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第4章 エルフのルフ

 ――フラグタルの、第參章(だいさんしょう)からの続きです。――

         《第肆章(だいよんしょう)





        【人歴(じんれき)4350年】



――7月27日――


……(しん)は目覚めた。


倭国(わこく)朝国(ちょうこく)とそして、神聖ガリアニア帝国との激戦から三日の日にちが過ぎていた。



…………(しん)は何故だか生きていた。


――三日前の深夜、あの時確かに(しん)は、朝国の軍師、諸馬(しょば)孔達(こうたつ)に、剣で胸を貫かれたはずである。

なのに、まるで何事も無かったかのように、(しん)は、ピンピンとして平気に生きていた。


――(……あれ⁉ 俺は、一巻の終わりじゃあ無かったのか……? )――


(しん)は上着を脱いで、自分の身体をじっくりと確かめてみた。

そういえば、(しん)の身体中には、いつの頃からか、昔っから謎の生傷が複数箇所、付いているのであった。

――そして(しん)は改めて、まじまじと自分の胸の部分を調べてみると、気のせいだか、なんだかやはり、新しい傷痕が一つ、増えているような感じがした。


…………とりあえず疑問はさて置いておき、(しん)はまた服を着て、周辺を見渡してみた。


――――白みがかった薄い光りの太陽が、林の(まば)らな樹々の間の地平線の辺りから、顔を覗かしていた。空気も少しだけ涼しい。

今の時刻は、はっきりとはいえないのだが、どうやら朝の様子であった。

地面には白い野の花々が粗方(あらかた)、踏み荒らされていて(しお)れている感じでいて、そして、朝国軍の陣の幕屋(テント)などの類いはもう全く無くて撤収をされていて、それと、幾つかの倭国軍の兵士達の死体が野晒しに散乱していて、蠅が(たか)っており、腐臭がしていた。



――――(そうだ。のんびりと、こうしてはおられない。

故郷の倭国の状況がとても気になる。それに、親友の(まさ)もはたして無事なのだろうか? 渭樹紅雲(いじゅこううん)の気持ちだ。

それとお袋や、妹の『()』や、恋人の『(れん)』達も、きっと俺を心配しているはずだ。急がなくては!! )



「……あ、あれ? だけども、倭国は一体どっちの方角なんだ⁉ 」


「…………ま。只こうしているのもなんなんで、とりあえずは東の方向へと向かうとするか……。」


(しん)は東の空に浮かぶ、暁光(ぎょうこう)を目指してまっしぐらに歩を進めた。




――――そして、数時間の(とき)が経ち、真夏の太陽が天空の真上に差し掛かると、(しん)はとうとう遂に、方向感覚を失ってしまって、一体どっちが東の方角なのか全然わからなくなってしまい、迷い人となってしまった。


が、しかし、それでも(しん)は全く諦める事が無く、たゆまず歩みを止めずに、無闇ではあるものの、前進を、前進を続けた。

疲れては一時休憩をし、そして進み、疲れては一時休憩をし、進み、疲れては一時休憩をし、進み、疲れては一時休憩をし、進み、疲れては一時休憩をし、進み、疲れては一時休憩をし、進み、疲れては一時休憩をし、進み、疲れては一時休憩をし、進み、疲れては一時休憩をし、進み、疲れては一時休憩をし、進み、疲れては一時休憩をし、進み、疲れては一時休憩をし、進み、疲れては一時休憩をし、進み、疲れては一時休憩をし、進み、疲れては一時休憩をし、進み、疲れては一時休憩をし、進み、疲れては一時休憩をし、進み、疲れては一時休憩をし、進み、疲れては一時休憩をし、進み、疲れては一時休憩をし、進み、疲れては一時休憩をし、進み、疲れては一時休憩をし、進み、疲れては一時休憩をし、進み、疲れては一時休憩をし、進み、疲れては一時休憩をし、進み、疲れては一時休憩をし、進み、疲れては一時休憩をし、進み。疲れては一時休憩をし、進み、疲れては一時休憩をし、進み、疲れては一時休憩をし、進み、疲れては一時休憩をし、進み、疲れては一時休憩をし、進み、疲れては一時休憩をし、進み、疲れては一時休憩をし、進み、疲れては一時休憩をし、進み、疲れては一時休憩をし、進み、疲れては一時休憩をし、進み、疲れては一時休憩をし、進み、疲れては一時休憩をし、進み、疲れては一時休憩をし、進み、疲れては一時休憩をし、進み、疲れては一時休憩をし、進み、疲れては一時休憩をし、進み、疲れては一時休憩をし、進み、疲れては一時休憩をしてからの進んでの、嫌になるほどの、ひたすらその繰り返しだった。


(しん)は、幾つものの山岳を越え、幾つものの渓谷を走破し、幾つものの河を渡り、雲烟万里(うんえんばんり)を越えて、とにかくとにかく、『故郷に帰りたい』、という一心でもってして、がむしゃらに歩んでいた。

道中、(しん)は空腹を覚えると、山や野の、木の実や果実等を(ついば)み、そして、どこの誰かの畑に侵入して、畑の野菜や果物を、こっそりと拝借をしたりしながら腹を満たし、山の湧水や清流で(のど)を潤しながら、なんとか命を繋ぎ止めて、石を枕にし、河の水で口を(すす)ぎ、臥薪嘗胆(がしんしょうたん)苦渋(くじゅう)ではないが、雨露霜雪(うろそうせつ)な野宿生活をしながら旅をしていた。




――残暑がまだまだとても厳しい、8月24日の事である。――


もうすぐで夕闇が迫ってくる刻限、放浪の途中、(しん)は、とある谷間(たにあい)で、モンスターの、ゴブリン族の野盗の一団(パーティー)野営地(キャンプ)を発見した。

(しん)は、崖の上からその、ゴブリンの盗賊団の野営地(キャンプ)の様子を窺った。



――――暫くの間、ゴブリンの野営地(キャンプ)のゴブリン達の一挙手一投足を観察した所、観た限りではゴブリン達の数は、全部で8匹であった。(しん)は、少しだけ思案すると、その崖の上で、ゴブリン達が寝静まるのを待った。




――朧月夜(おぼろづきよ)である――


およそ、2~3時間ほどであっただろうか。

8匹のゴブリンの盗賊団達は、焚き火を囲みながらドンチャン騒ぎの酒宴を開いていて、そしてやがて、宴会が終わると、ゴブリン達は解散して、へべれけ状態で酔っ払いながら、それぞれの幕屋(テント)へと入って行った。


ゴブリン達が酔っ払っている今が好機(チャンス)到来である。


――すると(しん)は、(ひそ)かに夜陰に紛れ、崖を降りてゴブリンの野営地(キャンプ)へと近付き、まずは盗賊団の頭領(ボス)と思われる幕屋(テント)の中へと、息を殺しながら、そろりそろりと、抜き足差し足で侵入を果たしたのだがしかし、(しん)は緊張のあまりに抜かってしまい、思わず物音を立ててしまって、ゴブリンの頭領(ボス)は目を覚ましてしまったのであるが、(しん)はゴブリンに声を出されないように、その頭領(ボス)ゴブリンの首を絞めて、取っ組み合いと相成った。

頭領(ボス)ゴブリンはかなり必死になって、(しん)を蹴ったり肘打(ひじう)ちをしたりして抵抗を試みたのだが、(しん)(しん)で物凄く必死に片方の手で、真鍮製の燭台を掴み、それでもってして渾身の(パワー)を込めて、頭領(ボス)ゴブリンの頭部を思いっきり殴打、撲殺をして息の根を止めた。


――取り敢えずは一匹、ゴブリンを始末した。


そして(しん)は、頭領(ボス)ゴブリンの腰に差してある、短剣、『グラディウス』を奪い盗った。


――「……なんだか、俺の方がまるで盗賊みたいだな………………。」


グラディウスを手に入れた(しん)は、何か後ろめたさやら、罪悪感やら、自己嫌悪感とやらをも感じつつも、他のゴブリン達に気付かれないようにまるで暗殺者(アサシン)のごとく、隠密に事をなして、あと残りの7匹のゴブリン達の幕屋(テント)にも一つ一つ侵入をして行き、泥酔しているゴブリン達を一匹ずつ寝首を掻き、始末して片付けていった。


――が、しかし、最後に始末をしたゴブリンの幕屋(テント)には、まだ幼いゴブリンの子供が一匹居たのであった。

その子供のゴブリンは恐怖で、ガタガタと体を震わせていて、そして(しん)を見る眼は涙で潤ませている。


――(……っくっ! 駄目だ。幾らモンスターといえども、流石に子供に手をかけるなどという事は俺には出来ない!!

……しかも恐らくは、俺はこの子供のゴブリンの親を(あや)めてしまったかと思うと、とても居たたまれない気持ちで本当に申し訳なく思う………………。)




−−−−(しん)は、子供のゴブリンに水と食料を持たせて逃がしてやった。

しかし、そのゴブリンの子供は去り際に、キリッと、(しん)の事を睨んで激しい憎悪の表情を見せ消えて行った。


「………………………………。」



8匹のゴブリンの盗賊団を全滅させた(しん)も、幾日分かの食料と、水が入った皮袋を手に入れて、一晩を野営地(キャンプ)で過ごしてから、そしてまた旅立った。





――――それから10日間ほどが過ぎた、9月4日の事である――――


――(しん)は、延々と果てしなく広がる荒涼とした荒野をあてどもなく、さ迷っていた。

周りは360度、どこを向いても地平線まで只ひたすら、ゴツゴツとした岩石や砂だらけで緑などは全く無くて、只々、殺風景な景色(ヴィジュアル)の連続だった。

そして(しん)はここにきてとうとう遂に、食料も水も尽き果ててしまった。


――『悪銭身に付かず。』――


別に(しん)は、盗賊から食料や水などを奪ったのであって、果たしてこの言葉は適切では無いのかも知れないのだが、しかし、やはりなんだか悪い事をして得たような気がする物はどうであれ、すぐになんか、消費して無くなってしまうような感じがするのである。


……周辺を見渡すとやはり、食べられそうになるものは全然無いどころか、水源すらさえも全く見付かりそうにもない。飢え渇き、とてもひもじい気持ちになった(しん)は、とある話を思い出していた。



――かの(いにしえ)の、中之国(なかのくに)の三國志時代の君主、『(そう) 孟徳(もうとく)』の逸話(エピソード)である。


――――とある(いくさ)の行軍での出来事である。

曹操(そうそう)が率いる軍は、途中で水不足となってしまった。そして曹操の軍の兵卒達は(のど)の渇きを訴えて、曹操軍の士気が下がりそうになった。

そこで曹操は一考(いっこう)をして、皆に向かって言った。


「お~い! 者どもっ!! この先に、梅林(ばいりん)があるぞ~っ!!! 」


――すると兵卒達は、その梅林の、酸っぱい梅の実を(おも)い浮かべると、口の中に唾液が出てきて渇きをしのいで、それでもってして曹操は軍の士気を上げたそうな。



(…………そんな馬鹿な。俺は『梅の実』はおろか、『檸檬(レモン)』だらけを(おも)い浮かべても、ちっとも(のど)の渇きは変わらないぞ……………………。)


――「っつーか俺って、只たんに、想像力が無いのかな⁉ 」


「……嗚呼(ああ)、凄く(のど)が渇いて渇いて仕方がない…………。」


「……目眩(めまい)がする…………。

………………もう駄目か…………………………。」


意識が朦朧(もうろう)としてきた(しん)に、とある光景が視界に入ってきた。

この広大な荒野に、ポツンと、一軒の家が建っていたのだ。しかもその家の周り一帯にだけが、何故だか新緑に覆われていて、立派な畑や井戸までもあるではないか。

一瞬、(しん)は、それは蜃気楼かと、眼を疑ったのだけれども、だがそれは現実であった。早速、(しん)はまだ疑いつつ、恐る恐るではあるものの、藁にもすがるおもいで、まずは丁重に、その家の玄関の木製の扉をノックした。


……コンコン。


「す、すいませーん。」


「……………………。」


……応答が無い。

(しん)は再びノックした。


コンコンッ! コンコンッ!!


「あのうー! すいませーんっ!!! 」


「………………………………。」



−−−−するとその家の中から、かなぎり声が聞こえてきた。


――「……はあっ⁉ 一体誰なのよっ!!!!!!! 」

そんな声と共に、その家の扉が勢いよく開いた。


「――っるっさいわね~っ!!!! 」


扉が開かれた(しん)の目の前には、見目麗しい『エルフ族』の女性が姿を現した。





そこは、とある一人のエルフ族の女性が住んでいる民家であった。

するとそのエルフ族の女性はとても機嫌が悪そうに言った。


「なんであなたはこんな所を、ほっつき歩いていたのようっ⁉ 」


(しん)は少々、その剣幕に押され気味に、

「……あや、いや、その…………。なんでと言われても、それには訳がありまして…………。

…………え……と……な、何故、あなたの方こそ、こ、こんな所に住んでいるんです、で、ですか? 」

――「はあっ⁉ 質問をしているのは私の方じゃないっ!! 挨拶も無く、無礼千万、生意気な人間ねっ!!! 」


「……は、はあ。……す、すいません…………。」


−−−−−−そして(しん)は、粗方(あらかた)の事情を説明した。

そのエルフ族の女性は冷ややかな視線を(しん)に向けて、


「…………ったく、あなた……(しん)は、本当に間抜けな人間代表ねっ!! 」

「……え? 俺、間抜け代表ですかっ⁉ 」


「――――だってさーあ、馬鹿みたいな(いくさ)に負けて、馬鹿みたいに殺されかけて、馬鹿みたいに生きていて、馬鹿みたいに方向音痴でいて、馬鹿みたいに盗賊に盗賊をして、馬鹿みたいに私の家にまで来るなんて…………っ本っ当に馬鹿みたいっ!!!

――って言うか、本当に(しん)の馬鹿ねっ!! その名前の通り、(しん)(しん)の馬鹿ねっ!!! 」

「…………馬鹿、馬鹿って、そ、そんなに(けな)さないで……下さい………………。」


そしてエルフ族の女性は更に、刺すような鋭い視線を(しん)に投げて言った。


「――――もしも、私の家にノックもせずに入って来ていたら、あんたをぶっ殺していた所よっ! 」 (ギラリッ!!! )


(……ひっ!! こ、恐いっ!!!! )



――――訊くとそのエルフ族の女性の名前は、『ルフ』といった。


「……これでも、ルフ、という、エルフ族の偉大な名前を受け継いでいるんですからねっ!! 」 (エへンッ!!! )

と、ルフは得意満々、自慢げに言い放った。


ルフの容姿は、しごく典型的なエルフ族の姿である。

耳は細長くとんがっていて、肌は色白で、瞳の色は蒼色(ブルー)で、髪の毛は長くて金色(ブロンド)で――――しかし身長は、エルフ族にしては低くて、160cmくらいである。ルフの見た目は、(しん)よりも若くて、二十歳(はたち)前後に見えるのだがしかし、実の年齢は、数百歳にもなるらしいのだ。


「これでも、私のほうが(しん)よりも、スッゴい先輩なんですからねっ!! そうれっ! 私を敬いなさいっ!! ホラッ!!! そらっ!! 」 (エへンッ!!! )


「……………………………………。」


「…………なによっ!! (しん)っ! ご主人様のこの私に何か文句でもあるのっ⁉ ぶっ殺すわよっ⁉ 」 (エへンッ!!! )

「……い、いえっ! いえっ! 無いです!! 無いです!! ルフ様っ!!! 」 (土下座! )(…………あ~あ!! なんか面倒クセ~ッ! エルフだな〜っ!! ――っもうっ!!! )


「――っはあっ⁉ 何か気のせいだか、なんだか心の声が聞こえたわよっ!!! これでも私は、なん百年も生きているんですからねっ!! いい事⁉ 本当にあなた、わかっているのっ⁉ 」 (ギラリッ!!! )

「――いやっ!!す、すいませんっ!!! ルフ様っ!! 」 (平身低頭! )


「……って、謝る事は、やはり(しん)は、心の中でこの私を(さげす)んだわねっ!! (おとし)めたわねっ!! (かろ)んじたわねっ!! ――しかも私の年齢が数百歳と聞いて、ババアと思ったわねっ!!!

…………じわじわと、なぶり殺すわよっ⁉ 」 (ギラリッ!!! )

「ルフ様っ! ごめんなさいっ!! ごめんなさいっ!! 本っ当にごめんなさいっ!!! ルフ様っ!! 」(っあ~っ!! もうっ! 凄い面倒臭いばかりか、とんだ被害妄想までも持っていて、ややこしい奴だな~っ!! )


「――っんーっ⁉ 」 (ギラリッ!!! )

(ひ、ヒエ〜ッ!!!!! )



…………そして(しん)は、乞うように言った。


「………………あ、あのー。す、すいません……。

ぼ、僕! 今、も、物凄く、(のど)が渇いて渇いて、死にそうなんですっ!!!

……ご、ごめんなさいっ!! 」 (恐縮! )

「……ああ、そうね。そうだったわね。ゴメンナサイね。

――今、飲み物をお出しするわ。少し待っていてね。」


(……な、なんだ。意外と話しのわかる奴なんだな。) (ホッ。)


ルフは(しん)に、三杯のハーブ(ティー)を順番ずつ出した。

一杯目は、手早く(のど)を潤す為に、冷たいお茶を出し、二杯目は少し温かいお茶を出し、そして三杯目は、お茶の味わいをゆっくりと愉しんでもらう為に、熱いお茶を(しん)に出した。

(しん)はお茶を(すす)りながら、かの(いにしえ)の、倭国の戦国時代の武将、石田三成の三杯の茶の逸話(エピソード)を思い出した。


(――なんだ。ルフは意外と気がきくいい奴じゃないか。) (恐悦至極。)


ルフは、茶菓子を出しながら言った。

「……ちなみに、ここの地名は、『ランヴァイル・プルグウィンギル・ゴゲリフウィンドロブル・ランティシオゴゴゴホ』っていうのよ。」 (エへンッ!!! )

「ながっ!! 」(――なっ⁉ 随分と長い地名だな。

……う〜ん。…………やはり、いちいちと、ルフの、『エへンッ!!! 』には正直、ちとウザく感じる…………。)


「--はあっ⁉ (しん)っ!! 何かこの私に文句、不満、いちゃもん、訴え、反論、言いがかり、罵倒、罵詈悪口(めりあっく)悪口雑言(あっこうぞうごん)罵詈雑言(ばりぞうごん)でもあるのっ⁉ ――――ぶっ殺すわよっ!!! 」 (ギラリッ!!! )

「――い、いえいえ!! ありませんっ! 滅相もありませんよっ!! ルフ様っ!!!

…………し、し、しかし、先ほども言いましたが、ルフ様は何故、このような場所でお一人様で住んでおられるのですかっ⁉ 」


ルフはなんだかドギマギ、慌てて叫んだ。

――「あーっ!!!!!!!!!! (しん)っ!!! それを言うなぁ-っ!!!!!!!!!!!! 」

「な、何故です⁉ 何故ですっ⁉ 何故こんな所に女性が一人で住んでいるんですかっ⁉︎ ルフ様っ!!! 」


――「あーっ!!!!! あーっ!!!!!!!! あああぁぁぁぁぁ〜っ!!!!!!!!!!!!!! それは聞かないでぇーっ!!!!!!!! 」


なんだか(しん)は、ルフを、いじるのが楽しくなってきた。

いや、快感すらさえも感じてきた。


「どうしてなんで、どういった意味で何故、ルフ様はこのような場所でたった一人で住んでおられるのですか? ねえねえ、どうして? どうしてっ⁉

何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか? 何故ですか?何故ですか? 何故ですか? 」

――――「わーっ! わーっ!! わーっ!!! 」


「何故ですか? 何故ですか? 何故ですか?……………………。」

――――「ギャーッ!! ギャーッ!!!! ギャーッ!!!!!!!! だからやめてーっ!!!! それだけはお願いだから聞かないでよぅ〜っ!!!!!! 」


「………………何故こんな所で一人で住んでいるんですか? ルフ様っ!! 」

――(−−−−ッキーッ!!!! )――――「ブ、チ、コ、ロ、ス、ゾッ!! コノヤロ〜ッ!!!!!!!! 」 (ッズゥーンッ!!!! )


「――っひ、っぃひいぃぃぃーっ!! す、すいませんでしたーっ!!!! ルフ様ぁーっ!!!! 調子に乗ってしまい、本当にスイマセンッ!!!!! 」 (恐怖! 戦慄! 戦々恐々!! 平身低頭!! 土下座!! 土下座っ!!!! )




――――馬鹿についつい、馬鹿馬鹿しくも付き合ってしまった、と、思ったルフは一旦、冷静になり言った。


「…………もう、わかったわよ。(しん)。私はあなたと違って大人(オトナ)なのよ。」

「……………………………………。」


「――いいわ。ちゃんとお食事の用意をしてあげるから食べながら黙って、私がここで一人で暮らしている理由(ワケ)を聞いてくれるのなら、少しだけ、話してあげてもいいわよ…………。……いい? 」


(しん)は、コクリ、と(うなず)いた。




――――(しん)は、冷たくも暖かい、ルフの手料理の歓待を受けた。――――


そしてルフはなんだか、ソワソワ、モジモジとしながら重たい口を開いた。


――――――「わ………………私……。

――追放を――――されたのよ…………。エルフ族を……………………。」

「……つ、追放………………⁉ 」 (モグモグ。)


「…………………………。」

「……な、なんで…………? 」 (モグモグ。)


「…………その…………………………。」

「……………………。」 (モグモグ。モグモグ。モグモグ。)


「…………人間に……………………。」

「……人間に……? 」 (モグモグ。モグモグ。)


「――――人間に−−恋をしたから――――」

「……えっ⁉

…………別に…………別にいいじゃん。それくらい。」 (モグモグ。)


「…………いいえ。

……そのぅ…………………………。」

「……その……? 」 (モグモグ。)


「実は…………。そのぅ……………………。」

「実は……? 」 (モグモグ。)


「――お、女子(おなご)っ!! 人間の女子(おなご)と恋に落ちたからっ!!!! 追放をっ!! エルフ族の恥とされて追放をされたのよぉ~っ!!!!!!!! 」 (赤面! )

「えっ!! っええぇぇぇ~っ⁉ 」 (ブ~ッ!!!! )


思わず吹き出してしまった(しん)に、ルフは続けて言った。


――――「……ま、まあ、誰にだって生きていれば紆余委蛇(うよいたい)の一つや二つくらいはあろう……。

…………しかし、それにしても戦場で、お漏らしをしたような馬鹿な人間に、四方(よも)やこの話をする事になろうとは、このルフ、末代までの恥じゃ………………。」

「……は、はあ……………………。」


(しん)は、流石にこれ以上は、ルフのその同性同士の『恋の話』とやらについて質問を続けるのは野暮も野暮の愚問だろう、と思った。


「…………………………。」 (モグモグ。)

「…………………………。」


――――(あ、あれ⁉ な、なんか少し、気まずい雰囲気かな? )


(しん)は空気が読めずに無心に、肉まんにかぶり付いていた。

そしてルフはそれを見て話題を変えて言った。


――――「……あ、(しん)よ。」

「……ん? あ、は、はい? 」



(トコロ)で、その『(ニク)マン』の……『饅頭(まんじゅう)』の由来(ゆらい)は知っているかな? 」


「えっ⁉ い、いいえ…………?? 」






「――――それは、それは、その昔。

中之国(なかのくに)が、『三國志(サンゴクシ)』と呼ばれていた時代――――


三つの国のうちの一つ、『(しょく)』という国に丞相(じょうしょう)、『諸葛(しょかつ) 孔明(こうめい)』、という人物がいたそうな。


その孔明(こうめい)(ひき)いる(しょく)の軍はな、『南蛮(なんばん)』、という地を平定(へいてい)をした(あと)にな、(しょく)の国の(みやこ)の、『成都(せいと)』、に帰還をする最中(さいちゅう)に、とある村を通ったそうな。


その村の近くにはな、大きな河が流れていて、しょっちゅう、その河が洪水を()こして氾濫(はんらん)をしたそうな。


それでそこの村人達はな、その河が氾濫(はんらん)()こす(たび)にな、人間の(アタマ)をな、()(にえ)にしてその河に流す、という風習(ふうしゅう)があったそうな。


そこでだな、諸葛(しょかつ)孔明(こうめい)はな、

『そんな野蛮な悪い風習(ふうしゅう)はいけない。』

と考えてだな、その()わりにな、豚肉等(ぶたにくなど)をな、生地(きじ)(つつ)んでそれを人の(アタマ)()わりにしてだな、それを河に流させてだな、それで(もっ)てして、そこの村の人間の(アタマ)()(にえ)にする、という風習(ふうしゅう)を、孔明(こうめい)()めさせたそうな。


――――これが、『饅頭(まんじゅう)』の由来(ゆらい)だそうよ。」



「…………は、はあ……。

……そうでしたか、ルフ様。」 (モグモグ。)




――――(しん)は、ルフの(うち)の中をよく見渡(みわた)してみると、とても大きな本棚が目に入った。


その大きな本棚には、『ルフの冒険』やら、『ルフの冒険の書』やら、『ルフの書』やら、『ルフ冒険奇譚(ぼうけんきたん)』やら、『ルフの伝説』やら、『ルフ外伝』やら、『ルフ航海日誌』やら、『ルフ戦記』やら、『ルフの歴史書』やら、『ルフ大百科事典』やら、『ルフ図鑑』やら、『ルフの兵法書(へいほうしょ)』やら、『ルフの錬金術』やら、『ルフの薬学(やくがく)』やら、『ルフの真実』やら、『ルフの素顔(すがお)』やら、『ルフの横顔』やら、『エルフのルフ』やら、『ルフ発言録』やら、『ルフ名言集』やら、『ルフ自叙伝(じじょでん)』やら、『ルフの半生(はんしょう)』やら、『ルフのその生涯(しょうがい)』やら、『ルフ回顧録(かいころく)』やら、『ルフの肖像(しょうぞう)』やら、『ルフ愛の(うた)』やら、『ルフ詩選(しせん)』やら、『ルフ危機一髪』やら、『燃えよルフ』やら、『萌えるルフ』やら、『可愛(かわい)いルフのつくり(かた)』やら、『なぜ可愛(かわい)い? ルフ』やら、『ルフ美容法』やら、『これでモテモテ! 格好(かっこ)いいルフのつくり(かた) 第200巻』とかやらまで、全部の書籍(しょせき)が、『(ちょ) ルフ』と、なっていた。



「あ、あのー。

こ、ここにある沢山(たくさん)の本はもしかして、ルフ様、が書いたんですか? 」


「ええ!! 勿論(もちろん)よっ!!!! 」 (エヘンッ!!! )



「…………は、はあ……す、(すご)いですね…………。ルフ様……。」


勿論(もちろん)ですわよっ!!!! 」 (エヘンッ!!! )




――――(……こ、この書籍のラインナップからすると…………。

一体どんだけルフは、自分大好きの自意識過剰(じいしきかじょう)物凄(ものすご)い自己愛のナルシシストの(かたまり)(なん)だか、自己中(じこチュー)なのかがよくわかる(よう)な気がする………………。)



――「なあに? (しん)

……(なに)かまた、心の中で私に対して()からぬ事を考えているんじゃあないの⁉

馬鹿な人間風情(にんげんふぜい)(しん)ごときが万が一、この私を愚弄(ぐろう)をしたら、(そく)、ぶっ殺すわよっ⁉ 」 (ギラリッ!!! )


嗚呼(ああ)っ!! いや! いや! 滅相(めっそう)もございませんっ!! ルフ様っ!!!!

そ、そんな事! 一言(ひとこと)たりとも考えた事はございませんですよっ!!!!


――只只(ただただ)! こんなにも沢山(たくさん)の本をお書きになって、ルフ様は本当に(すご)いなーと、思っておりましたっ!!

只只(ただただ)圧巻(あっかん)ですっ!!!! 」



「っあ、そう。

ならいいわ。

(しん)。そんなに私が執筆(しっぴつ)をした本が読みたいのかしら? 」


「えっ⁉ い、いえ! あっ!! はい! はいっ!!

せ、折角(せっかく)なんですが、ルフ様のご本を是非(ぜひ)とも拝読(はいどく)(いた)したいのはやまやまなんですが、こ、この(わたくし)めの(よう)な馬鹿な人間には、り、理解が出来ない……い、いやっ!! あまりにも(むずか)しそうなんで読んでもさっぱり、わ、わからないかと思う次第(しだい)ですっ!! 」



「……そう…………。

残念ね。


――――残念な人間ね。」


「…………………………。」 (イラッ! )



「――(ちな)みに――


――この本は全部(ぜーんぶ)、私の経験や事実に(もと)づいて執筆(しっぴつ)をしたのよっ!!!! 」 (エヘンッ!!! )


「へえ~っ!! 」 (…………………………。)



「そうだっ!! (しん)っ!!!!

(しばら)此処(ここ)()なさいよ。

そして(うち)の事や、畑仕事とかを手伝いなさいよっ!!!!

そうしたら、私の色んなとっても()(がた)い体験談とかを聞かせてあげるわっ!! 」 (エヘンッ!!! )


「えっ⁉ ええぇぇぇ~っ!!!! 」



「……これは、私の絶対命令よ!!!!

もしも、万が一にでも私に(さか)らいでもしたら即刻(そっこく)!! あなたは処刑よっ!! (クビ)よっ!!!! 」 (ギラリッ!!! )


「――はっ!! はいっ!! ルフ様っ!!!! 」 (っえぇ~っ!! そ、そんな~っ!!!! )




(しん)は強制的に、ルフの(いえ)逗留(とうりゅう)をする事となってしまった………………ルフの下僕(げぼく)として…………。





今は、まるで隠者(いんじゃ)(よう)に生活をしているルフであったが、数百年間も生きて来たルフはかつて、名だたる冒険者であった。



――――(しん)はルフから、様々な色々な冒険譚(ぼうけんたん)を、無理矢理(むりやり)毎日の(よう)に聞かされた。



     ――世界は広大(こうだい)であった――



『コボルト』の山賊団を退治(たいじ)したという話。


『バイキング』の海賊団を壊滅させたという話。


『ミノタウロス』の迷宮(ラビリンス)踏破(とうは)したという話。


冥府(めいふ)(ばん)、『ケルベロス』を退治(たいじ)したという話。


冥府(めいふ)にて、『ヴァンパイア』の王が(ひき)いる、『スケルトン』や、『ゾンビ』や、『グール』や、『リッチ』らの、アンデッド軍団と戦争を繰り広げたという話。


『ガルーダ』や、『キマイラ』の()でお宝を発見したという話。


宝箱かと思ったら、『ミミック』であったという話。


『ゴーレム』に殴り殺されかけたという話。


『カーバンクル』を仲間にしたという話。


『オーク』や、『オーガ』や、『サイクロプス』らと一戦を(まじ)えたという話。


『トレント』の()む森で迷ってしまったという話。


『ドルイド』僧のもとで、魔術の修行をしたという話。


『ノルド』族から剣術の手解(てほど)きを受けたという話。


『グリフィン』を倒して伝説の剣、『バルムンク』を手に入れたという話。


魔竜『ファフニール』を倒して、(とら)われのお姫様、『ブリュンヒルデ』を救出したという話。(どうやらルフは、このお姫様と恋に落ちたらしい。)


天空で、『ハーピー』や、『ガーゴイル』や、『サラマンダー』らと戦ったという話。


『トロル』の洞窟(どうくつ)(トラップ)に引っ掛かってしまったという話。


『タイタン』の塔を攻略したという話。


『メデューサ』のダンジョンを攻略したという話。


『スライム』の楽園(パラダイス)を発見したという話。


『ホビット』族の桃源郷(シャングリ・ラ)を発見したという話。


『ノーム』族のユートピアを発見したという話。


『ドワーフ』族のアルカディアを発見したという話。


世界竜、『ヨルムンガンド』の体内を探検したという話。


とある大神殿にて、宇宙竜、『ティアマット』と遭遇(そうぐう)をしたという話。


とある大聖堂(カテドラル)にて、『バハムート』と戦ったという話。


異空間にて、『フェニックス』に出会ったという話。


とある砂漠にて、『スフィンクス』と、謎解(ナゾと)きバトルをしたという話。


ルフの愛馬、『ヴィングスコルニル』を()って、『リヴァイアサン』の()む『レヴィヤタン』の海峡(かいきょう)を越えて、『ロキ』の住む『ヘルヘイム』の沼地を越えて、『トール』が居る『ムスペルヘイム』の要塞を越えて、『ヴァルハラ』、という地にある城で、『オーディン』主催(しゅさい)の武闘大会、『ラグナロク』に出場をしたという話。


そしてルフは、『ラグナロク』で見事(みごと)に優勝をして、『オーディン』より愛槍、『グングニル』と愛馬、『スレイプニル』を(さず)かったという話。


昔ルフは、(しん)の祖国の、『倭国(わこく)』にも行った事もあるらしくて、『(かね)(がさき)の戦い』にて、第六天魔王『織田信長(おだのぶなが)(こう)の命を救った時の話もした。



どの話も、(しん)にとっては、とても新鮮で、血湧(ちわ)肉躍(にくおど)る内容であった。



「…………(しん)よ。」


「あ、はい⁉ (なん)でしょうか? ルフ様。」



「……(じつ)はね。

(ぬし)の国、倭国(わこく)で私はね、『漢字(おとこじ)』、…………間違え、『漢字(かんじ)』を(おぼ)えたのよ。」


「へえ~っ!! そうだったんですかっ!!!!

流石(さすが)はルフ様!!

()()め、『(おとこ)(なか)(おとこ)』、ならぬ、『(おんな)(なか)(オトコ)』! ですねっ!! 」



「……………………はあっ⁉ 」


「い、いやっ!! す、すいませんっ!!!! ルフ様っ!!

そ、そんな深い意味は無いですよっ!!!! 」




「…………まあ、いいわ。

気分を変えて、此処(ここ)閑話休題(かんわきゅうだい)ね。」


「あ、はい! ルフ様。」



(しん)よ。

(ぬし)の国の『ニンジャ』、女忍者の、『くノ一』の、由来(ゆらい)は知ってる? 」


「――え? い、いいえ。」



「……(なん)だ。(しん)の国の言葉なのに、(しん)が知らないとは。

やっぱり、馬っ鹿じゃない⁉ (しん)!! 」


「…………はい。すいませんね。ルフ様。」




「『く』+『ノ』+『一』=『女』。だからよ。」




「…………っあ! ()ーる(ほど)!!!! 」



「まだ(ほか)にもあるわよ。


九十九歳の人の事を何故(なぜ)、『白寿(はくじゅ)』って、言うのかな?


『百』-『一』=『白』。



八十八歳の人の事を何故(なぜ)、『米寿(べいじゅ)』って、言うのかな?


『八』+『十』+『八』=『米』。



八十歳の人の事を何故(なぜ)、『傘寿(さんじゅ)』って、言うのかな?


(かさ)』、という漢字の中には、『八』と、『十』があるからよ。



六十一歳の人の事を何故(なぜ)、『華寿(かじゅ)』って、言うのかな?


(はな)』、という漢字の中には、よく見ると、『十』が6個、『一』が1個、あるからよ。」





――――「……………………あ! はいはい。()(ほど)!! ()(ほど)っ!!!!

まるで、暗号か、パズルみたいですねっ!! ルフ様!!!! 」


「でしょう!! 」 (エヘンッ!!! )



伊達(だて)に、お(とし)()してはいませんねっ!! ルフ様!!!! 」


「――女の子にそんな事を言うなーっ!!!! っぶっ殺すわよっ!! っ(ほん)(とう)にぃっ!!!! 」 (ギラリッ!!! )


「す、すいませーんっ!!!! 」 (――いやっ!! もうっ! 本当に物騒(ぶっそう)なエルフだなーっ!!!! )







「――――まあ、いいわよ。どうせ…………。」


「…………………………。」



「――私は大人(オトナ)なんだし………………。」




「……ルフ様は、大人(おとな)乙女(おとめ)なんですねっ!! 」



「………………………………。」



「………………………………………………。」






――「いいわ。(しん)には此処(ここ)で、ちょいと大人(オトナ)小噺(こばなし)をして差し上げますわよ。




――――これは、とある話――――



本能寺(ほんのうじ)(へん)』を、『本能寺(ほんのうでら)(こい)』と、間違えてしまった、うつけ(もの)の話。



『――とある(てら)で………………。

羽柴秀吉(はしばひでよし)嫉妬(ジェラシー)(おぼ)えた、

明智光秀(あけちみつひで)のせいによって、

織田信長(おだのぶなが)が死んでしまった。という、

本能(ほんのう)による、(こい)の、三角関係の(もつ)れによる、

愛憎(あいぞう)渦巻(うずま)いた、歴史的事件。

人歴(じんれき)?年(天正10年6月2日) 本能寺(ほんのうでら)(こい)】』



――(ちな)みに、登場人物で、『羽柴秀吉(はしばひでよし)』の()わりに、

森蘭丸(もりらんまる)』でも、

濃姫(のうひめ)』でも、

黒人の、『弥助(やすけ)』でも、いいわよ。

うふふ。」




「…………な、(なん)ですか? その話は………………? 」



「……まあ、本能寺(ほんのうじ)(へん)の外伝よ。」


「はあ。そうですか、」 ((なん)だか、ルフらしい、と言えば、ルフらしい話だなあ。)





――――「あ。あとなんだけれど。――――



――海洋生物(かいようせいぶつ)の『(タコ)』、オクトパスには気を付けなさい。」


(タコ)、の、吸盤(きゅうばん)にですか? 」



「……うん。それもあるけれど。


――(タコ)はね、心臓が3個。

脳は、9個もあるのよ。

(タコ)の、脳の一つは頭部にあって、残りの8個の脳は、それぞれの8本の(あし)の付け根の部分にあるのよ。」


「えっ⁉ ほ、本当ですかっ!! か、かなり、しぶとそうな生き物ですね! 」



「うん。だから、オクトパスと戦う時は確実に、仕留(しと)めなさい。」


「は、はいっ!! ルフ様!!!! 」



そしてルフは、何時(いつ)もより真剣な顔になって言った。



――――「(しん)。」


「はい。今度は(なん)でしょうか? ルフ様。」




「…………ありがとう。」


「えっ⁉ は、はい? 」



(しん)。あなたのお(かげ)で、倭国(わこく)での思い出が(よみがえ)ってきたわ。

とっても(なつ)かしいなあ。お市様(いちさま)

本当にありがとう。(しん)。」


「い、いやあ。


…………っえっ⁉ ええっ!!!!

……あ、あの!! お市様(いちさま)にも会った事があるんですかっ!!!! ルフ様!! 」



勿論(もちろん)っ!!!! 昔ねっ!!


――――そうだ!! 次は、『ルフ倭国(わこく)見聞録(けんぶんろく)』、でも執筆(しっぴつ)をしようかしら。」 (エヘンッ!!! )


「……い、いいですね!! ルフ様!! 」




――ルフは、(さら)真面目(まじめ)に、(さら)深刻(しんこく)そうな顔になって言った。



「――――()れにしても(しん)

その――『孔達(こうたつ)』という人間はとても危険(きけん)そうね。

まず、どうやら見た目からしても、とっても(アブ)なそうな(ヤツ)ね! かなりイッちゃっているわねっ!!


…………まあ、私の(ほう)がもっと危険(キケン)な存在なのだけれども。」


「…………………………。」 (ル、ルフ様……じ、自分から自分で自分の事を、危険(きけん)、と言い切ったよ…………や、やはりルフ様は、こ、(こわ)い……………………。)





――――しかし、(しん)は、(なん)だかんだいって、ルフのもとで、(ただ)無為(むい)(とき)()ごさずに、雑事等(ざつじなど)(しょ)々、(もろ)々をこなしながら、その(かん)にも、基礎体力、格闘武術、剣術、弓術、馬術、魔術、兵学等(へいがくなど)師事(しじ)をして、(あと)蛇足(だそく)ながら、余計(よけい)な事までも、ルフから手解(てほど)きを受け、修行をして(まな)んだ。



………………ルフの、下僕(げぼく)として………………………………。

      ――第伍章(だいごしょう)へと続く――

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