表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

スレイプニル

作者:

 Chet Baker Quartet ‎– No Problem (1980)


 を聴きながら



 **



 『スレイプニル』



 スレイプニルは、8本の脚を自在につかって、空を駆け上がるのだわ。それはどんなにか美しい姿でしょう。脚を絡ませるように飛ぶ。空想も想像も、そこには手が届くの 理想も現実もそこには きっと空白があるの 人の想像性には きっと先が常にあるから



 とまどいをワラエ 愉快にころげよ そこに空白があるから そんな風に思えばノートルダム・ド・パリ の長い書き出しを思うわ 前半部分は雑多な人々の狂気のようなふるまいと嗤いに満ちているから 狂気のなかに普段の日常が隠れているのならば 恋は非日常なのかしら


 乱雑な声のなかに誠実があるのかしら そんなこと起きるわけないのに 


 ――きっと、誠実は、物静かな横顔からしか生まれないから 


 それは、一凛の花のように静かに静謐さの中にそっと息づくような殺されやすいものなの 狂気のような日常にいつもいつまでも死滅させられていく美


 狂気の中に眠るほんとう は、きっと、誰もが気づけないふりをしているの

 苦しみは足を掴んで引きずり込むものだわ ずっとずっと底の思惑の届かないところにまで


 ――だから、世界の均衡はそこにはないの


 時を刻まないで 時には止めてしまいたい


 いそぎすぎるから


 はやすぎるのよ


 世界はいつもなにかを置いて行って忘れさせてしまうの


 スレイプニルに乗って宙を駆け上がりたいの


 夢の奥に沈み込む前に


 ――そこに沈み込みたいから

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ