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マキシマム・ザ・クラウン  作者: しータロ(豆坂田)
第二章 ナイトウォッチ編

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第54話 簡単な作戦

『さて、もうすぐ来るんだよ』


 ダストシティの郊外、砂漠と荒野が永遠に広がる場所で岩肌に隠れたミカたち三人のもとにクロからの通信が届く。


『情報では運搬用の車両が一台。これは傷つけちゃ駄目。警備用の車両が三台。かなり厳重なんだよ』


 クロからの通信を聞きながら僅かに丘になった場所の上で、三人はクローバー製薬の車両が通る道を見る。

 整備されておらず、僅かに車輪が残るだけの道だ。

 情報通りに行けばM-2PIKを運び込むための車両がここを通る。

 

『グレイが嘘をついてる可能性もあるけど、もし嘘だったら脳みそ切り開かれて解析コースだからそれはほぼないんだよ。車両は通る。これ絶対なんだよ』


 ミカたち三人は互いに顔を合わせて最終準備に入る。


『それじゃ、車両が来るまで三分半ぐらい、準備しとくんだーよ』


 三人はそれぞれクロに了承の返答をすると各々が準備に入る。

 ミリアは耐爆スーツの電磁膜を起動させ、ウォルターは強化服を起動させる。同時にミカも擢弾発射機の弾丸を確認しながら強化服を起動させた。

 その際、ミリアが口を開く。


「それにしても結局ダックスフリードは見つけられませんでしたね」


 ミカたちはあれから周辺の監視カメラなどを用いてダックスフリードの捜索を行った。

 しかし有益な情報は出ず、結局のところ成果はなし。

 捕らえられたグレイが『騙された』などと供述している点からも、ダックスフリードがグレイを身代わりに使ったのは確かだ。

 ただここで疑問が残る。

 ダックスフリードはなぜグレイを嵌めたのかという点だ。

 賭けボクシングの会場にダックスフリードがおらず、グレイだけを行かせた点を考慮すると、おそらくダックスフリードは今回の襲撃に気がついていた。

 気がついていたのならばわざわざグレイを行かせる必要などなかったのではないか。

 グレイはM-2PIKにおける重要なキーパーソンの一人であるし、良いパートナーだ。処分するにしても脳を閲覧される可能性がある以上、警察に逮捕させるのは些か危険。

 自らの手で葬った方がいい。

 当然、自らの手で葬ることでクローバー製薬からの攻撃を受けるだろうが、ダストシティでは絶対的な権力を持つダックスフリードが負けるとは思えない。

 

 たとえダックスフリードとグレイとの関係が悪くなっていようと、やはり警察に捕まえさせるこれといった理由が思い浮かばないのだ。

 なぜダックスフリードはグレイを捕まえさせた。

 なぜ……。

 なぜ。


 理由は分からない。

 それでも、現状はグレイから得られた情報を元に襲撃するしかない。


「あ、見えましたね」


 耐爆スーツに搭載されたカメラ機能で遥か遠方で土煙をあげながら来る計四台の車両を、最初にミリアが捉えた。

 少し経ってウォルターとミカもその姿を捉える。


 三人はそれぞれウォルターは二挺の拳銃を、ミカは擢弾発射機と小銃を、ミリアは耐爆スーツ専用の馬鹿でかいロケット砲を抱える。

 そして車両が近づくとクロの『作戦開始なんだよ』という通信と共に四人が岩肌から飛び出した。


 当然、先制攻撃を仕掛けるのは一発で装甲車両を仕留める威力を秘めた武装を扱うミリアだ。

 両手で構えた等身大の擢弾発射機を車両に向けて撃ち込む。

 人間の頭部ほどもある大きさの爆弾が高速で射出されると走っていた車両の装甲を凹ませてめり込む。そして衝撃と共に爆弾は解放され爆炎を噴出しながら装甲車両をスクラップにして空へと打ち上げる。


 周囲にいた車両が爆発の衝撃で揺れ速度が落ちる。

 ミリアはその間にも輸送車だけは避けて引き金を引き続ける。


「遅れないようにね」

「俺に心配か?」


 ミリアが丘になった場所から攻撃を続け、敵の注意をひいている瞬間にミカとウォルターがそれぞれ軽口をたたき合って距離を詰める。

 強化服の出力を全開に、地面を抉る出力で地を蹴って駆けながらミカが擢弾発射機を輸送機の足元にぶち込む。


(――ッっぱ、装甲車両並み――いや、それ以上の硬さか)


 輸送機は一見、ただのバンのように見えるが実際は違う。 

 並みの装甲車両を凌駕するほどに硬い。 

 かといってミリアが爆弾を撃ち込めば跡形も無く破壊されるため、どうにかしてミカたちが仕留めなくてはいけないが。


 擢弾発射機では仕留めきれないと判断したミカがウォルターに譲る。


 ウォルターはミカの目配せで意図を把握すると両手に持った拳銃を輸送車のタイヤに向けた。

 本来ならば拳銃では貫けぬバンの装甲とタイヤ。

 しかしウォルターの持つ電力チャージ式の二丁拳銃がそれを可能にする。

 本来ならば一発で手首を折るほどの反動があるが、強化服を着ているため問題ない。

 高速で走る車両に狙いを定めたウォルターは走る崩れた体勢のままに車両のタイヤを撃ち抜いてパンクさせる。

 その時、クロから連絡が入った。


『装甲車両のハックが完了したんだよ。残りは頼むんだよ』


 ミリアがまだ仕留めていない二台の装甲車両のうち一台が突然進路を変えて、もう一台の装甲車両と衝突した。

 クロが遠隔操作してぶつけたのだ。

 

『やっぱり、車両は完全人力の方が安心なんだよ』


 クロからのその通信を最後に、ぶつかりあった装甲車両はまとめてミリアが破壊した。

 残るはタイヤを二つとも破壊され装甲能力を失った輸送車のみ。

 敵は逃げることを諦め、武器を持って車両から飛び出す。

 だが、その瞬間をウォルターとミカがそれぞれ撃ち抜いた。


『制圧完了を報告するんだよ』


 装甲車両に乗っていたクローバー製薬の企業部隊はすでにミリアが殲滅し、輸送車に乗っていた残りもミカとウォルターが仕留め切った。

 輸送車に近いミカは完全に敵を殺し切ったこと確認してから、バンの後部ドアを開く。グレイが嘘をついていない限り、ここにM—2PIKが積み込まれているはずだが……。


「当たりだ」


 バンの扉を開くと中に大量のM—2PIKが保管されていた。

 ミカのボディカメラからその様子を確認したクロが課長も含めて全体通信を行なった。


『作戦成功なんだよ』

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