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00. 神を宿した皇子

 皇族には、体内に(いぶつ)を宿した子が生まれることがある。


 百年、二百年も間を空けることはないが、当たり前のように存在するわけでもない。皇も住まう都の民に知らされることもなく、全ての情報は宮殿の奥深くで完結しているためにその事実を知る者の数は限られていた。元より、宿したモノの持つ強すぎる力にあてられて、精神、ないしは肉体の方が耐え切れずに夭逝しがちであるために、外部の者に気付かれることなどまず有り得ないことであった。違和感を覚える前に、死んでしまうのだから。無論のこと、皇族が何の手立ても講じなかったはずはない。この「神」を取り除くことは出来ずとも、鎮める方法をとうの昔に見つけていた。


 それが神語(かんかたり)。神に語り掛ける者、神の語りをうたう者として、都から遠く離れた草原に暮らす、特殊な職業の人間であった。素養のある者はその声ひとつで神を鎮めると、古の伝承は語り部をさえ謳いあげる。既に廃れて久しい存在で、外来文化を我先にと取り入れたがる都の民が蔑むどころか忘却してしまったその神語は、けれど未だ、細々とその命脈を保っていた。



 時の皇は、名君と謳われた枉涯(おうがい)が一子、漸閤(ぜんごう)。彼と故人となった王妃との間に生まれた唯一の男児は、祝福されたその身に(けもの)を宿して生を受けた。

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