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幼馴染に愛を込めたお弁当を〜隠し味は私で絡めて〜  作者: 花月アイコ
捻じ曲がりポワソン

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第16話

「「本日はよろしくお願いします」」


 私と麦島(むぎしま)さんが揃って、公民館の管理人である栗林(くりばやし)さんに頭を下げる。

 まだ、お相手の小学生は来ていないようだ。


 車で三十分ほどの隣町にある公民館。本来なら顧問の先生が送ってくれたのを、パトカーに乗って到着。


 学校からこの公民館まで運んでくれた警察のかたは、まだパトカーに残っている様子。相手の保護者に今日の確認しているのだろうか。大変そうだ。


 今日で人生二回目のパトカー。ボランティアで警察官のお世話になるのはいいが、犯罪した結果で、警察のお世話にならないように心がけないと。


御櫛原(おくしはら)さん、麦島さん。本日はお越しいただきありがとうごさいます。ささっ、中へどうぞ」


 栗林さんは腰を低くして私達を迎えてくれる。公民館の調理室に案内された。ザッと見たところ、設備の手入れが行き届いており感銘(かんめい)を受けてしまう。


 この公民館は初めて訪問したが、栗林さんとは地域会や、同好会の他の活動で何度かお会いしたことがあった。


 前職は小学生の先生をやっていたらしい。


 本人は今の仕事を「定年退職後の暇つぶしなのよね〜」と話してくれたが、ボランティア活動にも、精力的に参加しているのでバイタリティがある。


「事前に話しはザックリと聞いていると思うけど、一応……再度確認しておくわね。今日来てくれる予定の子。ご家族の話しはできる限り配慮(はいりょ)してほしいのよ」

「はい、大丈夫です」

「そうだね、お昼休みも使って打ち合わせをしてきましたので。わたしも、糸さんも、大丈夫かと」

「ありがとうね。もし、あの子から話しを振ってきた場合は話しを合わせてあげて。何かありそうな雰囲気を感じたら、こちらでもフォローに入るわ」


 今回の活動内容はセラピーみたいだ。

 ……みたい、ではなくて本当にセラピーなのだろう。


 私と麦島さんはセラピーやカウンセリングについての知識はない。だけど、知識はなくても、小学生と年齢が近い私達だからこそ、力になれることもあるのだろう。


 アニマルセラピーが動物と触れ合うことで癒やしの効果を得られることと同じように、料理を通して今日ともに活動をする子にも寄り添ってあげたい。


 勘違いしてはいけないのは、私はカウンセリングについては無知なこと。相手の子がケガなく、楽しい時間を過ごせたのなら、それが一番なのだ。


「ところで……今日来る子のことになりますが、栗林さんは好きなものとか知っておりますか?」


 それはそれとして、コミュニケーションは歩み寄ることが大事。麦島さんなら自然な振る舞いで会話の糸口を見つけるのかもしれないが、私には到底無理。


 人間関係……特に子ども相手だと会話のヒントが欲しいのです。


「好きなもの……好きなものかあ。う〜ん、(わたくし)があの子と初めて会ったときも、あまり自分自身のことを話してくれなかったからねぇ」

「そうですか……」

「糸ちゃんはいつもどおりでいいよ、肩の力を抜いてね。平常心」

「……本当に大丈夫かしら?」


 ここ最近のいつもどおりだと、マカナの弁当に髪の毛を混入させているのですが……色々とダメではないでしょうか。


「だって、糸ちゃんは年下とお話しするとき、物理的に膝を曲げて視線を合わせるし、相手の言葉を否定しないでしょう? これができれば、おおよそ充分だよ」

「確かに……御櫛原さんが強張(こわば)ってしまったら、相手も緊張しちゃうかもね。御櫛原さんはしっかりしているから、ニッコリと笑顔を意識すれば大丈夫よ」


 肯定されたのは、料理同好会で善い人であろうと()(つくろ)っている私だが、褒められて今日も頑張ろうと励みになった。


「もうすぐ、待ち合わせの時間だけど……ちゃんと来てくれるかな。おっと、噂をすればなんとやら」


 公民館の入り口に、人の入ったきた気配がする。どうやら、待ち人が到着したみたいだ。


 廊下にペタペタと足音が響いてくる。顔や名前すら知らない少女に、どんな子かと思いを馳せてしまう。


 あれ? ……今日会う子の名前を聞いていなったような。もし、今回の活動が中止になったとき、個人情報保護の観点から名前を聞いていなかった。


 顧問の先生が教育委員会の用事で急遽(きゅうきょ)本日欠席したこともあって、相手の名前を聞くのを忘れていたなぁ。


 別に名前を知らなくても、料理をするうえで特段(とくだん)支障(ししょう)がないので関係ないけど。


 足音が扉の前で止んだ。

 室内は締め切っているのに、なんだか、不気味な風が私の肌を突き刺してくる。


「……しつれいします」


 職員室に入ってくるような感覚で、真っ黒な黒髪をなびかせた少女が緊張を声ににじませて入室。知らない子なのに、どこかで見たことのある雰囲気があった。


「おお! 待っていたよ、アイバちゃん。荷物は……適当に、そこら辺に置いていいからね」

「はい、栗林さんありがとうございます」


 ……アイバ…………この名字も聞いた覚えがある。

 アイバさんは私のことを知らない反応なので、気のせいなのだろうけど。


 初めて会ったはずなのに、アイバさんを見ていると悪寒が止まらない。アイバさんが悪いわけではないのだけど、なぜだろうか。


 私はこの子のことが、拒絶反応が出るほどに()()らしい。

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