で各参加者に配った。

「今回の遠征で僕は罪の魔物へとなりかけた魔獣に襲われました。その襲撃で多くの兵士を失いながらも魔獣を巣の近くまで追い詰めました。結果我らは助かりましたがそこで新たな事実が発覚したのです。」

「その事実とは?」

「・・・罪の魔物となりかけていた魔獣の巣には、虐殺された魔獣の子供が息を引き取っていました。おそらくその魔獣は我が子を殺された怒り、憎しみを抱いたことで罪の魔物へとなり果てようとしていたのです。」

参加者の偉い者達が驚きの表情を見せる。

「なんと!では罪の魔物の出現方は・・・!」

「えぇ。確証ではありませんが対象が何らかの罪の意識、憎しみや怒りなどの負の感情を抱いた時、罪の魔物へなり果てる可能性が高いです。」

新たに判明した罪の魔物の謎に一同は更にざわつき始める。

「罪の魔物はそのように出現していたのか⁉」

「これは大発見ですぞ!」

大臣たちが騒ぎ始めると白衣を着た丸眼鏡の少女が独特な笑い声で話し出した。

「ウキキ!皆様ご静粛に。まだそうと決まった訳ではありません。」

「ルネッタ殿。」

「それに、この話にはもっと相応しい専門家がおります。ですよねぇ?国王様?」

萌え袖で口元を隠すルネッタにカーテン越しの国王は、

「・・・この事を彼女、魔法龍騎団のセイグリットに伝えたい。彼女との謁見の場を設けよ。」

その後しばらく会議が行われ、お開きとなる。

残った国王とルネッタ。

そしてエルク王子。

「・・・そういえば風の噂で聞いたのですが、セイグリットのお婆ちゃん何やらもの凄い新人をギルドに迎え入れたらしいですぞ?なんでも本人自らスカウトしたとか?」

ウキキと癖強に洗うルネッタ。

「ほう。それは興味あるな。あ奴本人が選んだ人物か。ダメ元で構わん。その者も一緒に要請せよ。」

「かしこまり~。それじゃお手紙書いてきますんで蝋印お願いしますね~。」

そういいルネッタは退室していった。

「父上・・・。」

「安心しろエルク。エルニスの恩人探しの件も忘れてはおらん。」

「そのことなのですが、実は魔獣の襲撃の際、助けてもらった人物がいるんです。」

「ほう?」

「その人物は妹エルニスが描いた似顔絵の人物そっくりでして、そして、殺人犯として指名手配されている人物とも特徴が一致していたのです。」

エルクは似顔絵と手配書を見せた。

「ふむ。確かに特徴が似ておるな。それがどうかしたのか?」

「・・・確かに彼からは禍々しい気配が漂っていました。人も平気で殺すような邪悪さも。ですが、僕はその人物がどうしても悪人には見えなかったのです。むしろ、何処か悲しみを感じたというか。上手く言えませんけど。」

「ふむ。娘の恩人と手配犯。同一人物かはさておき、今はセイグリットと話をしなくては。別件であ奴に言いたいこともあるしの。」

その会話の中、エルク王子側近のキリは何やら固い表情をしていたのだった。


 場所は変わりセイグリットのギルド『魔法龍騎団』。

聖都から戻ったセイグリットはハイツからの報告を受けていた。

「なんじゃと?もう一度頼む!」

「はい。先日聖都に呼ばれ向かいましたところ、罪の魔物の出所を掴みました。」

ハイツの話では、セイグリットからの要請を受けたハイツはレイガと共に聖都に向かったが事は既に解決していたため罪の魔物の出所を探った。

その結果、街の路地裏で三人組の男を発見した。

その三人組は魔法龍騎団に所属していた冒険者でレイガに嫉妬の眼差しを向けていた連中だったのだ。

出合い頭の反応に怪しさを覚えハイツとレイガの二人で即ひっ捕らえる。

その時、男の懐から黒いマーブル石が転がり落ちたのだ。

レイガはその石に見覚えがあり体内のルシファード達と相談した所、罪の魔力を凝縮させたギルティマーブルだったのだ。

ギルティマーブルは持つだけで人を罪の魔物へと変貌させてしまう極めて危険で謎な魔石。

何故男どもがこれを持っているのか尋問した所、ギルドを出た直後、()()()()()()()()()()()に渡されたとの事。

レイガを疎ましく思っているのならこれを聖都にばら撒けと。

「勿論その者たちは然るべき処罰をいたしました。まあ二度と冒険者が出来なくなるでしょうがね。フフフ。」

眼鏡を光らせ不気味に笑うハイツに少し背筋が凍った。

「じゃが黒いマーブル石か。レイガはそれが何か知っておったようじゃが?」

ソファに座りクッキーを食べてるレイガ。

「前にその石を使って罪の魔物になった奴を見てるからな。当然そいつも食らったがな。」

「核となった人間は?」

「食ってねぇよ。あんな不味そうなデブ。」

(言葉つよ・・・。)

体内でアスモデニスがツッコんだ。

「しかし、その馬鹿どもに魔石を渡したという謎の女。そやつは何者じゃ?」

「現時点では解りかねます。ですが罪の魔物と何か関わりがあると私は思います。」

「儂もじゃ。もしそやつの目撃情報が出たらすぐ儂らに知らせろ。」

「かしこまりました。」

二人の話に耳を傾けていたレイガはその女に訝しみを覚える。

(罪の魔物との関わり、か・・・。)

するとセイグリットの部屋に聖都で手に入れた聖剣を背負うイフルが入室してきた。

「お、イフル!儂がこしらえた服、似合っとるな。」

聖剣の雰囲気に合わせた白ベースと金装飾が施された戦闘服を着こなし、美しくも可愛らしい姿だった。

そんな彼女は手紙をセイグリットに渡す。

「何じゃ?」

『受付でセイグリット宛に届いてたって。』

パネルでそう筆談するイフル。

セイグリットは手紙の蝋印を見て、顔をしかめた。

「うわ、アイツからじゃ・・・。」

「その蝋印、この国の王家の紋じゃねぇか。」

「うむ。この国の国王とは古い知り合いなんじゃが。アイツが儂を呼びつけるとは罪の魔物絡みと見て良いじゃろう。」

手紙をしばらく呼んでいるとその内容にセイグリットの表情が険しくなった。

「いかがされました?セイグリット様。」

「・・・我がギルドに新たに入った新人、罪の魔物を葬れる人物も連れて来いと書かれておる。」

「っ!」

「・・・何故王族がお二人の事をご存じなのでしょう?」

「聖都の件でイフルはまず解かるとして、問題は・・・。」

レイガは指名手配をされている身。

そのような人物がいきなり城に現れれば混乱が起こる。

「なんとか断れませんか?」

「儂もそうしたいが、あの国王は無駄に鋭いからの。特に儂相手じゃ隠し事などすぐに見破られる。」

レイガとイフルを連れていくことは決定事項のようだ。

「仕方ない。レイガは変装させて連れていく。顔と身なりを誤魔化せば騒ぎにはならんじゃろう。」

望みは薄いがそうするしかなかった。

(王族、か・・・。)


 そうしてしばらくして、セイグリットとイフルが城門の前にやってくる。

「約一年ぶりじゃな。・・・なんじゃイフル?緊張しておるのか?儂の知り合いじゃから普段通りで良いぞ。」

「俺は普段通りじゃないがな?」

二人の後ろから新しい黒いマントを羽織い仮面で顔を隠したレイガが来る。

「こんな安直な変装で大丈夫か?マントと仮面被っただけじゃねぇか。」

「お主の眼の刺青は目立つしの。マントで身体を隠せばある程度は誤魔化せられる。要は指名手配犯と気付かれなければよいのじゃ。謁見の間だけでもそれをしててくれ。」

「・・・わかったよ。」

門番にアポを取るセイグリット。

彼女は割と有名人であるらしく門番は緊張気味で城門を開けた。

三人が城の敷地内に入ったその時、こちらに迫る敵意を感じ取りその剣筋を素手で受け止め振り払うレイガ。

(コイツ、あの時森で貴族青年といた女騎士!)

レイガに切り掛かってきたのは王子の専属騎士キリであった。

二人はそのまま激しい戦闘を繰り広げギリギリと力の押し合いとなる。

「まさかセイグリット様のお付きが貴方だったとは。」

「お前、俺が何者か知ってて斬り掛かってきたのか?」

「無論だ。貴方ほど奇妙で異質な魔力を宿した人物は他にいない。」

鈍い金属音と共に距離を開ける二人。

「おいキリ!何ゆえ儂の付き人に斬りかかりおった?相応の理由が無ければ・・・、儂とて許しはせんぞ?」

重圧を感じる眼差しで睨みキリは身震いする。

だが睨む彼女をレイガが止めた。

「・・・セイグリット様、その者がどういう人物なのかご存じなのですか?」

「どういう人物?こやつは儂のギルドメンバーの一人じゃ。儂が直々にスカウトした希望の星じゃぞ。」

レイガは身分を隠しているため本当の事は言えない。

だが、

「・・・誤魔化さないでください。私は、その者が何者であるのか既に存じ上げてます。」

「例えば?」

「・・・指名手配犯、殺人のレイガと。」

その瞬間、風が吹き荒れる。

「・・・セイグリット、どうやら変装は無駄だったようだぜ。」

「みたいじゃの。キリよ。儂はこやつがどういう人間か既に知っておる。そのうえで我がギルド、魔法龍騎団に引き入れたのじゃ。今の儂らにはこやつらの力が必要不可欠である。文句があるのなら儂に言ってみろ!」

セイグリットの力強い言葉にキリはしばらく黙り込み、剣を降ろした。

「貴女様がそこまでおっしゃるのなら、私は矛を納めます。ですが彼が殺人犯であることには変わりません。何故彼を招き入れたのか、後程理由をお伺いさせていただきます。」

「心配するでない。お主だけでなく、あやつらにもしっかり説明してやる。」

一悶着あったがレイガたちは無事城へと招かれるのであった。


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