二話 無慈悲なる勇者ー②「四柱の悪魔」
勇者が召喚される、一時間前。
ーー天空城「タルタロス」拷問室。
「勇者召喚とは、いやはや、いじめすぎたな人間を」
「いや、全くだ。勇者召喚には、人間の魂を数千個、生贄にする必要がある。それを、人間が行ったのなら、さぞかし、絶望したのだろう」
「だから、最近は調子が良かったのですか。殺さず、いじめるものですね、人間も」
「いじめすぎた、と、言ったばかりだろ、カオス」
「冗談だ、ケイオス」
二体の悪魔は楽しそうに言葉を交わす。
「煩い、今回はその勇者をどうするか、と集まったんでしょう。なら、早く初めて頂戴、私はやるべき事があるの」
そして、同じ悪魔の姿から、透き通る様な声が拷問室に響く。
「僕だって、まだ、拷問の途中なんだから、というか、何で、拷問室でやる必要があるのさ」
「すまんすまん、カオスと久々に会ったのでな、キュリオ、ブラッド」
「では、私が本題に映らせてもらう。《勇者》をどうするか」
「拷問しようよ~」
「それは、論外だ。キュリオ」
「残虐一択だわ」
「それも、論外だ。勇者は人間でも高い戦闘能力を持つと、全魔人王様がおっしゃっていた。舐めてかかるのはあまりにも哀れだ」
ブラッドは強く舌をうつ。
「だったら、服従させるのはどうだ?戦力として」
「…いいですね。では、そうしましょうか。元々、戦力を高め様と思っていましたし」
「決まりだな」
「それなら、僕は異論はないや」
「私も」
「よし、初めて、満場一致した所で、決まりだ」
四体の悪魔は、拷問室から出て、廊下を見えない脚で歩く。
そして、外への扉を開いた瞬間、深淵の暗闇が彼らを包む。
「我らの新たな《王》が現れる、その時まで、私達は戦力を蓄えましょう」
そう、カオスは、腹の底まで響く様な声で、そう口にした。




