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第三話 家探し

 何度目かの挑戦で、窓はようやく割れた。

 できれば一発でかっこ良く決めたかったが、まあ流石に場所が悪すぎたか。

「さて、人はいないんかな」

 何度か窓を叩いてうるさくしてしていたのに、人が来る気配はなかった。とすると、いないって見ていいかもしれない。

 一応、身体をむりやりかたむけて中を覗いてみる。うーん、よく見えない。

 ソファがあるあたり、リビングかな。あと青いカーペット。幸い、ゾンビの姿は見当たらなからそこは安心できる。

 他の部屋に居るかもしれないけどね。まあ、リビング(仮定)にいなきゃ良し。

「うし、それじゃあ……」

 とりあえず、窓ガラスに残った破片をチクチクと片付けていきますかね。このまま中に入ると血まみれになりかねない。剣山もかくやって感じだしな。





 たっぷりと時間をかけて、窓ガラスは綺麗きれいに片付けた。

 まず、リビングにリュックと鉄パイプを順々に放り込み、少しだけ待つ。角野順かどのじゅんだけに順々《じゅんじゅん》。ないな。

 やっぱり、誰もいないようだ。ゾンビにせよ人間にせよ、ここまで無反応なんだから、安心していいだろう。

 狭い中を苦労して身体を沈め、まず足を窓枠に引っ掛ける。そこを起点に身体を傾けながら中へと移動していく。

 けっこうキツイが、急ぐことはないと安心して中に入ることができた。

 荷物を拾い、室内を見渡すけど雨戸あまどががっちり閉められてて薄暗い。開ければ明るくなるだろうけど、その場合はゾンビも一緒にご案内してしまうので無し。

 俺が入ってきた窓から光が多少は入るので見えなくはないのが、幸いだ。

 一応、天井からぶら下がっている蛍光灯のヒモを引っ張ってみる。

 カチカチと何度か引っ張っると、明りが灯った。

 まだ電気は使えるみたいだ。

 仮にこの町を閉鎖するなら、無駄に国内の電力を浪費するだけな気もするし、あの話は嘘って可能性があるな。

 まあ、勝手に判断するには早いか。とりあえずこの家の探索がしやすくなってよかったってだけにとどめとこう。

 さて、部屋には何があるかなっと。

 この部屋はどうやらダイニングキッチンだったようだ。そこそこ広く、ソファ以外にもなんだっけ、酒とかを入れておく背の低い棚に、観賞用の植物と大きめのテーブル。椅子が四脚あるので、四人家族か。

 壁際には薄型のテレビに最新のレコーダーやらゲーム機とかに加えて、DVDのラックなどがある。

 背の低い棚にある酒は、種類がわかんないけどボトルがカッコイイと言うのだけ分かった。まあ、消毒とかにも使えるし一本だけ貰っておこう。使い方はよくわからんけど。

 手頃な大きさで、そこそこ入っているヤツを貰っておく。あとでガーゼとかも探しておこう。

 リビングはこんなもんか。

 次はメインの台所だ。






 電気はきてるので冷蔵庫は生きてたが、食料は何もなかった。そりゃそうか。

 ソレ以外にないかなと、俺は台所を見渡した。

 オーソドックスなガス型のコンロには、空の鍋が一つだけ置いてある。中身はなし。乾いた麺がこびりついているので、インスタントラーメンでもつくったんだろう。

 流しには洗っていない食器が幾つか、水につけてある。

 蛇口をひねると、ちゃんと水が出た。つけてあるコップを軽く洗い、一口、二口と飲み干す。

 ホッと、息をついた。

 ついでに顔とか手なんかも洗ったりして。あー、風呂にも入りたいなぁ。つっても、流石にそんな余裕はないな。素っ裸で逃げ場のない場所に居るとか、万が一があればソレで終わりだ。

 流しの下にある収納は調理器具と、ついでに包丁ケースのようだ。

「んっ?」

 五本並べておける包丁ケースには一箇所、不自然な空きがあった。サイズ的には小さめ、果物ナイフくらいだな。できれば欲しかったけど。

 あとのは持ち運ぶにはちょっと不便なので、諦めておく。さやみたいなのがあれば、便利なんだけどな。

 近くの棚や収納も見ておくが、コレといって役に立ちそうなのはない。

「あとは二階か?」

 さっさと台所をでると、すぐ左手ドアが二つ見えた。右側に続く廊下は玄関に向かって伸びていて、上へと向かう手すりともう一つのドア。あとファックス機能つきの電話が一台。

 手すりは階段だろうな。左手のドアは、開けてみたところ脱衣所だった。洗濯機と乾燥機に洗面台がある。奥のガラス戸は、当然ながら風呂だ。

 誰もいないな。窓は換気のためか開け放たれているけど、小さすぎて出入りはできないだろう。

 一応、隣にあるトイレのドアを開けてみたけど案の定、誰もいない。

「んっ、んんっ?」

 最後にと思い、玄関近くのドアを開けようとしたが、不思議なことに開かない。

 鍵がかかっていると言うよりも、何かが引っかかってびくともしない感じだ。ただ、多少は動くからおもいっきり押せば、開くかもしれない。

「ふむん?」

 念のためノックし、誰かいないか呼びかけてみる。返事はない。耳をドアに当てて集中するけど、音は外のゾンビ共から聞こえる声だけだ。

 さて、どうしようかな。探索はもちろんするけど、ここから見るか後回しか。

 メリット、デメリットを判断する材料はほぼない。ただ――可能性は低いだろうけど――食料品なんかが、この部屋にある可能性は否定しきれない。

 反面、ゾンビでなくとも誰かが隠れていて襲われる可能性もあるわけだ。

「よし、後回しだな」

 でも、なんか出てきても嫌だから鉄パイプを床に置いてつっかえ棒にしておいた。

予約投稿で、よく読まれそうな時間帯を試しています。第四話は28日の12時に投稿します。

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