第5話 ビギナーの凄さ
当たり前に使ってる能力が封印されるとしたら……。
とんでもない縛りになるよね……。
システム画面表示させないでプレイ。
下手な縛りプレイよりも恐ろしく難易度が高い罠。
”隷属したキャラクターの職業変更”の機能の効果を試し終わったので、一旦M&Mの中に戻る事にする。
『クロ:効果も調べ終わったし戻るぞ~』
ギルドチャットを使って、特に遠くに行ってしまったティナとセリカを呼び戻す。
うん、お前ら何処まで突っ込んで行ってるんだ?
「シーナの献身的な協力により、現状は職業を【ビギナー】へ変更する機能だと解った。今後は変更できる職業が増えるかもしれないが……まあ、今は役に立ちそうに無いな」
再びダイニングに戻った皆に対して、結果を伝える。
「【ビギナー】ってどんな職業なの?」
ティナが疑問の声を上げる。
他のメンバーも同じ疑問を持っていたのだろう俺の方に一斉に視線を向けてくる。
「ああ、最弱の役立たずの職業だな。ちなみに初心者って意味の名前だ。たぶん――」
懲罰的な意味合いの強い機能なんだろうと続けようとして……。
「この職業が役立たずな訳ないじゃない! まあ、弱いってのには同意するけど」
それまでじっと黙ったままだったシーナが声を張り上げる。
「え?」
俺の口から疑問の声が漏れる。
【ビギナー】だろ?
この世界では、なんか違うのか?
「そうなんですか?」
マユさんが俺とシーナの間で目線を動かしながら尋ねる。
「【ビギナー】ってPTクリスタルの機能全て使えるじゃない! めちゃくちゃ便利じゃない!」
そうだ、当たり前にありすぎてすっかり抜けてた!
システムコマンドの辺りって全て【ビギナー】のスキルだった!
と言う事は……この世界では【ビギナー】になる事が出来るってとんでもないアドバンテージになるのか!?
「それになによ、アイテムボックス? 10個しか入らないけど異空間にアイテムをしまえるってめちゃくちゃな能力じゃない! あ、これって……」
アイテムボックスも何気なく使ってるけど、考えてみると、とんでもなく便利な能力なんだよな。
【ビギナー】で取得した時点では上限10種類とか重さ制限とかあってまだまだ使いにくいんだけど……。
「それに――」
シーナが興奮して次々と説明していこうとするのを遮る。
「シーナ、【ビギナー】の検証は後にしてくれ、その職業のスキルは全てマスタースキルになるから後でも問題ない」
それよりも問題は、元の職業に問題なく戻れるかどうかだ。
戻れるようなら隷属させているメンバー全員に【ビギナー】をマスターさせるのがいい。
「それよりも、職業ツリーを表示させて、元の職業に戻れるかやってみてくれ」
そういいながら操作を説明するが……。
「それなら解るわよ。PTクリスタルと一緒なんでしょ?」
そういえば、そうだったな。
操作方法とか説明しなくていいのは助かるが。
「こんな感じで……別の職業に昇格も出来るわね」
「今回は元の職業にもどってくれ」
「解ってるわ。これで……なにこれ!?」
シーナが声を上げるのと同時にシステムメッセージが表示された。
『シーナが【シーフ】に転職しようとしています。許可しますか?(Y/N)』
ああ、最初考えてたように懲罰的な意味合いが本来の使い道っぽいな。
許可しなければずっと【ビギナー】とかこれ以上無い罰だ。
直ぐに『YES』を選択しようとして、ふと思いとどまる。
「シーナ、ギルドコアの方で昇格が普通に出来るか試してくれ」
「え? あ、そうね」
シーナは急いでギルドコアに向かって行く。
そして……。
『シーナが【シーフ】に転職しようとしています。許可しますか?(Y/N)』
もう一度、同じメッセージが表示された。
ギルドコアでも出来ないと言う事は、PTクリスタルや職のクリスタルでも出来ないっぽいな。
これは結構強力な制限みたいだ。
確認を終えた俺は、PTチャットで呼び戻して、もう一度シーナに昇格をさせる。
3度目のシステムメッセージが出てくるが、今度は、『YES』を選択。
シーナのステータスを確認すると……。
『シーナ:シーフLv15』
うん、ちゃんと昇格できているな。
それに、WMOと同じく、職業レベルなんかは保持されたままだ。
そんな感じでいくつか確認してる途中に表示が変わる。
『シーナ:ブラッディシーフLv46』
あ、昇格したみたいだな。
今度は【ビギナー】からの時みたいにシステムメッセージが表示される事が無かったので、許可が必要なのは、【ビギナー】の時だけか。
「ちゃんと、戻れたわね。それに【ビギナー】のスキルはそのまま使えるのね」
「言っただろうマスタースキルになるって」
あ、聞いて無いなシーナ【ビギナー】のマスタースキルの効果を確かめるのに夢中になっている。
まあ、検証なんかはシーナにやらせておけばいいか。
「シーナは、しばらく放って置くとして、【ビギナー】をマスターするのは凄く有用そうだから出来るメンバーは皆マスターさせてしまおう」
俺は、隷属してるメンバーを順番に【ビギナー】をマスターさせて行く。
同時にいっぺんにやると戦力がボロボロになるので、念の為一人ずつだ。
リーフさん、ミルファさん、と順調に来て、セリカの時にトラブルが起きる。
「師匠! 【聖騎士】に戻れません!」
セリカが泣きそうになって居た。
俺も、やばいと思いながら必死に原因を探した……。
教会に行く必要があると思い出したのは、15分ほど経ってからだった……。
セリカが無事【聖騎士】に戻れたあと、マユさんにも【ビギナー】をマスターさせてしまう。
で……マスターしたはいいのだが……。
「薬を作る専門の職業や、マジックアイテムを作る他の職業が……」
あ、そうか……元に戻るだけじゃなくて、他の職業にもなれるのか……。
うん? と言う事は、系統の違う魔法使い系と戦士系の職業をある程度マスターして魔法剣士とかが狙えるようになったという事か!?
セリカのロードナイトが一気に近づいただけじゃなく、他にも色々選択肢が広がったな。
これは後で色々相談して行こう。
「う~ん、【商人】から……」
「マユさん、他の生産特化職を目指すのもいいけど、先ずは【マジッククリエイター】をマスターしてからにした方がいいぞ。今まで作れた物が作れなくなってるだろうから」
「あ、そうですね。先ずは【マジッククリエイター】からですね!」
うん、なんとかマユさんも【マジッククリエイター】に戻った。
あとは、狐っ娘姉妹なんだけど……どうするか?
ふとそこで、【奴隷調教師】に『奴隷取得経験値プール』ってスキルがあったのを思い出す。
ずっと忘れてたそれを見てみると、結構とんでもない量の経験値が溜まっている。
それならと言う事で、狐っ娘姉妹に職業変更の機能を使った後、経験値を突っ込んでみた。
『天狐:戦士Lv5(職業変更中 0/100)』
『地狐:戦士Lv5(職業変更中 0/100)』
プールされた経験値を突っ込んでも職業変更のコストを払う事はできなかったようだ。
取得経験値の○%を溜めるとか、そういった系統のスキルは戦闘で稼いだ物だけが溜まるようだな。
まあ、この際だ、タマとポチみたいにひどいことに成る前に少しずつ育成しておくか。
『天狐:戦士Lv10(職業変更中 0/100)』
『地狐:戦士Lv10(職業変更中 0/100)』
狐っ娘姉妹に経験値を突っ込んで両方レベル10にしておいた。
このくらいで少し成らしておけばタマとポチの様には成らなくてすむだろう。
その後、皆で【ビギナー】のスキルの使い方を確かめたりした。
ティナとレナさんが、自分達もなりたいと言っていたが……。
その為に隷属させるのか?
う~ん、とんでもない恩恵が得られるとはいっても……。
俺は、ひとまずそれについては先送りする事にした。
流石にな……。
夜寝る前に、約束どおりシーナの不思議な宝箱の建築を始める。
必要時間は30時間と結構長かったが、施設整備用ゴーレムをフル稼働させて時間を短縮させる。
そして、次の日の朝……。
「何よこれ~~~~~~」
シーナの絶叫が響き渡る。
不思議な宝箱……1日1回リセットされる最初の中身は……。
やくそう × 1
だった……。
まあ、最低ランクの宝箱だし、ランダムだからな……。
マユさんが最終的に受け取り、何かうれしそうにしてたけど、所詮1つだしな……。
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「!?!?」
「!!!!」
「……(力が~~~~)」
「……(みなぎる~~~)」
次回は……もしかしたらセリカの闘技場が完成するかも。
今の所未定です。
それにしても、クロ……。
狐っ娘姉妹にはちゃんとレベル上げた事伝えよう。




