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第7章 倭国籠城戦

 ――フラグタルの、第陸章(だいろくしょう)からの続きです。――

         《第漆章(だいしちしょう)











        【人歴(じんれき)4351年】






――6月15日――


鴬語花舞(おうごかぶ)の春の季節も終わりの(ころ)――――


(そら)には雲烟縹緲(うんえんひょうびょう)(ゆう)々と、雲が棚引(たなび)いていて――――

――――栄華秀英(えいかしゅうえい)

ありとあらゆる様々色々な、草樹花々、実の(かお)りが、(いく)(せい)々、暗香蓊勃(あんこうおうぼつ)芳醇(ほうじゅん)と、倭国(わこく)の首都、『漢東(かんとう)』の街を包んでいた。


その漢東(かんとう)の街は東西南北の四方(しほう)が、40mもの高さの城壁(じょうへき)で守られており、人口は約20万人の城塞都市である。


その(うち)の、倭国軍(わこくぐん)兵役(へいえき)()いている(もの)は、5万人。

だがしかし、国の危急存亡(ききゅうそんぼう)()かったこの籠城戦(ろうじょうせん)には(さら)に、老若男女(ろうにゃくなんにょ)老若貴賤(ろうにゃくきせん)()わずに、義勇兵、志願兵が沢山(たくさん)(あつ)まり、倭国軍(わこくぐん)の総兵力は、10万人に(のぼ)っていた。


(さき)野戦(やせん)では、(しん)(ひき)いる倭国軍(わこくぐん)遊撃部隊(ゆうげきぶたい)金鵄隊(きんしたい)目覚(めざ)ましい働きぶりにより(おも)に、局地戦で、神聖ガリアニア帝国軍に大打撃を与えていたのであるのだがしかし、大局(たいきょく)()わらず、焼け石に水であった。


当初(とうしょ)は、50万の軍勢を(ゆう)していた帝国軍の先遣部隊(せんけんぶたい)だったのだが、倭国軍(わこくぐん)金鵄隊(きんしたい)らに苦戦を()いてしまい、その(かず)は、30万の軍勢に(まで)()ってしまったものの、そこへ、神聖ガリアニア帝国軍の元帥(げんすい)、『(じん)』と、帝国軍第一師団の陸騎将軍(りくきしょうぐん)、『リクエン』らが指揮を()る帝国軍の本部隊、70万の軍勢が合流をして、帝国軍は雨後(うご)春筍(しゅんじゅん)(ごと)く、総勢(そうぜい)、100万の軍勢にまでに(ふく)れ上がり、倭国(わこく)の首都、漢東(かんとう)の街を包囲していた。


帝国軍は、漢東(かんとう)の街の西方(せいほう)に、50万。

北方(ほっぽう)には、25万。

南方(なんぽう)にも、25万。

そして東方(とうほう)には兵を配置をしていない――――という陣容でもって、漢東(かんとう)の街を三方(さんぼう)から、とり囲んでいた。


それに対して倭国軍(わこくぐん)(サイド)の守りは、東側の城壁は、『敖広(ごうこう)』将軍。

南側の城壁は、『敖欽(ごうきん)』将軍。

西側の城壁は、『敖閏(ごうじゅん)』将軍。

北側の城壁は、『敖順(ごうしゅん)』将軍。

という、倭国軍(わこくぐん)の守護神、鬱塁神荼(うつるいしんと)四天王(してんのう)が各城壁の守備の采配を(まか)されていた。

この、敖広(ごうこう)敖欽(ごうきん)敖閏(ごうじゅん)敖順(ごうしゅん)の四将軍達は、半龍半人の龍人族の兄弟なのである。





――――――倭国軍(わこくぐん)の遊撃部隊、金鵄隊(きんしたい)の隊長、(しん)は、漢東(かんとう)の街の西方(せいほう)の城壁の上にいた。

そして、(しん)(かたわ)らには何時(いつ)もの(よう)に、(しん)の妹の()もいた。


兄貴(あにき)隊長(たいちょう)!!

なーんで帝国軍は、(ひがし)(かわ)(ほう)手薄(てうす)なんだろうねっ⁉ 」



「…………恐らくこれは()()め――孫子(そんし)(いわ)く――


囲師(いし)には(かなら)ずかき、窮寇(きゅうこう)には(せま)るなかれ。』 (軍争篇)


…………つまり――――包囲をした敵には、(わざ)と逃げ道を()けておく――

――だな。

逃げ場を(うしな)った(もの)は、思わぬ反撃をしてくる。

――――『窮鼠(きゅうそ)、猫を()む。』、に、警戒をしての事だな。」


「へーっ! なーる(ほど)。」



すると其処(そこ)へ、倭国(わこく)(おさ)めている女王、火巫女(ヒミコ)の護衛の親衛隊に(つと)めている、(しん)彼女(カノジョ)であり、回復術師(ヒーラー)の、『(れん)』と――――同じく親衛隊で、(れん)の弟であり、(しん)の大親友でもある騎士(ナイト)の、『(まさ)』が、金鵄隊(きんしたい)(しん)(もと)にやって来た。


――「(しん)っ!! 」


(れん)が、声を掛けてきた。


「――――えっ⁉

――(れん)っ!! ――(まさ)っ!!


――――――どうして此処(ここ)にっ⁉ 」



――――「……実は私達――――私と(まさ)は、火巫女(ヒミコ)(さま)哀訴嘆願(あいそたんがん)慧可断臂(えかだんぴ)をして、どうしても、(しん)と――――(しん)(たち)と一緒に戦ってこの国を守りたいと………………


…………それで(しん)の――金鵄隊(きんしたい)の配属になったのよ! 私達。」


「――――っつー(わけ)でヨロシクなっ!! (しん)!!!! 」


そう言うと、(まさ)(こぶし)(しん)に向かって突き出したので、(しん)(まさ)(たち)は、(こぶし)(こぶし)を突き合わせた。


「イエーイッ!!! (しん)!!

俺達!! 王道パーティーの再結成だなっ!!!! 」


「そうだなっ!! (まさ)!! (れん)!!

それに、()!!

これで俺達は水を()た魚、為虎添翼(いこてんよく)為虎傅翼(いこふよく)――――虎に(つばさ)()えた(よう)なものだなっ!!!! 」


「そうだねーっ!! 兄貴(あにき)隊長(たいちょう)!!

これで私達は鬼に金棒(かなぼう)だねーっ!!!! 」



そして(しん)は、金鵄隊(きんしたい)(みんな)に向かって鼓舞(こぶ)した。


孫子(そんし)(いわ)く――


上下(じょうげ)(よく)(おな)じくする(もの)()つ。』 (謀攻篇)


――――(みんな)っ!! 今こそ俺達は、一致団結(いっちだんけつ)!! 意志堅固(いしけんご)!! (かた)い結束力を(あらた)めて(もっ)てすれば、いかに帝国軍が何十万(なんじゅうまん)何百万(なんびゃくまん)の軍勢で()ようと相手は足並みの(そろ)っていない多国籍から()所詮(しょせん)(ただ)の寄せ集めの奴等(やつら)だっ!!!!

(まった)(ひる)む事も、(まった)く恐るるにも()らんぞーっ!!!!!! 」


――――「っおおおおおぉぉぉぉぉーっ!!!!!!!!!! 」――――






――6月25日――


(いくさ)の状況はというと――――――小競(こぜ)り合いも(まった)何事(なにごと)も無く、平穏(へいおん)に10日間が()ぎた。


帝国軍は、漢東(かんとう)の街を包囲したまま、全然(ぜんぜん)依然(いぜん)俄然(がぜん)、動く気配(けはい)を見せないでいた。


そして今、(しん)(たち)金鵄隊(きんしたい)は、漢東(かんとう)の街の東側の城壁の上にいた。


「………………やっぱり、今日も東側には帝国軍の姿は見えないわね。(しん)。」


(れん)は、望遠鏡で(あた)りを(なが)めながら言った。

そして(まさ)は、退屈そうに――――


――――「あ~あ。(なん)だかとっても、拍子抜(ひょうしぬ)けな感じなんだよな~。

――なんっつーか。戦いにも『リズム』っつーのが必要なんだよなー。(しん)? 」


「ああ。

まあ。恐らくは帝国軍は、特に、散々苦しめられた、我等(われら)金鵄隊(きんしたい)をかなり警戒している様子(ようす)みたいだな。


…………それか、ゆっくりと我等(われら)兵糧攻(ひょうろうぜ)めにしているのか?

それとも、総督の孔達(こうたつ)や、聖帝エピデスクロス三世の総本軍の到着を待っているのか? 」



――「――兄貴(あにき)隊長(たいちょう)っ!! 伝令君(でんれいくん)が来たよ!!!! 」


「おいおい。()伝令君(でんれいくん)って! 」


(しん)(もと)伝令(でんれい)が情報を持ってやって来た。


「申し上げます!!


帝国軍は、南方(なんぽう)の海域を利用して兵糧(ひょうろう)を運んでいる(よし)にございます!!

南方(なんぽう)の海岸地帯に帝国軍の兵糧庫(ひょうろうこ)確認致(かくにんいた)しました!!


――(なお)兵糧(ひょうろう)輸送(ゆそう)を指揮しているのは、帝国軍第二師団、ガリアニア帝国海軍、海騎将軍(かいきしょうぐん)、『カイエン』でございます!!

総勢、10万の水軍を(ひき)いている模様(もよう)でございます!!!! 」


「承知した!! 大義!! 」



(まさ)武者震(むしゃぶる)いをして言った。


「おーしっ!! 早速(さっそく)、その兵糧庫(ひょうろうこ)を標的に、(ひょう)々と、サクッと、グサッと、襲撃をすれば帝国軍に大ダメージを与えられるなっ!!!! 」


(れん)は、(まさ)(たしな)める(よう)に――――


(まさ)。いくらなんでも無茶を言わないでよ。

帝国の海軍は10万もいるのよ。

そこへたったの300人で攻め込むなんて――――無謀よ。


…………それに――――私達、金鵄隊(きんしたい)(おび)き出す罠かも知れないのよ。」



(しん)(なに)か、妙案(みょうあん)が浮かんだ様子(ようす)で言った。


「うん。確かに。もしかしたらこれは(れん)の言う通り、我等(われら)()り出す(エサ)なのかも知れないな。


――――――しかし()のまま(ただ)、手をこ(まね)いていて戦況が(なに)も好転をしないよりも、此処(ここ)は一発、大きな()けに出て、(まさ)が言う(よう)に、帝国軍の兵糧庫(ひょうろうこ)を襲い――――――そして、此方(こちら)が帝国軍の罠に乗って、掛かったと見せかけてそれを利用して、逆に――――我等(われら)が帝国軍を罠に引っ掛け(よう)じゃないか!!!!


――孫子(そんし)(いわ)く――


()(たたか)(もの)は、(ひと)(いた)して(ひと)(いた)されず。』 (虚実篇)


――少数精鋭の我等(われら)なら出来るっ!! 」


「っ流石(さっすが)ーっ!! 兄貴(あにき)隊長(たいちょう)!!!!

………………っんでっ! どんな作戦なの⁉ 」


(しん)は、(れん)(まさ)()(たち)に、作戦の内容を打ち明けた。


そして(れん)は、慎重な面持(おもも)ちで言った。


一理(いちり)あるわね。

(しん)の言う通り、少数精鋭だからこそ、相手に感付(かんづ)かれにくく、作戦を遂行(すいこう)出来(でき)るかも知れないわね。


………………でも、この作戦。かなりリスクがあるわね。

失敗をすると、とんでもない事になるわよ。」


「おしっ!! おもしれーじゃんか!! (しん)!!

なかなかじゃん!! 俺は(だい)(だい)大賛成(だいさんせい)だぜっ!! この作戦!!

――――ゾクゾクウズウズ(うず)いて腕が鳴るぜっ!!!! 」


兄貴(あにき)隊長(たいちょう)!! 私もこれに賛成っ!!! 」



――――「(あと)(れん)

この作戦に賛同をしてくれるか? 」


(ねえ)さん!! (しん)の作戦で行こうぜっ!! 」



「――――――うん。いいわ。

現状を打破するには思い切ってやるしかなさそうね。」


「わーい!! (れん)さん。(まさ)さん。兄貴(あにき)隊長(たいちょう)!!

気合いを入れて頑張ろーねっ!!!! 」



――――「ありがとう!! (みんな)!!!!

――それじゃあ、善は急げだっ!!

()ずはこの作戦を(ほか)の将軍達、あとそれに、火巫女様(ヒミコさま)進言(しんげん)をしないと!! 」


早速(さっそく)(しん)と仲間達3人は、漢東(かんとう)の城壁を守っている、敖広(ごうこう)敖欽(ごうきん)敖閏(ごうじゅん)敖順(ごうしゅん)の四将軍と、騎馬兵部隊を(ひき)いているケンタウルス族のケイロン将軍、そして女王(じょおう)火巫女(ヒミコ)に、(しん)が立案をした作戦を報告提案して、そしてその作戦が採用をされる事となった。






――7月10日――


季節は(うつ)り変わり、初夏(しょか)――――梅雨時(つゆどき)である。

(しん)()った作戦を実行するのには、半月程(はんつきほど)の準備期間が必要だった。

(さいわ)いな事に、その(かん)も、漢東(かんとう)の街を三方(さんぼう)から包囲している帝国軍にはまだ(なに)も動きはなかった。


――――(とき)は、艸木(くさき)も眠る丑三(うしみ)(どき)の真夜中。

月は雲に隠れ、真っ暗な闇夜(やみよ)である。


(しん)(たち)金鵄隊(きんしたい)300名は、漢東(かんとう)の街の東門より出撃をした。

目指すは、南方(なんぽう)の海岸地帯にある帝国軍の兵糧庫(ひょうろうこ)である。

金鵄隊(きんしたい)夜陰(やいん)(まぎ)れ、鉄黒色(てつぐろいろ)の暗闇の(なか)に吸い込まれる(よう)にして姿を消した。




――――(およ)一時間程(いちじかんほど)行軍(こうぐん)をした所、金鵄隊(きんしたい)は、帝国軍の兵糧庫(ひょうろうこ)がある海岸に隣接する断崖絶壁(だんがいぜっぺき)の上に到着をした。


崖の上から(のぞ)んで見てとると帝国の10万の海軍は、兵糧庫(ひょうろうこ)がある海岸地帯の陣や、海上にも沢山(たくさん)船舶(せんぱく)松明(たいまつ)(いさ)()でびっしりと埋め尽くされていた。



兄貴(あにき)隊長(たいちょう)。やっぱり帝国軍の水軍はかなりの(かず)がいるね。」


「そうだな。

だがしかし、帝国の水軍の(ほとん)どは洋上にいる(よう)だな。

(ほか)には目もくれずに()(かく)兵糧庫(ひょうろうこ)のみをターゲットに(しぼ)り込んで攻め込み、一点突破、一撃離脱の奇襲作戦でゆけば、(いく)ら敵は大軍であろうと俺達のスピードには付いてはこれないだろう。」


(れん)(うなず)いて言った。


「そうね。(しん)

相手は大軍だからこそ、私達の動きには付いてこれないわよね。」


(まさ)鬱憤(うっぷん)を晴らそうと意気込(いきご)んでいた。


「よし。これでやっと、(しん)から(いただ)いた銘槍(めいそう)、グングニルの槍の出番がくるぜ。

一年前の(いくさ)の借りを思いっ切り返させてもらおうか。

――これで帝国兵どもを血祭りにあげてやる。

俺様主催。ブラッドカーニバルの開催だぜ。」



そして金鵄隊(きんしたい)は態勢を万全(ばんぜん)に整えてから(しん)は言った。


「では、()。頼む。

一発、稲妻の魔法を崖にお見舞いして帝国軍を()っちゃってくれ。」


「了解!! 兄貴(あにき)隊長(たいちょう)!!


――――ほいっ!!! 『稲妻(ライトニングボルト)!!!! 』 」


()は魔法で稲妻を崖の斜面に落とすと、崖は大きく崩れて、下にいた帝国軍の兵士らを巨大な岩が押し潰した。

するとそれを皮切りに、金鵄隊(きんしたい)の奇襲戦の火蓋(ひぶた)が切って落とされた。

(しん)金鵄隊(きんしたい)(みんな)に号令をかけた。


(みな)(もの)!! 目標は、数百すうひゃくメートル先にある帝国軍の兵糧庫(ひょうろうこ)を焼き討ちするだけだっ!!

(すみ)やかに任務が完了し次第(しだい)()ぐに撤退をするぞっ!!

――あと肝心(かんじん)な事は敵の伝令(でんれい)を発見したら討ち漏らすなよっ!!


――――行くぞっ!! 突貫(とっかん)だーっ!!!!!! 」


――――「うおおおおおぉぉぉぉぉぉーっ!!!!!!!!!! 」――――


(しん)は愛馬、スレイプニルの馬上で銘刀(めいとう)虎鉄號(こてつごう)を片手に持ち、そして、(れん)(まさ)()らも騎馬に乗り、金鵄隊(きんしたい)の300名は一斉に、崩れた崖の斜面を飛び降りて帝国軍の兵糧庫ひょうろうこを目指して浜辺はまべをひた走った。


――「今宵こよい虎鉄號こてつごうえるぜっ!! 」――


しん虎鉄號こてつごうを振るい、獅子奮迅ししふんじんに敵の雑兵ぞうひょうどもを切り進み、愛馬スレイプニルもその大きな8本のあしひづめもって敵兵を踏み潰して突進し、まさも一騎当千の働きで、グングニルの槍を振りかぶり、突いて敵兵を蹴散らし、れんは連射式のボウガン、連弩れんどにて、敵兵を次々と射抜いぬき、はミスりル製の杖を鬼神のごとく振り回しながら強烈な攻撃魔法を魔神のごとく繰り出していた。

金鵄隊きんしたい者達ものたちも、おの々、得意な得物えものを使い奮闘し、補助魔法使いの者達ものたちは、補助魔法でもってして味方の攻撃力や防御力をアップさせて援護をしながら、ジャマーの魔法でもって敵兵の能力を下げ、傷付いた仲間は回復術師達がその傷を癒し、百戦錬磨の金鵄隊きんしたいのメンバーは、それぞれの役目を充分に発揮して兵糧庫ひょうろうこへとまっしぐらに突き進んだ。



――――そして、難無なんなく帝国軍の兵糧庫ひょうろうこへと辿たどり着くと、すると其処そこには帝国軍の将軍が待ち構えていた。


われは神聖ガリアニア帝国軍第二師団長! 帝国海軍ていこくかいぐん海騎将軍かいきしょうぐん!!! カイエンと申す!!!!

倭国わこく金鵄隊きんしたいとお見受けした!!

金鵄隊きんしたいひきいているしんもの何処いずこにいるぞやっ!!!! 」


しんは乱戦から抜け出して、名乗りをあげたカイエン将軍の前に出ると、スレイプニルから降りた。


「俺が倭国軍わこくぐん金鵄隊きんしたいしんだ!!

――お前が此処ここのボスかっ!! 」


「無論!!!! 」



「――――り合うかっ!!!! 」



――――「うむっ!! いざっ!!!! 」


「――おうっ!!!! 」


しん虎鉄號こてつごうを構えた。

カイエン将軍は徒手空拳としゅくうけんであった。



――――『水弾ウォーターバレット!!!! 』――――


カイエン将軍は魔法で、水の弾丸を無数に放ってきた。


「――うっ!! くそっ!!!! 」――


しん虎鉄號こてつごういくつかの水の弾丸を斬り捨てたものの、斬り損じた水の弾丸はまるで、なまりように重たく、しんの身体を打ち付けた。

しかも、斬り捨てた水の弾丸までもが、薄いとなって、しんを切りきざんだ。


――――「いっ!!!! いってーっ!!!!!!!! 」


しんのその叫び声を聴いたまさ様加勢さまかせいに駆け付けて来て、一閃いっせん――――――背後はいごからカイエン将軍の背中を槍で突いた。

まさのグングニルの槍は、カイエン将軍の背中から胸を貫通していた。


――――だがしかし、カイエン将軍は何事なにごとも無いような平気な表情を浮かべていて、つらぬかれている背中と胸からは血も出ていなかった。

しんかさず居合いあいで、カイエン将軍の首もとを斬り抜いた――――



――――――しん虎鉄號こてつごうは、確かにカイエン将軍の首を跳ねたはずである。

だがしかし、まるで斬った手応てごたえが無く、カイエン将軍の首には傷も無かった。


しんぐにさとった。


「………………ほど、クウエン将軍の『風』、の次は『水』、か。」



「――無論。われの身体は、幾様いくようにも形が変様へんようする水である。」


――「うっ⁉ うわーっ!! ものだーっ!!!! 」


まさは驚き、グングニルの槍を抜いてカイエン将軍から離れた。


「――しんっ!! 彼奴あいつ、ヤベーよ!!!! 」


しんは冷静に言った。


まさ。大丈夫。

前に、ああゆう奴と戦った事があるんだ。

作戦がある。 」


「――そ、そうか! 頼んだぞ!! しんっ!!!! 」



――――「まさ。――その前に――――奴を引き付けておいてくれ。お願いだ。」


「――OK。しん。この俺に任せろや。」


無二むにの信頼を置いているしんに任されて、まさ途端とたん果敢かかんになり、カイエン将軍に立ち向かっていった。

カイエン将軍の、水弾ウォーターバレットの魔法を喰らいながらも、歯を食いしばって、槍でぎ払い、突いても無駄だとわかっているが、まさは必死に傷だらけになり、痛みに耐えながら、カイエン将軍の液体の身体に攻撃をしていた。


――――そしてしんは用意が整うと、すきを突いて、まさに当たらないように、カイエン将軍に向かって呪文をとなえた。


――『氷嵐ブリザードッ!!!!!! 』――


まさの、相手の注意を引く勇敢な行動のおかげで、しんが放った氷嵐ブリザードの魔法は見事に、カイエン将軍に命中をした。


カイエン将軍の液体の身体は、こおり付いて固体へと変化をした所、まさを置かずにグングニルの槍で、カイエン将軍の身体を突き崩し、粉々にした。



――――「やったぜ!! おいっ!! しん!!!! 」――


「――だな!!! 」



………………と、二人が喜んでいると、バラバラになった氷の破片はへんが少しずつ溶けて、また液体になってゆくにつれて、カイエン将軍の身体が徐々に再生をしていった。


「うわっ!! ヤベーッ!! しんっ!!! こいつ、ほんとヤベーよっ!!!! 」


「――くっ!! 奴は不死身かっ⁉ 」



――――するとそこへ、の声が聞こえた。


――『鬼火デーモンファイヤー!!!!!!!! 』――


の強烈、熱烈な火の魔法は、カイエン将軍の砕け散った身体に当たり、その高温の熱によってカイエン将軍は、蒸発をして消滅してしまった。



――――「えっ⁉ ――――――っ!!!! な、nice attack!!!!!! 」


「――ちゃん!!! スゴイッ!!!! っちゃったよ!! 」



――「イエーイッ!!!! 敵将ーっ!! 討ち取ったりーっ!!!!!! 」



――――「ウオオオオオォォォォォーッ!!!!!!!!!! 」――――



カイエン将軍を消し去ったの火の魔法の圧倒的火力の炎は、兵糧ひょうろう備蓄びちくされている倉庫にも燃え移り、兵糧庫ひょうろうこの陣は、あっという大火たいかに包まれた。



ちゃん!! イイネッ!!!! 一石二鳥いっせきにちょうじゃんっ!!!! 」


「エヘヘッ!! まささん! どういたしまして!!!! 」



そこに、れんも駆け付けて来た。


「やったわね!! みんな!! さあ、早く撤退をしましょう!! 」


――「うん!! そうだなっ!!!! 」


しん早速さっそく金鵄隊きんしたいに退却命令を出した。


みなもの!!!! 目的は達成した!!!!!!

すみやかに撤退するぞーっ!!!!!! 」


――――「おおおおおぉぉぉぉぉーっ!! 」――――


しんたち金鵄隊きんしたいは即座に、もと来た浜辺はまべを引き返した。




あいずをきめて、東は敖広(ごうこう)、南は敖欽(ごうきん)、西は敖閏(ごうじゅん)、北は敖順(ごうしゅん)、ケイロン将軍は騎馬兵部隊5千騎

東側の城壁を守る敖広(ごうこう)将軍



★筆者からのお知らせ★

話の途中で突然ですが、第8章へ続きます。

 ――第捌章(だいはっしょう)へ続く――

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