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マキシマム・ザ・クラウン  作者: しータロ(豆坂田)
第三章 ネクストセル・コーポレーション編

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第69話 開発成功

 ゲルグの下層にあるクレイトンの基地でミカとエマがエネルギーパックについて話し合っていた。


「どうにか、形にはできたけど」


 エマがテーブルの上に置いてある小瓶を指さす。小瓶には銀色の液体が詰まっていた。


「設計図と理論自体は用意されていたから苦労はしなかったわ。だけどこれで本当にできてるのか分からない。使う素材自体はかなりのエネルギー使用することになるし、大量生産するとなると難しいんじゃない」

「その辺はある程度考えてる。今は取り合えず試作品でもできたことを喜ぶべきだ」


 本来のエネルギーパックは無色透明の液体だ。目の前にあるのは銀色であるため、ウィンドウに記載されていた物体と完全に同じものであるとは思えない。

 しかし類似する物体だとは判別できる。

 小瓶にウィンドウを表示させ情報を確認する。

 ウィンドウにはエネルギーパックという文字こそ記載されていなかったが、『代用品』の文字は確かにあった。効率も互換性も耐久性も整備性も、安全性すら本来のエネルギーパックに劣るが、確かに試作品として十分な出来だった。


「できてる。動くか確認したらすぐにでも本格的に試そう」


 ウィンドウの情報から小瓶の中身がエネルギーパックに限りなく近しいものであると判別できたため、次の段階へと移行する。

 まずは本格的にエネルギーパックを量産する体制を作る。

 ウィンドウにはエネルギーパックを用いた武器が大量にリストに並べられていることもあり、それを使って稼ぎを出す。エネルギーパック単体でも価値はあるが、まだ価値は無い。

 何せ使うべき機械が無い。

 いくら優れていても用途の無い品物には価値はつかない。

 だから価値がつくようエネルギーパックと共に使う武器や機械を生産する。

 ここからが本番だ。

 本格的に工場を作り、増産体制を整え、一気に売る。

 売れなければ大赤字、売れてくれれば作戦通りにことが進んでくれる。

 入念な準備をした上で幾つもの予防策を張り、それでも失敗するかもしれない賭け。

 やるしかないだろう。


「でも、エネルギーパックの増産って。それを使う機械だって、どう作るつもり? そんなにお金ないんじゃない?」

「いや、ある。もうすぐできる」

「できる? もうすぐ?」

 

 その時ちょうど通信端末を持ったダンテが地下の研究室に現れ、そして告げた。


「バトルシステムズから連絡が来ました。こちらの提案を概ね飲むと」

「分かった」


 ミカはそしてエマの方を見た。


「ま、こういうことだ」


 ◆

 

 ミカたちがこれから行わなければならないのはエネルギーパックを量産すること。そのための体制作りは時間をかけて入念に行う。幸いにもバトルシステムズが提案を飲んでくれたおかげで資金面には対して苦労しない。

 ただ無限に湧き出てくるわけでもないので、ミカが自分で作れる場所は作り・調整し、どうしても無理な場所は資金をかけて作るという具合に工場の方は進めていく予定だ。

 工場が出来次第エネルギーパックの本格的な量産体制に入る。当然、エネルギーパックを製造するための機械なんてあるはずがないので、ここはミカが頑張るしかない。ウィンドウを使ってどうにかする予定だ。

 そうしてエネルギーパックを増産する体制を整えた後は機械を売る。

 まだ何を売るかは決めていないが、やはり銃がいいだろう。

 バトルシステムズとの関係もあるし、大量発注が見込める。

 ただ問題なのは市場に流通させることでエネルギーパックの技術が漏れる心配だ。

 見る者が見ればエネルギーパックは非常に効率的なエネルギー源となることが理解できる。上手く使えば既存の仕組みを大幅に変えられることまで思い描けるはず。

 大企業が気がついてしまえば圧倒的な資金力を前にミカたちは負ける。

 エネルギーパックという情報のアドバンテージを失えば勝ち目はないからだ。

 

 だから技術を奪われる前に確固たる基盤を、ブランドを築かなければならない。

 工場を整え、エネルギーパックを作り、最高の品質で舞台を整える。そして舞台を整えた後、そこからは時間との勝負。


「慎重にやれよ」


 驕らず、慢心せず、常に警戒し続けろ。

 ここで失敗すればすべてが水の泡。

 踏ん張って勝ち抜け。

 ミカは静かに決意を固める。


 ◆


「クロ。この情報は本当なのか」


 事務所に顔を見せに来たクロに課長が問いかけた。


「まあ一応、怪しさ満点だけど。残ってたのはこれなんだよ」


 クロが課長に提出したのは偽レオンの行動データだ。彼の情報に関しては基本的に一切残されておらず、サイバー空間で痕跡を探すのは不可能だと考えられていた。しかし苦節一カ月。ついにクロは彼の尻尾を掴んだ。

 ただ、その尻尾が罠である可能性を否定しきることはできない。


「座標を見る限り、郊外のスラムか。工場地帯の名残だな」

「偽レオンがそこを根城にしている可能性は限りなく低い上に、罠の可能性もある。一応言ってみたけど行かない方がいいんだよ」


 相手もニューロダイバーである以上、クロが情報を掴まされた可能性がある。そう簡単に情報を信じて突っ込めば反って被害を被るのは特別四課かもしれない。


「分かった。ではこっちで情報を判別して作戦許可を出すかどうかは決める。クロは一応、二人に説明しておいてくれ」


 選択し、決断するのは課長の仕事だ。

 クロやウォルター、ミリアが命を掛けて任務にあたる以上、せめて間違いのない選択を取りたい。

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