シン。気付くーー
シン視点
「いやー。それにしても、ナイスアイデアだよ、アイリス。たしかに、これなら2人共暖かいね」
坑道の奥へと向かって歩きながら、俺は背中におぶさっているアイリスに声をかける。
俺は今、アイリスを背中におぶって、さらにその上からコートをマントのように羽織っている状態だ。
少し前に、この肌寒い坑道で、どちらがこのコートを着るかと半ば揉めていた俺達だったが、アイリスの「わたしと一緒に羽織りませんか?」という提案に従って、今のこの状態に落ち着いたという訳だ。
(うん。これなら、コートの中に入っているアイリスは寒くないだろうし、俺はまあ…………コートが届いてない前面は寒いけど、背中や肩や腕は暖かいし、充分だな)
と、俺がそんな事を考えているとーー
ーーギュ~ッ!
突然、背中におぶさっているアイリスが、抱き付く力を強くしてきた。
「? どうかした、アイリス?」
「…………いーえ。何でもありません…………むー」
「?」
不思議に思った俺は、後ろを振り替えって尋ねてみるも、アイリスからは何故だか、拗ねたような声が返ってきた。
(? なんで拗ねてるんだろう?)
疑問を感じた俺は、アイリスの顔をマジマジと見つめながら、考えてみる。
(……………………あれ? なんだか、アイリスの顔が赤いような…………)
坑道の中が薄暗いから今まで気付かなかったけど、よく見れば、アイリスの顔は真っ赤になっている。
(…………それに、背中に感じるアイリスの体温が、コートを羽織る前の時と比べて、なんだか熱いような…………)
このコートには、『火』と『水』の魔法が込められていて、着用者の体温を適切な温度に保ってくれるはずだ。
それなのに熱いという事は、俄には信じがたいが、このコートの効果では補えない程の熱が、アイリスから発せられている事になる。
(真っ赤な顔と、熱い体温…………ふむ、つまり…………)
俺は思い付いた事を、アイリスに尋ねてみる。
「ねえ、アイリス。もしかして、照れてるの?」
「ーーふえっ!?」
ーーカアアアッ!
どうやら、図星だったようだ。
俺の言葉を受けたアイリスは、この薄暗い坑道の中でも1目で分かる程に顔を真っ赤に染めるとーー
「~~ッ!」
真っ赤になった顔を隠したかったのだろう。
アイリスは、俺の左肩に顔を押し付けると、声にならない声を上げ始めた。
(しまった…………わざわざ指摘したのは、イジワルだったかな?)
恥ずかしさのあまり、俺の背中で悶えているアイリスを見ていると、そんな反省の言葉が浮かんでくる。
だけどーー
(ははっ。こんなに照れちゃって。ホント、かわいいなぁー、アイリスは)
そんな風に、アイリスの事を愛おしく思う感情も同時に湧いてきて。
ーーナデナデ
悪いと思いつつも、俺はいつものクセでつい、アイリスの頭を撫でてしまいーー
「~~ッ!」
ただでさえ恥ずかしがっているアイリスに、更なる追い討ちをかけてしまうのだったーー




