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マキシマム・ザ・クラウン  作者: しータロ(豆坂田)
第三章 ネクストセル・コーポレーション編

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第65話 設計図と理論

「さてと……」


 軽く背を伸ばしてミカが作業に取り掛かる。

 誰もいないクレイトンの基地でミカはただ一人作業机に寄りかかって作戦を練る。

 

(理論はできてる。試作品が出来上がるのは一か月か、もう少し短くか……)


 エネルギーパックはすでに製造するための理論が完璧に確立されている状態。一からの挑戦ではあるが手探りというわけではない。素材や細かい部分を調整すればエマがどうにか試作品を作ることができる。

 ただ、現時点でミカたちには事業を支える基盤がまったく整っていない。そのため、最初からエネルギーパックの専業体制で事業を進めることは不可能であった。


 最大の問題は資金不足であり、エネルギーパックの増産体制を構築するための設備投資はもちろん、研究開発を継続するための費用も不足している。したがって、まずは事業を軌道に乗せるための資金調達が不可欠である。

 

 具体的には、初期資金を集めるために、エネルギーパック以外にも会社を支える『もう一つの柱』が必要だった。


(薬かスクラップか、臓物ブツか)

 

 資金を確保するための案は幾つかある。スラムを支配することができれば麻薬やスクラップ、人心売買などによって多額の資金を得ることができる。ただあくまでも、ミカはクリーンな会社としてネクストセル・コーポレーションを立ち上げたい。

 エネルギーパックを本格的に売り出した時に横やりを突かれないためだ。

 だから別の手段を考える必要がある。


「……ちと勿体ないが」


 作業机の上でウィンドウを開く。

 ウィンドウには数多の武器がリスト化されて並べられている。

 ほとんどは既存品と似通った物だが幾つかは全く新しいデザイン・機構を取り入れられている物もある。本来であるのならばエネルギーパックを開発した後に主力商品としてこれらの武器を売り出したいところだが、資金集めの問題に直面している以上、より重要で無い物からウィンドウの中に眠る情報を売っていくしかない。

 

(これがネクストセル・コーポレーション初めての仕事か)


 近頃、ある民間警備会社が新装備を実装するために武器のコンペティションを開く話がある。かなりの大手であり、もし売り込んだ武器が導入されれば特許ライセンス料が入る。

 加えて売り込んだ武器の評判が非常に良ければネクストセル・コーポレーションという会社自体の価値と信頼が高まる。

 失敗できぬ仕事だ。

 ウィンドウに眠る情報の中からコンペティションに受かる程度に優れた武器を、しかし情報を売り渡し過ぎない程度の機構・性能の武器を見繕わなければならない。今からそれを選び、試作し、実験し、一つの製品として練り上げる。

 

(やりますか……)


 軽く気合を入れて途方もない作業をミカは入った。


 ◆


 一か月後。

 大手民間警備会社バトルシステムズのコンペティションが行われる日。

 ミカとダンテの二人がコンペティションの行われるダストシティの郊外へと集まっていた。

 郊外にはバトルシステムズの訓練場があり、そこでコンペティションが行われる。

 

「本当に私でいいんですか」

「立場上、俺は表立って動かない方がいいからな」

「確かに……そうかもしれませんが。私が《《社長》》ですか」


 ネクストセル・コーポレーションの取締役社長はミカではなくダンテだ。ミカはダンテの傭兵という扱いでコンペティションに参加する。ミカの役割を考えると表立って行動するよりも裏方で動いた方が利益になる。 

 対してダンテは年齢も容姿も申し分なく、若手の敏腕社長にも見えなくはない。

 少なくともただ危険なオーラばかり漂わせているミカよりははるかに適任だ。


「予定通りに事が進めば一日で終わるスケジュールだ。《《想定外》》が起きなければ俺らが勝つ」

「シナリオ通りに行くとは限りませんが……というより、シナリオ通りに行ったとしても成功するかどうか」


 大手警備会社のバトルシステムズの装備に採用されるという事自体、金だけでなく箔も得られる。

 今日、ミカたちの他にコンペティションに参加する企業はどれも大手。あるいは技術力でどこか一点のみを突き詰めた企業。ミカたちはどちかというと後者に当たる。

 とは言っても、現状を見るのならばミカたちが最小規模だ。

 まず勝てない。

 だが大番狂わせを起こせないような企業ならばダストシティの王冠を取ることはできない。

 無理難題を遂行する。

 今日ミカたちに求められていることだ。

 そのために準備をしてきた。

 細部まで突き詰めた。

 後は予定通りに行うだけだ。


「とっとと終わらせようぜ」

「そうですね」


 二人は軽く拳をぶつけ合って敷地の中へと足を踏み入れた。

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