第5話 貴重な素材、貴重すぎて……
今回は、短めです。
やっぱり、ラストエリクサー症候群は治りません。
私も、ゲームで発病中かも。
皆さんなら貴重な素材は、何に使いますか?
※毎日更新継続中。
『今日はもうダメだよ~』という妖精さんの言葉に従って翌日。マユさんと一緒に、ティナの畑にやってきてみたのだが。
(まだ、だめだよ~)
(そんなに直ぐに育たない~)
(お馬さんの分もあるしね~)
(だね~)
そりゃそうかと思いつつも、サンプルがほしかったので粘り強く交渉した。
ワイロにソウルキャンディを渡したりはしていない。あれはこれからも畑仕事がんばってくださいと激励の為に渡したのだ。
その結果、なんとか神秘の薬草を1つならOKという事になった。まあ、元々それ以上採取するつもりはなかったんだが。
全部取ってしまって、もうこれ以上生えなくなるとか困るしな。もっと増えてほしいからな。
そして、丁寧に丁寧に、根っこの先まで切らさないように道具を使わずに手作業で掘り出した。
後で根とか残した方がまたそこから生えてくる事もあるんじゃないかと気がついた。次は多少根を残してもいいかもな。
その後、昨日見つけた以外に神秘の薬草が増えてないか。もう一度全部の薬草を確認してみるも、前と変わらず3つ(そのうち1つ収穫)だった。
やっぱり、地味に鑑定が重労働だな。早急にだれかに覚えさせたい。
殆ど見た目が変わらないから、スキルじゃないと見落としがあるからな。
「で、どうするのがいいと思う? この神秘の薬草」
調合室にあつまったM&Mの生産職チーム、俺、マユさん、アンの三人で相談を始める。
店の方は、リーフさん監督の下、セリカとティナが対応中だ。流石にサボったりはしていないだろう。
「神秘のポーションがこの薬草でつくれるか、クロさんが作ってみるのはどうでしょうか?」
その確認も必要だったな。
これで別物が出来たりすると、ポーション作りの方に微妙に支障が出かねないんだよな。
大量生産品で極低確率で別物と言えるほどの高品質品が混ざるってのは……間違って売ってしまうのが怖いからな。
シーナの忠告が大げさすぎるとも思えないんだよな。
でも、貴重なアイテムを消費してまで確認するのも……。
「植物系の素材の武器や防具を作る時に添加するのはどうでありますか? 弓や杖、ローブなんかには使えそうな気がするであります」
ああ、鉱物系には少し使いづらいかもしれないが、植物系の素材には相性は良さそうだよな。あと、植物系の指輪なんかのアクセサリのメイン素材にも使えそうだ。
ただな、生産レシピを手探りで探して行くとなると相当数の素材が必要だしな。
ついでに、どんな代物が出来るか怖いってのもあるよな。
カースソードみたいな武器のモンスターとかが出来ても困るし。
ま、それは他の使い方でもか。
「師匠はどんな使い道がいいと思うでありますか?」
「う~ん、ネックは数が無い事なんだよな。仮に、ポーションの作り方そのままで神秘のポーションが作れたなら、他の草系もしくは、植物系の素材の代用? 効果から言うと上位互換か? 出来そうな気もするからそっちも試したいけど……」
「1つでは、神秘のポーションの作成から試さないとダメなので数が足りませんね」
「そうなんだよな。まあ、ハイポーションとかもっと他の薬の作り方を試してみるのも有りかも知れないけど……やっぱり数がな……」
数さえあれば色々やりたい事は多いんだけどな。
う~ん、レシピが解ってるのがドーピングアイテムだけでそっちは他の素材が絶望的ってのがきついな。
「それなら、育てて増やすのは無理でありますか?」
育てて増やせるならそれに越した事はないけど……。
WMOでは栽培に成功したって聞いたことは無いよな。
植物系の素材から種を作成するスキルとかもあったはずだから種は手に入ってる筈なんだよな。まあ、成功しても隠蔽してる可能性もあるから確実とはいえないんだけど……。
まあそれなら、神秘の薬草がそれなりの数、市場に出てるだろうから、たぶん無いとは思うけど。
「少なくとも、俺達が育ててうまくいくような気はしないな、出来たとしても相当な試行錯誤が必要だろうし。そのために神秘の薬草が大量に必要になるだろうな。植え替えるにしても、種をとるにしても」
あとは、妖精さん達にどうやって育てたか聞いたけども……狙ってやった感じでも無さそうだった。答えが、(水をやってお世話~)とか(土のお世話~)とかそういうレベルだったからな。
そもそも、あそこの畑は、1本の普通の薬草、それも今にも枯れそうなやつから増やしたんだしな。
ついでに、「神秘の薬草を増やしてくれないか?」って頼んだら、(えこひいきは、いやだよ~)とかいって断られたからな。
まあ、毎日様子を見て神秘の薬草の数がどうなるのかの推移の確認だけはして、妖精さん達に好きにやらせた方が良さそうな気はする。
「それじゃあ、少しずつ使うのはどうですか? 葉っぱ1枚ずつとか……」
「そうか、量的な事も調べないとな……」
ポーションとか普通の場合は、失敗しそうだけど……神秘の薬草だと、何気に何かできそうな気もするな……。
ただ、全部使うと別のものが出来そうな気もするんだよな。低品質のものが出来るならいいんだけど。
試してみたい事は沢山あるけど、圧倒的に素材の量が足りないな。
本当にどうするか……。
「まあ、ひとまずは、ティナの畑の様子を継続して確認するか。少量でも継続的に神秘の薬草が収穫できるのであれば、色々試してみる事はできるだろうしな」
「そうでありますね~。試してみるにはあまりに貴重な素材すぎてもったいないでありますね」
「ある程度確保できるのであれば。いろいろ試せそうですしね」
俺たち三人の話し合いは、そんな感じのところに落ち着いた。
ゲームなんかでも、あったけど「もったいなくて使えない」ってのは……。
最後まで倉庫の肥やしに成ってた様な気がする。
たしか、これってラストエリクサー症候群とかいうんだっけ?
でも、流石に使わないのが一番もったいないからな。
小量でもいいから定期的に産出されると事を切に願おう。
妖精さん達、君達が希望だ!
そういえば、一応あそこはティナと妖精さん達の畑だから報酬交渉とかもやらないとな……。
今回は、ティナがバカやったお詫びとかで無料提供だったけど、今後はその辺もしっかりしないと面倒そうだ、どうするかな?
あいつに下手に街なんかに持ち出されたりすると恐ろしい大混乱になりかねないし。
その辺もしっかりしておかないと。
強制的に取り上げて畑止めると言われても困るしな。
そうして、この日手に入れた神秘の薬草は倉庫の奥にしまわれた。
倉庫の肥しにならないことを願おう。
次の話は、クロの世界のサブカルチャーが色々侵食してる話かも。




