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思い出

作者: 某兄貴

読んでくれたあなたに感謝

街の灯りが消えた静かな夜、やることもないし、外を歩いてみることにした。近くの浜辺まで歩いてみたが、やはり誰もいない。海に目を向けてみる。海はどこまでも広く、キラキラ光っていた。海に星が反射しているのが見えた。「明かりもないし、星が見えやすくなってるのか。」

そんなことを考えながら上を見る。そこにはとても大きな川が流れていた。海のようにキラキラ光って、一つ一つが生きているような、とても綺麗な川だ。

ふと思い出す。小学生の頃、夏によくおじいちゃん家にいっては毎夜屋根に登り星を時間を忘れるほど眺めていたこと。

懐かしいな。おじいちゃんが言っていた事を思い出す。

「人は死ぬとな、お星様になるんじゃ。

お星様になって色んな人の事を見守ってくれてる。」

俺はそれを茶化すように「嘘だー」と返す。

「嘘じゃないさ。」おじいちゃんはとても優しい笑顔で答える。

「ふーん」

その時はまだまだ子供で考えることもしていなかったが、今になって考えて見ればそのおじいちゃんの言葉に納得出来るかもしれない。キラキラピカピカ光って生きているような、意志を持っているような。

おじいちゃんはもう3年ほど前に死んでしまった。もしかしたら今もおじいちゃんは俺たちを見守っているんじゃないかと思って空に向かって話しかけてみる。

「おじいちゃん見てる?」

もちろん返事は帰って来ない。それでも話を止めようとは思わなかった。

「最近、仕事が忙しくて忙しくて、子供の時に戻りたくなるよ。」

やはり返事は帰ってこない。だが、一つ、星がキラッと光った。その瞬間沢山流れ星が流れ始めた。なんだかおじいちゃんがその場に居るかのような星の動きに楽しくなってきて、どんどん話かけた。

「彼女ができたんだよ」

「最近親孝行できてないんだ」

「おじいちゃんはそっちで楽しくやってる?」

そんなことを話しているうちに太陽が登り始め、我に返る。

「社会人になってまで何やってんだか」

と心の中で呆れ気味に笑う。

明日は仕事もないので徹夜してしまったぶんちゃんと寝ようなんて考えながら帰ろうとすると後ろから、

「幸せそうで良かったよ。」

声が聞こえてきた。咄嗟に振り返る。でも、そこには誰もいない。気のせいかと思い、再び帰ろうとすると、ポケットに何か入っていることに気づいた。石だ。

なんの石だと思い投げ捨てようとした時、思い出す。昔おじいちゃんと遊びに行った川。その場所で拾ったあの石だ。

それを思い出した途端涙が止まらなかった。あれだけの思い出を一緒に作ってくれたおじいちゃんに何もお別れの挨拶もしないで仕事を優先して、そんな自分に嫌気がさした。

「ごめん...ごめんね、おじいちゃん...」

朝日が登る中、一人浜辺の上で蹲り泣き続けた。

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