春の忘れ物
大人になるために
少しずつ忘れていったことを
子供じゃなくなって
少しずつ思い出してきた午後
春の忘れ物
新しい環境に馴染むために
たくさんのことを覚えた
がむしゃらに掴んだナレッジ
生きるために必要なことを
食べていくために必要なこと
金を回すために必要なこと
そんな気なんてなかったのに
それまでのことに気が回らなくなった
大人に近づく度に
子供を忘れていく
大人に近づくために
子供を封印していく
大人に近づくほどに
子供が遠くなっていく
大人になればなるほど
子供でいられなくなっていく
適応するためにたくさん
嘘笑い作り笑いして
そのうちいつか本物の
大人になれると信じたかった
こんなところで折れるなんてさ
こんなところで挫けるなんてさ
何年経っても慣れない
立派な大人なんかになれない
桜吹雪に背を向けて
手を振って歩いたあの瞬間を
未来に期待と不安を
いつか自由が待っていると踏み出した
醜くて寂しい社会なんて知りたくもなかったけど
僕は僕以上の人間になれない
って答えを見つけられたのはよかった
なんて考えてたことを思い出した
雪解けをぼんやり見ていた時のことだった
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働き始めてから思ったこともちらほらと。
ただ、なんだかんだ言って今も書けているなとは思えているので、これはこれでありかなと。