第三話
遅くなりました。
(……ここはどこだ……?)
目を開けると、まず視界に飛び込んできたのは、真っ暗闇の世界だった。
(……まだ夜か……。寝よう……)
俺は再び目を閉じた。
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目を開けると、そこは真っ暗闇の世界だった。
(……あれ?まだ夜?いくらなんでも長すぎでしょ)
俺は周りの環境の不自然さに疑問を抱き、状況を確認しようとした。幸い、寝起きなのでどんなことでも冷静に受け止められる精神状態であることを自負できる。
俺はまず体を起こそうとして………、
(………ん?……あれ?俺はいつの間にうつ伏せで寝てたんだ?俺はいつも通りだと、仰向けで寝てるんだが……)
まぁ、寝相が悪かったりするとなってしまうときもあるだろうし、別に大したことじゃないかと思いつつ、大きく伸びをしようと両腕を動かした。
(……ん?変だな?俺の腕ってこんなに太くて重かったっけ?あとこんなに短かったっけ?)
………何かがおかしい………。
一向に明るくならない周りの状況もおかしいが、それ以上に自分の体(特に両腕)がおかしい。
鏡で確かめたいところだが、真っ暗闇でなにも見えず、何もできない。
……どっかに電気のスイッチでもないかな?
俺はそう思って体を動かしたが、体が思うように動かなかった。
……あれ?何でだ?
体に力をいれようとしても、上手く力が入らないようだ。足がよたついて、立つことすらできない。
これはおかしい。完全に異常事態だ。
俺は困惑しながらも、どうしてこういう状況に至ったのかを考える。
(……ん?あれ?)
『……いいだろうよ。てめぇがそんなに拒否するなら、俺はてめえの要望に応えるまでだ。ただせめて、てめえがもう一度、人間に生まれ変わりたいと願えられるようになってることを、俺は祈ることにするぜ』
……なんだこの記憶……?酷く曖昧だが、とても頭に残ってる言葉だ。
いつ聞いた言葉だっけ……?
……ん?"もう一度人間に生まれ変わりたいと願えられるようになってることを俺は祈ることにするよ"?……ってどういう意味だ?
……駄目だ、思い出せない。思い出そうとすると、頭が痛くなってくる。
……あー、もう訳がわからないし疲れた。寝よう。
俺は三度目を閉じるのだった。
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「………何でここで寝ちまうんだよ。どんだけ自堕落で呑気なんだ?こいつ。」
真っ白な空間に一人、あの黒服の青年が、水晶玉を覗きながら呆れるように呟いた。
「俺との会話の記憶を消したのが間違ったかなぁ?あと、転移する場所をもっと明るいところにすりゃ良かったかも………まぁ、俺達は見守ることしかできねぇからな。せいぜい逞しく生き抜いてくれよ、元人間のドラゴン君」
青年はそう楽しそうに呟くと、ニヤリと口角を吊り上げて、薄笑いを漏らすのだった。