第6話 あなたのメイド
どんといっちゃえ1章全部
異世界にいきなり飛ばされて、どうしたらいいかまったくわからないので、少し心は痛んだが強権(『命令』)をつかってシーナの家に居候することにした。
まあ、彼女には追いはぎの前科があったので、【奴隷調教師】のスキルを使うのもほんの少ししか心が痛まなかった。
これが罪も無い少女だったらこうはいか無かっただろう。
そんなわけで数日、シーナの家の森の中の小さな小屋(オンボロなんて言ってはいけない)で色々この世界の情報を聞きながらすごしていた。
協力的じゃないときは『命令』スキルを使うのに段々と抵抗がなくなってきたのが少し怖い。
ただまあ、爆弾仕掛けて吹っ飛ばそうとしたり、靴に毒針仕込んだり、落とし穴(毒の塗った槍を仕込んだ)に誘導したり、壊れかけのつり橋を渡らせたりと命を何度も狙われたせいかもしれない。
シーナはどうやら俺の命が尽きれば奴隷から解放されると思っているようだ。
聞くところによるとこの世界でもモンスターティム系の職業はあり、ティムしたモンスターは主人の死亡で解放されるそうだ。
とは言っても、死亡後少ししてかららしいけど……。
俺が思うに、蘇生スキルなどでも復活できない状況になったら解放されるのではとあたりをつけた。蘇生スキル自体がレアで一般にでまわってないからそういう表現になったのだろうと。
あと、この世界の話を聞いていて、驚いたのがマスタースキルはおろか上級職業に付く人すらまれな事だ。
まあ、俺も隠しダンジョンなしでこれだけ育成が進んだかと聞かれたらノーというしかないが……。
どうも、この世界には隠しダンジョンは無いもしくは発見されてないようだった。
俺みたいにマスタースキルを何個も持ってるのはそれこそチートといえるのかもしれない。
シーナ以外にまだ出会ってないので実感はわかないが、街に行った時は注意した方がいいかもしれない。
「早く奴隷から解放しなさいよ!」
シーナがこのところ毎日のように言ってるセリフを繰り返す。
「どうやって?」
俺もいつもと同じ返事をする。
「解放されたら覚えてなさいよ!」
うん、そんな事いわれたら普通は解放しようとはおもわないだろうに。
ただまあ、俺は方法がわかれば解放してもいいかとも思ってる。
報復にしろ今の俺なら十分対処できる力の差があるだろうしな。
それに、俺の感覚では奴隷と言うのはどうしても受け入れられない。
平和な世界に居たからだろう。
その後3日ほど過ぎた夜事件は起こった。
シーナに性的な意味で抱かれろと『命令』のスキルを発動させていたのだ。
彼女は見た目はきれいで魅力的な部類に入るだろうし、そういう劣情をもてあます事もあるだろう。
ただ、『命令』のスキルを使って言葉にだして自覚的に命令したなら、俺が酷いやつだという事で自己嫌悪するだけで終わったのかもしれない。
しかしそうではなかった。
『命令』のスキルを意識的には発動していなかったのだ。
きれいな女の子と同棲して起きた強い欲望がそのまま『命令』スキルを発動させたのだった。
命令内容よりも俺は、強い感情だけで命令が発動してしまう事に恐怖を感じた。
例えば、殺したいと強く思っただけで、自殺命令を与えてしまいかねないからだ。
色々俺は考えた。
今すぐ彼女をおいてどこかに行く事も考えた。
ただ、WMOの仕様の中にテイムしたモンスターを放置しすぎると死亡するというのもあった事を思い出してやめる事にした。
感情を制御する事も考えた。
これは無理だと悟った、特定の感情を一切抱かないようにするとかそれこそ悟りを開くとかの次元の話になるからだ。
俺にはそんなのは無理だ。
シーナにも正直に話してみたりもした。
色々酷い罵倒をうけた。
色々1日考えて結局俺は、彼女を抱く事にした。
感情を溜め込む事でどんどん事態が悪化しかねなかったからだ。
そしてお互い初めての夜が終わり、目に涙を浮かべながらにらみつけるシーナの姿が目に焼きついた。
で……次の日起きたらシーナがメイドになっていた。
「今日から、あなたのメイドになります。よろしくお願いします」
そんな宣言をして……。
何故いきなりそんな事を言い出したのかもさっぱり解からない。
本当に謎だ。
というような事があって、シーナはメイドになったわけだが……。
いまだに隙あらば俺の命を狙ってくる。
ただまあ、俺はそのつどしっかりお仕置きして感情を溜め込まないようにしている。
それが、ピクピク痙攣している彼女なんだが……。
う~ん、本当にこの選択であっていたのだろうか?
次回は……キャラクター紹介などをはさんで次の章に……。
次章シーナさんの友達が毒牙に!?




