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新島 彩 aya niijima (3)
「しんたろ~」
真也が珈琲を飲みほしてから、すぐに由依がやってきた。
一応彼女が俺を“しんたろう”と呼ぶ理由を教えておこう。
「しんたろう君だよね!おととい〇〇ってサークルの新歓にいたでしょ?あたし人の名前覚えるの得意なんだよね~。」
と1年の頃、今所属してるサークルの新歓コンパで自慢げに由依が話しかけてきたのだ。
由依はいろんなサークルの新歓に行っていたらしく、俺は由依がこのテニサーに入るとは思っていなかった。だから“しんや”と言い直すのもめんどくさくって。
「あ~!覚えてくれてたんだ!」とか適当な返しをした。
それからサークルに入って自己紹介した時に彼女は俺の名前が“しんや”だと知ったのだが、時すでに遅し、“しんたろう”が定着していたらしい。依頼呼び名は“しんたろう”だ。